僕らは探検隊 T (2)

平らな石を探していたときに、絡んでしまっているテグスを、
ヒロちゃんが見つけました。
「お兄さん!こんなところに絡んでる釣り糸があるけど。釣針はついてないよ!。」
と、ヒロちゃんが言いました。
「このへんで、釣りをやる人がいるから、もっと落ちてるかもしれないから、
みんな!探してみな!。」
と、お兄さんが言ったので、みんなは探し始めました。

お兄さんがヒロちゃんに言いました。
「俺が絡んでるのを直すから、おまえはもっとほかにもあるか探してみな!」
「うん!」そう言うとヒロちゃんは、さっき見つけた辺りを探し始めました。
「オモリ見つけた!」シュンちゃんが言いました。
「オモリか、あればそれを使うか!。あと釣針とハリスを見つけてくれ!」
そうお兄さんが言いました。

「お兄さん!あそこに糸が絡んでる」トコちゃんが指をさして、言いました。
「どこだ!」
「あの石と石のあいだに糸がからんでるよ!」
トコちゃんが指をさしている先は、大きな二つの石の上が水面から、
10センチほど出ていました。

「よーし!」そう言うと、はいていた靴を脱いで裸足になりました。
「おーい!みんな。こっち、こっち!。」
大きな声でトコちゃんが手招きをしました。
みんな、一斉に集まってきました。
みんながいる堤防のところからその石まで1.5mぐらいありました。

「お兄さん!降りたらあがれなくなっちゃうよ」
ヒロちゃんが言いました。
「お前たち、俺の靴を持ってあそこまで来てくれ!」
そう言って20mぐらい下の、上流から流れてきた石や砂が堆積(たいせき)して、
浅瀬になっているところを指差しました。

堤防沿いに5.60センチの幅で基礎工事用のコンクリートがあるので、
そこを行けば深みにはまることはありませんでした。
「よいしょ!」と言ってお兄さんはテグスをたぐったのでした。
「なんか重いぞ!」そう言いながらたぐってきました。

「ウエッー!」「死んだウナギだ!」
口には、釣針が刺さっていてハリスが首の辺りに絡まっていました。
「こりゃあ、かかったときに穴へもぐったんで強引に引き上げようとして、
途中で石か何かに引っかかって糸が途中で切れたんだ!」
「これじゃあ!、しょうがない!。」お兄さんが言いました。
そしてもう一度そのまま川の中に投げ入れたのでした。

「俺はこのまま行くからお前たちは、釣針かハリスを見つけながら来てくれよ!」
「了解!」と、トコちゃんが言いました。
みんなも真似て、「了解!」と言いました。
一番年下のユキちゃんがお兄さんの靴を持って浅瀬のところまで来ていました。
「お兄さん!ここにおいて置くからね!」そう言うとまた、
堤防のほうに釣針かハリスを探しに行きました。

そこからさらに下流に20mほど下ると、
上流から運ばれてきた土や砂利で川と堤防の段差がなくなっていました。
そこからはなだらかになっていてだれでも簡単に川に入ることができました。
堆積した砂の上に握りこぶしぐらいの石から30センチぐらいの大きな石まで、
あたり一面に転がっていたのでした。

干潮になれば膝ぐらいの深さで川の真ん中辺りまでいけたのでした。
堤防の上は土手になっていました。
みんなそっちを探していましたがそれをお兄さんが見つけると言いました。
「おーい!。そっちをいくら探してもないぞ!」
「川の近くを探せよ!」「こっちこっち!」大きな声で言いました。
みんなは上の土手から降りて、お兄さんのいる堤防のところまで来ました。

「お兄さん!釣針を見つけたよ!」
「こんだけあればいい!?」シュンちゃんが言いました。
「すげえ!セットで落ちていたのか!?」
「これだけあればいいぞ!」
「じゃあ、あとは土手に行ってミミズを取ってきてくれ!」
「石の下にいるから逃がさないようにな!」
「いなかったら石の下を掘ればいるから!」
お兄さんは、そう言うと仕掛けを作り始めました。

仕掛けができると、みんなが取ってきたミミズのえさを針につけて、投げ込みました。
「竿はいらないの?!」ユキちゃんが訊きました。
「こんなもん!手持(てじ)でいいんだ!」そう言うと、
ゆっくりと少しづつ糸を引いてきました。
「よしきた!」そう言い合わせました。
「ちっちゃいなあ?!」糸をたぐり寄せると”くろかん”でした。
みんなで一斉に言いました。
「なーんだ!”くろかん”だ!」
そう言って大笑いしました。

”くろかん”というのは、”はぜ”に似ていますが色が黒くて、
”はぜ”ほど大きくはならない魚で、このへんでは誰でも釣れるので、
釣るとみんなにバカにされたのでした。

「釣りは止めだ!」「あそこの、石がいっぱいあるとこに行くぞ!」
そうお兄さんは言うと、ひとりで歩いて行ってしまったのでした。
釣り上げた”くろかん”を、そのままにしていったので、
ヒロちゃんが、釣針からはずして川へ逃がしてやりました。


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