捨て猫のように右往左往・・・序の口
Scene 1 さぁ、行ってみようか!
成田空港だ!初めて来たっ、すでに異国を感じるぞ〜。大好きな飛行機がバンバン発着しているし!
ということで、かなり前に来てしまったので〜時間を持て余す・・・とりあえず、テロか何か、もしかしたら、むこう
で銃撃でもされて・・・なんて空想もあり、寿司を食う。と言いますか、むこうでは一切の日本食を喰わぬつもり
なのだ。肌も空気も食い物も、五感を全てむこうに合わせての生活にチャレンジする腹積もりなんだよね。
だから、住まいもホテルでなくホームステイにしてみた。周囲から「おめぇはバカか?」などと言われた・・・。
だってそうだよね、英語をまともに話せないモノ(笑)。いいのか、じむ、そんなんで!?とりあえず、無駄なあが
きで、昔、よく聴いたFENなんかBGMにしてたけど、まぁダメだろうねぇ〜、えへへ。
そうなのです、この態度が、この後の一週間を凄いことにさせてしまうのは、まだ知る由もなかったのです。
Scene 2 おなかすいたんですけど・・・?
それにしても、どうだい?ビジネスクラスの席を見た後のこの貧弱さは・・・。これじゃぁ病気にもなるでしょうなぁ。
気を取り直して、いよいよフライトだ。それにしても、1万フィートまで、こんな速く上がるのかよ〜などと、思いつつ
しばらくすると、何だかおやつ?みたいなプレッツェルをくれた、見るからに不味そうだ(笑)。それに、拙者も男な
ので、やはり美人には弱い。しかしだ!このU航空のF.A.は、昔の姉さんばかりではないか・・・しかも力強い(笑)
そして、更に「言っている事が分からねー!」ヤ、ヤバイぞ、じむ!何だか分からない内に、税関書類を貰い損ね
てしまったし(マジ焦った)、しかもだ!「あ〜う〜、ノゥサンキュー」とか言ってしまったら、ぬぁんと!機内食を貰
えなかったではないかぁ!!!何故かその時、脳内BGMは、学校のチャイムのキンコンカンコン〜♪だった。
あうぅ、何かくれようぅ!そんな思いも空しく、ただ窓の外には太平洋があるだけなのでした。
Scene 3 これは夢ではないのか
♪〜Old leaves are brown~ and sky is gray〜♪ うを!遂に来てしまった、夢のカリフォルニアだ!
思えば8時間、退屈な時間を過ごしたが、日本時間午前2時・・・あれ?明るいじゃん・・・そう、時差だ。
17時間遅れなのだ。そして、これからながぁ〜い昼が始まるんだよ。まぁ夜勤明けと思えば良いんだ
ろうけど・・・良いのかそれで!?完徹で英語の缶詰・・・そして?一体、何が待っているのか!?
灰色の脳細胞に、ゴーデンゲートブリッジの赤い色が眼に滲みた。機体は見る見る高度を下げる。
何度もフライトシミュレーターで着陸した空港ではあるが、ホントにその通りなのでビックリだ!ドスン!
軽い衝撃の後、機体は停止する。これは夢ではないのか、サンフランシスコ、まさか来るとは思って
もみなかったよ・・・しかし、この瞬間から、自分が捨て猫同然になったことは、まだ気がつかなかった
んだよなぁ。
Scene 4 笑顔なんか、出やしないよ
さて・・・入国審査・・・いきなり警官が44口径の銃をぶら下げて〜おぉ怖ぇ。頭も身体も深夜モードだ、グッタリしている上に、審査官が、
これまた、退屈そうで横柄だ。しかも、何言ってんだかわからね!〜「モクテキ?」などと訊かれたので「ビフテキ」と言い返してやろうと
思ったが、予行演習通り返そう・・・しかし〜あー!何も浮かんでこないぃ!その内、乗ってきた飛行機のキップを見せろと言われ、その
間に態勢を整え、何とか福祉NPOの視察だと言えた。しかし雰囲気とは怖ろしいモノである。茶の一杯くらい出せよ・・・出すわけないか。
ほうほうの体で入国すると〜今度はスーツケース受け取りだ〜しかぁし!待っても来やしない・・・ふと、画面を見ると、到着便の名前が
・・・来ないはずだよな・・・他のテーブルだもん。「じむ、打たれまくり・・・。」ちょっと落ち込んだぞ。そんな事を考えながら、スーツケース
を待つ。「俺ら、やっていけるのかしらン?」そんなこと思っていると、いきなりインド人の綺麗な人が「荷物、重いので取ってくださる?」
ってな感じで話しかけてきた。不思議とこの時は英語が分かった・・・相手が美人と言うことに関係があるのだろうか?軽々と持ち上げて
(実はすごい重かったのだが)、見栄を張って〜笑顔で「ノープロブレム!」いやぁ〜やれば出来るジャン俺ら!ここで初めて緊張が解
けたような気がしたよね。んじゃまぁ、とりあえず、調子に乗ったところで〜よろっと行ってみようかなッ!?
