明日のことは過去のこと 第二巻 第一章 (2)

「あなたは地球のことをどのくらいご存知ですか?!。」
神は、ハーンに訊いたのです。
「はい。部下にセンサーで調べさせた報告では、
われわれが生活していくのには十分な、食物と水があり、
地球人以外の動物も数多くいるとの報告でした。」
ハーンがそう答えると、
「あなたに試していただきたいものがあります。」
「少しそのままお待ちください。」
そう言うと、神は椅子から立ち上がりました。

しばらくすると、神は竹で編んだかごを持ってきました。
その中には10種類ほどの果物が入っていました。
現在ではもうない物も含まれていました。

「今現在、私が食べているものを持ってきました。」
「あなたの好みはどのようなものか知りたいのです。」
「毒は入っていません。
私も一緒に食べますから意見を聞かせてください。
これらは、品種改良がなされていません。
地球人の文明が発達してくれば、いづれ品種改良がされて、
よりよいものが産み出されるでしょう!?。」
そう言うと、1つづつ食べて見せたのでした。

「どうぞ召し上がってみてください!。」
神にそう言われた船団長のハーンは、
「わかりました。さっそく食べてみましょう!。」
そう言うと、1つ1つ味を確かめながら食べたのです。
「みんなそれぞれおいしいのですが、これとこれが特に私の好みです。」
そう言うと、りんごと、バナナを指さしたのでした。

神は、ハーンのことばを聞くと、部屋の壁に地球の映像を映し出したのでした。
「今、コンピュータで、分析しました。」
「われわれの流刑地として定めていて、多くの者が暮らしている場所以外で、
それらが自生しているところは?!。
この周辺になります。」
そう言うと、今のアジア全体を示したのです。
「ここならわれわれの受刑者の地として受け入れてもらえるのでしょうか?!」
と、神に船団長のハーンが訊いたのです。

「ここなら問題ありません!。」
「ただここの土地の南のほうは、特有の病原体が多く見受けられたので、
われわれの祖先は、この周辺を流刑地としなかったのです。」
神は正直に船団長のハーンに打ち明けました。

「神よ!。正直に話してくれてありがとうございます。」
「われわれ船団も長い年月の旅で疲れています。
多少の危険はしょうがないことです。」
「ぜひわれわれの流刑地として承認していただきたいと思います。」
そう言って頭を下げ、お辞儀をしたのでした。

神はそのしぐさを見てすぐにハーンに訊きました。
「あなたの星では、そうすることが礼儀なのですか?!。」
「はい!。相手に対して挨拶したり、ものを頼んだりするときに使います。」
「われわれは、これを”お辞儀”と言っています。」
「そうですか?!。勉強になりました。」
神はこの”お辞儀”という行為をする異星人たちが、
心の優しい、戦争を好まない種族であるように感じたのでした。

「ではまず先に、あなた方の受刑者の住む土地を、見に行きましょう!。」
と神が言うと、
「ありがとうございます。」
ハーンはそう言うと、またお辞儀をしたのでした。

「地球まではいつも使っている、小型の宇宙船で行きましょう!。」
神がそう言うと、
「部下たちには、今の状態を維持してそのままいるように、連絡しておきます。」
「決してあなたの留守にこの宇宙船の内部を調べないように、
念を押して言っておきますから!。」
ハーンはそう言うと、
携帯電話のような小型のものを取り出して船団と連絡をとったのです。

神は、ハーンの細やかな配慮に誠意を強く感じたのでした。
二人は、小型宇宙船に乗り込むと、地球へと向かいました。
「遠くの宇宙から見た地球はどう映りましたか?!」
神がハーンに尋ねました。
「センサーによる報告からは、流刑地としてかなり有望な星だと感じていました。」
「あなたがこの星の管理者で、たいへんよかったと思っています!。」
「映像で見た限りでは大変美しい星のようでした。」
ハーンがそう答えました。


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