二子局

二子の置碁というのは、互先(たがいせん)に近い置碁です。従って全体的に感じも互先のような気持ちで打つことが大切です。それと二・三子のときには隅の打ち方、例えば定石等も憶え、試みることができるので、そういう気持ちで打つと上達に効果的です。

1図
図は黒のほうから見た置石の置き方で、黒のほうから見て右上と左下に置きます。そして、白1、黒2というようにやはりアキ隅の先着から打つのが普通です。置石の数は1級差一子というのが普通で、1級対3級なら二子というふうです。
二子局での第1着手は、八割から九割までがこの白1の小目(こもく)です。数百年の伝統を持つ正攻法で、白の作戦は相手に決め手を与えずにジックリと打ち回し、何とか細碁に導こうという手です。細かくなれば、白としては八分の成功といえましょう。黒2と星に打ちます。ここは隣の隅の星とのバランスが最上です。次に右辺の星、下辺の星などと、どんどん展開することが可能です。白の策が持久戦なら、黒の作戦は急戦調をめざすもので、スピード性のある星を占めて大模様を張り、白が入ってきたら猛攻を加えようという意図です。



2図
アキ隅への先着
隅への先着のしかたはいろいろありますが、ともかく第二手目でアキ隅への先着が二子局の標準的な打ち方です。
黒2と星へ打つ碁も最近では多く、黒4でも下辺の星または右辺の星と三連星を布けば、模様の布石になります。どれにするかの選択は対局者の好みとか作戦とみてさしつかえありません。













3図
ミニ中国流
白1、3、5という構えを「ミニ中国流」と呼んでいますが、そういう打ち方できたときには、黒も6、10と模様で対抗して黒に不利のない布石です。10まで黒のほうが白より大きな模様です。















4図
白1の小目に、黒も2と小目に打つ。
オーソドックスな型というか、昔はこういう打ち方が多かったのです。白3では5と二間にカカル打ち方もあります。白3から黒8までは基本定石の一つです。


















5図
白1に、黒2とすぐカカッて打つ手もないことはありません。が、非常に積極的な打ち方で、どちらかといえば黒のほうから戦いを仕掛けるという感じの打ち方になります。
白3では図のようにアキ隅へ先着する手もあるし、黒2をハサンで打つ手もあり、それは白の作戦で決まります。
















二子局ミニ中国流

第1型 秀栄流

1-1図  第1型1
黒1は白からの両翼展開をさまたげてものすごい好点です。古来の定法です。ここで白2とカカリ、黒3、5と常用の攻めに出たとき、白6とハサみ返すのが秀栄流の石立てです。名人中の名人といわれた明治の巨匠本因坊秀栄は、白2、4を逃げるように、黒1を攻めるような手法に出て、何時の間にか左上隅に大きな地を作り、二子置いた当時の諸豪を悩ませました。もちろん当時は上辺の星より左斜め上にある石は左上隅の大ゲイマしまりでした。
1-2図  第1型2

黒1と追い出してから白2と動き出す。これならば、黒の二子もまだ弱いとあって、急には上辺に侵入してこないでしょう。なお、黒1は絶対です。まごまごしていると、白からここにボーシされてしまいます。白2も同様で手抜きして封鎖されてはいけません。白2は深いヨミがないと打てません。



1-2-1図  心配無用

白は大ゲイマにトンだが、あまり大きな顔をするとバッサリ切られはしないかと心配になります。しかし、心配はご無用です。 黒1、3からの強行突破は白12までとなり、これは黒の打ち過ぎです。
1-3図  第1型3

黒1から黒3までは、お互いに好点です。黒3までで全体を見ると、中央の黒の一間トビの四つの黒石は強いか弱いか?初心者は心配(弱い)します。強い人はこれを厚みと見ます。この黒石四つが厚いから上辺の白模様が薄く見えます。白4はその補強です。

第2型 小林(光)流

2-1図  第2型1

白5までは第1型と同じですが、黒6から変化しました。白が5までと上辺に模様を張れば、黒は6と下辺に三連星の模様を張って対抗したいのです。黒の石は全部4線で置石を活用して立体的な大模様に発展させたいのです。
2-2図  第2型2

白7とカカってきたら、すっぽかして黒8と構える。ここが大切なところです。アマの我々にはなかなか打てない手です。左下隅は白から両ガカリにはこないだろうとプロは考えているようです。
2-2-1図  細かくなりそう

普通に黒2とウケると白は3、5と腰をおとし、非常にゆっくりとした進行になります。黒白共に地を取って細かい碁になり白に勝つチャンスがでてきます。置碁で最も悪いのはウケにウケて細かくされることです。
2-2-2図  白少々無理

もし、白9と両ガカリをすれば、黒10、白11、黒12というようになって、小競り合いが始まりますが、これは黒の勢力の強い所で白の兵力を二分した姿になり、理論上は白が少々無理気味な戦いです。だから白は両ガカリにこないので黒8とどんどん発展させる手になる。
2-3図  第2型3

白1は最も普通の手です。これに対し、黒も2と下辺を大切にし、黒4と伸びたのは絶対の急所です。黒6、8は、模様に関する要点です。黒10のとき、白の判断は模様の大きさではとてもかなわない。

2-4図  第2型4

黒の大模様作戦は、まさに完成寸前です。白は多分1とでも入ってきそうです。ここで黒2が重要な手です。これまでのところ、黒は下辺に主力を置いて多大な投資をしているのですから、下辺一帯が小さくなってはかないません。黒12とひろげて大模様作戦の完成です。

2-4-1図  黒不満

白1のとき、黒2、4と攻めるのが模範的な打ち方とされています。しかし、黒6以下12までと理想的に打てたとしても左側の勢力の投資を考えると、この程度では物足りません。
2-4-2図  緩着

黒1、3と押し付けているのも厚そうですが、ここで後手をひいては白から4と消される手順になって自信の持てない碁です。


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