明日のことは過去のこと 第一巻 第二章 (2)

二人の補助任務者はたいへん喜びました。
彼らの技術と知識のすべてを引き継ぐ者ができたことを!。
神は付け加えて言ったのです。

「ここにある医療設備では、
彼女の記憶を呼び覚ますことは、できないということ。」
「昔から補助任務者として、一緒に任務を行ってきたこと。」
「7人が母星へ戻ってから、4人で暮らしてきたことを、
自然な形で、彼女に植え付けてほしいのです。」
「お願いします。」

「わかりました!。」二人は答えたのでした。

三人は確認のため会議室のデータを最初に戻り見たのでした。
最後まで見終わると会議室のデータはすべて抹消したのでした。
神が書き換えた宇宙船にあるデータをすべて三人で確認しました。
間違えや、記入漏れがないか慎重に確認したため、
三日かかりましたが、すべて終了しました。
データはすべて完璧に、書き換えられました。

あとは彼女との接し方だけでした。
コンピュータを使い、彼女の立体映像によるシュミレーションにて、
接し方を練習したのでした。
彼女といっしょに、母星から宇宙船に乗ってきたところから始めました。
地球での調査のときに、事故で記憶を彼女が失ったことも、
シュミレーションしました。
すべてが実際におきたように、三人とも仮想体験したのでした。
それらもすべて実際に起きた事だと、データを書き換えたのでした。
すべてが終わるまで、3ヶ月かけて準備をしたのでした。

カプセルから彼女を出して、医療室へ運びました。
そしてあらゆる検査をしたのでした。
記憶は完全に消滅しているか。
テレパシーわざを使う能力は削除されているか。
テレパシーを受ける能力は残っているか。
すべて問題はありませんでした。

身体能力もすべて検査しました。
彼女は推定年齢250歳でした。
知能もたいへん優秀でした。
生殖能力もある健康な女性でした。
いったん彼女をカプセルに戻しました。

彼女のデータを宇宙船のデータに追加入力したのです。
1ヶ月に1度行っていた健康検査のデータも、
少しづつ変更して、すべて入力し終わったのでした。
彼女に関することはすべて、宇宙船のデータに入力しました。
そして再び、記入漏れや間違えがないか、
矛盾点はないか、三人で確認したのでした。

すべての確認が終わるのに、7日かかりました。
彼女をカプセルから出し、医療室に運びました。
そして、彼女を目覚めさせたのです。

彼女が目を覚ましたので、神は言いました。
「どうですか気分は?。」
彼女は何がなんだかわかりませんでした。

彼女は言いました。
「ここはどこかですか?、あなたはだれですか?。」
「わたしのことを憶えていませんか?。」
「はい。わかりません!。」
「では、彼らはどうでしょうか?。」「呼んでみましょう。」

二人の補助任務者が呼ばれました。
彼女のベッドの右と左から顔を彼女に見せました。
「私がわからないかね?。」もうひとりも言いました。
「私がわからないかね?。」
彼女は苦しそうに少し大きな声で言いました。
「ぜんぜんわかりません!。」

神は二人の補助任務者に言いました。
「きょうは、もう辞めときましょう。」
二人は神に向かって言いました。
「やはり記憶喪失でしょうか?。」
「間違いありません!。」
「ここの医療設備では、戻ることはありません!。」
彼女に向かって言いました。
「最初から記憶させていくしかありません。」

こんどは、二人に向かって言いました。
「あなたがたに、協力してもらうしかありません。」
「よろしくお願いします。」
二人はひとりづつ答えました。

「彼女の記憶を、もとどおりにするためなら、何でも協力します。」
「われわれも年なので、彼女にがんばって記憶をもとどおりにして、
仕事に復帰してほしいのです。協力を惜しみません!。」
「ありがとうございます。」神は礼を述べました。

何がなんだかわからない彼女は、その会話を黙って聞いていました。
「では私達はまだ、仕事が残っているので失礼します。」
そう言って二人は医療室の部屋から出て行ったのでした。

「あの二人はどういう人たちですか?。」
二人が部屋を出て行くと、すぐに聞いたのでした。
「今日はもう考えるのはやめたほうがいいでしょう。」
神はそう言うと、鼻の穴に綿棒のようなものを入れました。
するとすぐに彼女は眠ってしまいました。


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