Scene 5 タッチだっけか?
さて・・・とりあえず、空港には、今回お世話になる旅行社の人が来ているはずだが・・・到着ゲートから出ると〜人垣だ。手に手にボード
を持った人がいる。自分の名前を持った人が居るはずだが・・・?・・・いないっすね〜。しばし捜すと、迎えに来てくれてました。でも!?
見ると、その人は小柄な女の人だ・・・拙者、勝手に男性だと思ってました!・・・しかも、どこかで会ったような気がするが?ん〜?
「あ〜岩崎良美かもしんない!〜んと、タッチだっけか?」などと、3秒くらい、得意のワープが入る。挨拶もそこそこに、とりあえずミーティ
ング。周りの人間がみんな泥棒に見えたので、神経過敏だ(笑)。いきなりお茶をゴチになりつつ、今後の日程など聞くが、何にも頭に入
りゃしない。時差ボケ全開だし、機内食喰わなかったしね。んな感じで、市内視察って言う名の観光へ〜。リンカーンのリムジンのお出迎
えだって・・・ん〜すごい。しかし、ここで、じむは気がついた・・・「あ、やっぱ良い印象ないのね〜?」そう、後で聞いた話だが、迎えに来
てくれたNさん、第一印象は「硬い人だった」そうだ。「俺らはミネラルウォーターか?」だからして〜イスの間にバッグを置かれたりするの
だねぇ。「どこかでボケて見せておかんとな?」とか思いながら、日系人のドライバーとの会話をする。ちなみに、渡航に当たっては、一切
の情報を仕入れていない、だって新鮮みが欲しいから。しかし、しかしだ!こんな時差ボケ状態では、案内されても「はァ、そうですか」と
しか!!!ごめんよ〜ホントは楽しみにしていたんだけどね・・・。さぞかし、素っ気ない人だと思われたことだろうか?
ツインピークスからのダウンタウン
Scene 6 このパン・・・傷んでないか・・・?
市内観光だ!・・・と、気分を盛り上げるが〜やはり波に乗れない。ツインピークス・ビクトリアンハウス・
ゴールデンゲートブリッジ・プレシディオパーク・チャイナタウンなどなど、ほとんど全ての名所を巡って
くれたのだが、仕事で来ているのだという気持ちと、下調べしていないことで、感動が薄いっての・・・。
俺ら、こんなにクールだったか?んなこと思いつつ、フィッシャマンズワーフへ!やた!昼飯だぁ。
Nさんが「クラムチャウダーが美味しい」と言うので、拙者も食することとする。「あ・・・器が〜」そう、器は
なんとパンだ!円筒形のバゲットをくり抜いてあるのだね。おもしれぇなぁ〜とか思いつつ、食べる。クラ
ムチャウダーは美味しかったのだが・・・パン?・・・「これ・・・傷んでないか〜?傷んでないか〜!?」
おかしい・・・おかしい・・・こんな酸っぱい筈はない、ん〜ダメだ、こりゃ。訊けば、これはサワーうんたら
かんたらパンと言うらしい。こんなモノは喰えぬ!しかし、お勧めなのとNさんが言った手前、その場では
あからさまには、口が裂けても言えぬ(笑)!引きつる顔と胃袋にピタピタと鞭を打ち、見透かされぬよう
ハッスル!ハッスルだ!・・・そんな訳で、異国ならではの洗礼をバシバシ受けまくる〜じむであった。
ユニオンスクエア
次は本格的に捨て猫だ!どうなる、じむ!?