ブログ小説 明日のことは過去のこと 第一巻 第二章(1)

地球近くの宇宙空間では、
約105年ぶりの母星からのメッセージが届きました。
三人とも喜びました。
しかしその喜びもつかの間でした。
メッセージにはこう書かれていました。

いまわれわれ母星は、異次元からきた船団と戦争をしている。
宇宙協定に参加している人たちの応援を受けているが、
いつまでこの戦いが続くのかわからない。
ひとりの女性犯罪者を送った。
交替要員は今の状況では送ることはできない。
詳しい経緯、内容は宇宙船内のメッセージを見てくれたまえ。
以上。

三人とも落胆の色は隠せませんでした。
しばらくすると宇宙船が到着しました。
三人は、到着した宇宙船のメッセージの書かれた、
スクリーンに向かったのです。

母星での100年間の出来事、戦争になったいきさつ、
母星へ戻った7人が嘆願書を出したことや、
最新の医療器械をのせるよう請求したことなど、
事細かに書かれていました。
読み終わると二人の補助任務者は、
担当していたところに戻り再び作業をし始めました。
その目には涙があふれていました。

神は女性犯罪者のところに行き、
カプセルの中で眠っているその人を見たとたんにびっくりしました。
神がまだ母星にいる頃の初恋の人にたいへんよく似ていたのでした。
「なぜこの人がどんな犯罪を犯したというのだろう。」
彼女を見たときに神はそう思いました。
すべての履歴は、地球へ送られる者は抹消されて送られたのでした。
ただ人を傷つけたことは、間違いありませんでした。
そうでなければ、地球へは送られなかったからです。

神がメッセージを受け取った時には、まだ戦争の真っ最中でした。
戦争の終わりは、
いつになるかわからない状態であることが、書かれていました。
すべてのことは引き続き、神に一任されたのでした。

送られてきた宇宙船の医療設備は、
いま神が現在使用している宇宙船の、
医療設備よりはだいぶよい設備でしたが、
新しい遺伝子を作る機械は、搭載されていませんでした。
それは7人の嘆願書を出した者たちが、請求したものであり、
神が一番望んでいた医療器械でした。

新しく送られてきた宇宙船の設備は、医療設備を除いては最新のものでした。
二人の補助任務者の負担は、一気に少なくなりました。
新しい医療設備により、
彼ら二人の存命年齢は、100年ほど延びる可能性がでてきました。
しかしあくまで予測であり、突然死亡する可能性もある年齢でした。
神は悩んだあげくに、二人の補助任務者に提案をしました。

神は二人を前にして言いました。
「もうあなた方は、いつ死亡しても不思議ではない年齢に達しています」
「この新しく送られてきた宇宙船の医療設備では、限界があります」
「この提案は母星の法律に違反し、われわれの任務規定にも違反します」
「しかしいまの現状では、そうせざるをえない状況です。」
「協力をお願いしたいのです。」

二人は神を尊敬し、信頼していたので、内容も聞かずにひとりが答えました。
「われわれが、このように長生きしているのも、あなたのおかげです。」
「すべて、あなたの思うとおりにしてください」
「何でも協力いたします。」
もうひとりも言いました。
「残りの命をあなたのために捧げます。」

神は涙を流してこう言いました。
「ありがとうございます。」
「犯罪者の汚名をかぶることになりますが、協力をお願いします。」
そして三人で手を取り合いました。

神の構想を説明するために、三人は会議室に向かったのでした。
説明するデータは、すべて会議室に送っておいたのでした。
まず最初にこの医療設備では、100年ほど存命年齢が延びること、
しかし、いつ突然死亡しても不思議ではない、
年齢に達していることを、二人に話したのです。

そして、王として地球にいる、一番存命年齢が長い予測のギーザでも、
150年ほどで死亡すること、一番存命年齢が短い王が死亡するのが
あと105年ほどであることも、話したのでした。
そして王が死ねば、今現在王の権力により統治されている村々に、
また再び争いが始まることが、予想されることを、述べたのでした。

そして続けて言いました。
「犯罪者である彼女は、地球へ送らなければなりません。」
「しかし、この先のことを考えると、それはできません!。」
「あなた方が持っている技術、知識のすべてを彼女に教えてほしいのです」
「母星からの交替要員がくる前に、あなた方二人が亡くなったとしても、
この宇宙船を維持できるようにしたいのです。」

「彼女には犯罪者であることは告げないで、この宇宙船の補助任務者で
地球調査の時に、事故で、記憶を失ったことにしておきたいのです。」
「彼女の補助任務者としてのデータを、新しく作りました。」
「そして、彼女が母星から送られたことに関する、
すべてのデータを、抹消しました。」
「彼女の名前が”イーブ”であるという以外は!。」



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