明日のことは過去のこと 第三巻 第三章 (2)

「ナアムあなたが、この地球のもうひとりの神になるのです!。」
ハーンは頼もしげにそう言いました。
そう言われたナアムは、びっくりしたのです。
「私は今まで、そんなに深くは、考えていませんでした。」
「私の任務は重大なことなのですね!。」
「これからわたしが行う遺伝子治療は、これから先、
地球に暮らしていく者たちにとっての、
将来がかかっているのですね!。」
そう考え深げに言ったのでした。

その頃神は、この先地球で暮らしていく者の、
将来を考えていました。
王などを作ったのは、自分の間違いであったと、
思いはじめていました。
「今ならまだ、間に合う!。」そうつぶやくとさっそく、
ハーンに連絡をとったのでした。

「とにかく相談したいことがあるので、
ナアムと二人で来てほしいのですが?!。」
「来てから、内容はおふたりにお話します!。」
それはちょうど、地球時間の時間割で指令室の勤務体制を、
始めようとしていた、矢先のことでした。
神から連絡を受けたのは、ミョウホーとアミダーがちょうど、
交代の引継ぎに来ていたときのことでした。
神は当然!。今から、指令室の新しい時間割の体制を、
始めようとしていたことなどは、知りませんでした。

「わかりました!。ちょうど交代の時間ですので、
今からそちらへ伺います!。」
引継ぎが済むと、ミョウホーとアミダーに、
「ではこれから神の宇宙船まで行ってきますので、
あとの事は任せましたよ!。」
そう言うとハーンは、ナアムと共に、母船をあとにしたのでした。
神は迎えに出ていました。

「お忙しいのにお呼びしまして、申しわけありません!。」
そう神は言うと、お辞儀をしたのでした。
「あなたに指摘されていたことを、ずっと考えていたのですが、
やっと決心したのです!。」
「今まだ、あなた方の医療器械が完成してないあいだになら、
あなた方の助けを借りて、やってしまおうと思ったのです!。」
「とにかく詳しいことは、会議室のほうで話しましょう!。」
そう言うと神は、会議室に向かって歩いて行きました。

会議室に入ると、
「そちらにお座りください!。」
そう言って二人を椅子に座らせ、自分も座ったのでした。
「わたしの考えは将来を見据えての考えだと、自分では思っていましたが、
そうではなく、たんに神としての責任のある期間の存続と、
次に神になる者への引継ぎの理由として王の設置を、
決めてしまったのに、気がついたのです!。」
「ハーンに感謝すると同時に、今地球に住んでいる者たちの将来のことを考えて、
遺伝子治療をすることを決意しました。」
一気にそう言うと神は、深く深呼吸をしたのでした。

「具体的にはどのようにするのでしょう?!。」
ハーンがそう訊ねると、
「はい!。今現在は、王による統治をしていますが、
それもこのまま長くは続かないでしょう!。」
「今!、王の力があるうちに、村の長老たちに命令を出し、
村ごといっきに、彼らをこの宇宙船に連れた来て、
遺伝子治療をしてしまおうと考えました!。」
そう神は言いました。

「すべての遺伝子を書き換えるのですか?。」
「それとも一部分ですか?。」
今度はナアムが訊きました。
「申しわけありません!。」
「黙って!、あなたの医療用ロボットを、使わせてもらいました!。」
「うまくいくか試さなければ、この案は、
あなた方には言い出せませんでした!。」
「99.9%の確立で遺伝子を組み込むことに成功しました!。」
「少しのリスクがありますが、これ以上は望めません!。」
神はそう言うと、続けて話しました。

「寿命の遺伝子を書き換えるのです!。」
徐々にほんの少しづつ、寿命が延びるようにしました。
そして同時に、もともとある寿命の遺伝子の、削除をするのです!。」
「これらは、基本の遺伝子の個々の特徴を傷つけることなく、
自動で書き換えるのです!。」
「今は、ほとんど同じ寿命ですが長い間には、短命の家系、
長寿の家系、がでてくるでしょう!。」
「将来的には、短命の家系が淘汰されて、
徐々に寿命は延びていくでしょう!。」
「それがいつになるかは予測不可能です!。」
そう神が言いました。


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