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ある日の指導日誌 この日は久しぶりに、K市のAさんのところまで家庭訪問に行ってきました。実はAさんは9月から身体障害者療養施設に入所ができるようになり(9月にオープンした新施設です)、現在はその施設で毎日を過ごしているのです。そこで私も施設に行ってきました。その施設は、Aさんの自宅から車で15分位のところにあり、Aさんのお母さんも1日に何度か通うことがあるようです。入所施設といえば郊外にある事が多いのですが、ここは都心にも近く、交通の便のまあまあ、周りに工場があり、窓から高速道路が見える・・・なぜ?というと、もともと工場だった自分の土地に工場の閉鎖後、いろいろな思い入れから、施設を設立したようなのです。(その方が施設長産のようです)この施設は4階建てで、入所者35名、すべて個室で部屋の作りも明るく、とてもきれいなホテルのようでした。 しかしながら、入所を希望してきた方の多くは、中途障害者らしく、Aさんのように生まれつき障害のある方のほうが少ないようでした。しかも、Aさんは女児のみに現れるという重度の知的障害を伴う『レット症候群』という進行性の難病です。月に何度か発作があったり、体調のすぐれない時もありますが、人と関わるのが大好きでよく笑う、笑顔がチャーミングな女の子です。Aさんの部屋は4階の角、まだ新しさの残る明るい部屋です。さて、ここでの生活は?というと、まだまだスタッフも始まったばかりの毎日に慣れるのがやっと、という感じのようです。まず、各個人のそれぞれの方を把握しなければならないし、その人との関係を育てていかなければならないわけです。しかしながら、毎日の時間の流れもあります。スタッフの方の大変さは目に見えるようです。それと同時に、入所している方々に慣れるまでに時間がかかり、かなりのストレスを感じていることと思います。Aさんもストレスを感じている一人だと思います。 久しぶりに会ったAさんは、すぐに笑顔で迎えてくれました。しかし、手には包帯が巻かれ、袋までかぶせてありました。レット症候群の特徴の一つとして、手もみや指しゃぶりがあります。そのため一人でいると、手をもんだり、口に入れたりして手から血を流しているからという理由のようです。もっと驚いたのは、一緒にいたスタッフの方が、「あら、Aちゃん笑うのね!さっきまで食欲もなく、ぐったりしていたのよ。」というではありませんか!お母さんからここでの様子を聞いてみました。すると・・・まだ、オープンしたばかりなので、活動らしい活動はなく、大好きなお風呂も週2回のみ。午前中も午後も一人で歩き回ると危ないからと車椅子に乗せてしまうらしく、そのため、ウトウト寝てばかりいるとか。それではさすがのAさんも笑うわけがありません。一日をどんなに退屈に過ごしていることでしょう。そこで、お母さんも初めの頃は泊り込んで、シャワーだけでも毎日入れたり、夕食後にベランダを散歩したりしていたようです。今も食事の介助や身のまわりの世話に1日1回以上は必ず訪れているそうです。1日の生活が軌道に乗るまでは、活動や余暇活動にまで手がまわらない、という現状のようです。でも、自分で『何か』を見出し、楽しめるならまだしも、何もできないAさんは?・・・そんな思いを感じながら、その日はAさんとじっくり体操をしたり、身体を動かしながら、楽しい時間を過ごしてきました。Aさんはいつものように声を出して笑ったり、はしゃいだりしていました。這い這いもいつもより頑張っていたようです。 帰り際「さようなら」の笑顔から、車椅子に座った途端、急に能面のような無表情になったAさんに思わずやりきれない思いがこみ上げてきてしまいました。1日を充実して過ごすことの大切さをひしひしと感じています。Aさんの毎日が楽しく生き生きと笑顔で過ごせるように願っています。Aさんまた行くね! 渡辺 美恵子
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