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2023年02月10日
Haltech

        昨日の車検時に、T氏からお土産を頂いた。( Haltech SPORT 1000 )
        ” 顧客に付けるECUが有るのだが、電源が入らない ” 診てもらえないだろうか  との事。

        今日は、寒い雨模様 ( 関東は、雪 )。 
        エリのトラブルで、ガレージ作業をしたいのだが、寒いので腰が上がらない。
        ラボ作業に切り替えた。

        図面を見ながら、電源とGNDに配線をする。








        ここで、いきなり電源を供給はしない。 まずは、引き出した電源とGND間の抵抗を調べる。
        すると、0.5Ω とな。 ショートしている。 こりゃ、死んでるかな  ......





        じっくりと基盤を見て行くと、基盤の端で焼き焦げている部品を発見。
        シルクを見ると、ZR8と打たれていることから、TVSダイオードと予想される。
        外部から高電圧( ESD )が掛かったか、電源逆差し等が有ったという事になる。
        ( 因みに、国内車載ECUの設計は、電源逆差しでも壊れない事を求められる )
        それにしても、ここまで焼き焦げているのは、相当な高電圧が掛かった事を示している。





        現時点で、ショートしているとなると、破壊モードは短絡の筈。
        取り外したTVSダイオードをテスターで見ると、アノード カソード間は、0Ω。
        見事に短絡していた。


        過電圧保護は、ESDを検知して高電圧ノイズを逃がすまでに、わずかだが時間が掛かってしまう。
        そうなると、高電圧サージが基板上の部品(マイコン、その他 IC)の内部にまで至って、内部回路を破壊して
        しまう事は多々ある。

        まあ、TVSダイオードを取り外した状態で、電源−GND間に抵抗が見えれば、未だ望みは有る。
        抵抗を計ると、ほぼ30kΩ。 まともな値が出てきた。





        電源を繋いで、12.5Vを印加する。
        電流 : 360mA  そして、動作を示す LEDが灯った。


 



        LEDが灯ったと言う事は、生き返った可能性有り。

        そこで、調べられる所を全て見ていく。


        1. 5V、8V電源出力
           外部のセンサー用電源として出力される電源だが、正常値が出ていた。


 


 


        2. 燃ポン制御
           ECU ON後、約5秒間 燃ポンの制御( リレーのコイルに電流を流すため、ECUは
           GNDに落とす ) が入っている。 ( 正常






        3. IACV制御
           ステッピングモーター用の制御だが、34番ピンのみ代表で見てみた。
           ECU ON後、ある時間だけ動いて停止。 ( 正常








        4. +12V スイッチ電源出力
           11番ピンのみ代表で見てみた。
           ECU ON後、+12Vが出力されている。 ( 正常









        まあ、ここまで動いていれば、正常動作していると思われるが、実際に車に搭載して正常動作するか
        否かの調査は必要。


        < 後記 >

        破壊されたTVSダイオード、 マーキングを見ると ” STマイクロ製 ”の様だが、生憎この品番は
        見つからなかった。 恐らくは、廃版なのだろう。 ( SPEC不明
        他のダイオードで代替するか、バリスタを使うか、保護無しにするかは、T氏に任せよう。
        ( 因みに、私の手元には、TVSダイオードもバリスタも無いからね〜 )







2023.2.15日 更新


       T氏の再依頼が有り、こちらで修理する事にした。
       故障した部品のSpecは解らないが、サージ吸収が主な部品なので、12V仕様で手に入る部品を探した。
       TVSダイオードも手に入るが、リール売りである事、パターンの剥がれもある事から、バリスタを選択。
       TVSダイオードのパッケージが焼けていたので、下画像の様にパターンが剥がれてしまっている。
       この面には半田付けは不可能。 パターン剥がれを放置すると、破片が基盤上に飛散する恐れが有るので
       接着剤で着けておく。





       下画像の左側が、バリスタ( TSV07D270KR )。 





        バリスタを実装。 ( GND側のパターンも浮いているが、まあ大丈夫だろう )





        実装後、動作確認して問題無し。



        < 後記 >


        この基盤、表面には保護用のコーティングが施されていない。 ( エメラルドも同じ
        ECU基盤で処理されていない物は、信頼性が低い。( 未処理は、特別の場合を除き考えられない
        結露、浸水、伝導性のゴミ付着、半田ボールの剥がれ付着 等々が発生した場合、即座に不具合となる。








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