NZreport

3日目(幸運の3日目
 とうとう最後の日になってしまった。昨日はビッグトラウトの引きは楽しめたものの,その魚体を手にする事はできなかった。空も昨日とはうって変わって今にも降り出しそうな気配。1日でこんなに極端に天候が変わるものかという気がする。このまま終わってしまうのだろうかという不安もあったが,とにかくBさんのガイドを信じて最後の1日を楽しむことにした。

今日は今まで入らなかったランギタイキの某区間に朝から入る事になった。今回は車から離れてしばらく歩くことになると言うことで,Bさんはバックパックに私のランチも詰め込んで,手には大きな枝ばさみをたずさえている。歩き始めてしばらくするとその理由がわかった。歩く先々で通せんぼするかのように枝を這わせているブラックベリーがその正体だった。Bさんのウェーダーは補修の痕でまるでブラウンのボディのように斑点だらけになっている。切っても伸びるのが早いらしく,ハサミは必需品のようである。

川はここでもまだ濁りが残っている。水量はいつもより多いとのこと。とにかくNZでのFFをここで締めくくる。昨日の反省を生かして今日は必ずキャッチしよう。
最初に入ったポイントでいきなりのヒット!大きい,しかし今回まだまともに魚とのやりとり,リール操作,ランディングをしていないのでBさんの指示は理屈ではわかっていても動きがついていかない。今回も振り切られてしまった。でも少しつかんだ感じがしたので次はとれそうな気がした。それとBさんが,ヒットしたうちキャッチ出来るのは半分くらいが普通だと言ってくれたので少し気が楽になった。そして同じポイントで少し小ぶりだがヒレのピンと張ったレインボウをすぐにキャッチできた。魚の活性が良さそうだ。今日は行けそうだというBさんの言葉に望みをかける。
そして私にとっては「幸運の1日」が始まった。

レインボウ続くポイントもさっき大物を逃がした流れに似ている。当然期待してしまう。大分慣れてきたダブルニンフをBさんの言うポイントにキャストする。マーカーが先行するようにラインをコントロールする。流れはかなり早い。マーカーが止まる。「ヒット!」Bさんの声と合わせが同時になった。相手は突進する。「ロッドを立てて!」「走ったらリールをフリーに」「止まったら素早く巻いて」「ランディングする場所を決めてそちらに誘導して」Bさんの指示が飛ぶ。そしてついに50cmを優に越すヒレピンのNZレインボウをこの手にすることができた。思わず二人で握手。2日間のもやもやが一気に吹き飛ぶ。そしてこの頃から青空が顔を出し始めた。
 次のポイントでもヒット!今回もかなり大きいが下流に一気に走られバラしてしまう。まだまだだ。キャストもまだパーフェクトにはほど遠いが,コツはわかり始めた。濁りと増水が今日に限って言えば良い方向に作用しているようだ。ポイントと思われる所ではすべて魚の反応がある。あとはいかにとりこむか釣り人の腕次第である。

あるポイントではミスキャスト気味にロッドのさき4、5mのところの浅瀬に落ちたフライに大物がヒットしてしまった。一気に下流に走りはじめた。「行かせて!」とBさんの声。魚が止まったらリールを巻く,自分も近付く,また走る,また巻く,しかしこの魚はこのあと止まることなくバッキングまで出して下流の茂みの中に潜り込んでしまった。魚体をみたかった。60cmを越えていたかもしれない。

ブラウンブラウンこのあともこぶり(といっても30cm以上はあるものが多い)ではあっても、ほんとうに魚体の綺麗なブラウンや大きなレインボウを数匹キャッチすることができた。


そして、今日のそして今回の釣行のハイライトとも言うべきポイントに出逢う。
下流から釣り上がって行くと,前方に本流が中州によって二つに分かれているポイントが見えてきた。右手の流れはやや緩やかでブッシュが水面にせり出している。いかにも魚が好みそうな場所だ。そしてよく見ていると流れの筋を中心に数匹と思われるライズを発見。4〜5匹はいそうだ。ただしポイントは小さい。確実に下の魚から狙う必要がある。ここは腰を据えてかかろうということになった。待望のドライフィッシングのチャンスである。
ドライでブラウンこのときの為にと巻いてきた#14のロイヤルウルフを4Xのティペットの先にしっかりと結ぶ。ライズの下流でしっかりと距離を測る。最も下のライズ位置をBさんにも確認してキャスト。フィーディングレーンに入った。「出ろ!」と心の中でつぶやく。
相手はゆっくりと頭を水面に出しながらフライを吸い込んだ。
「ヒット!」「ラインをたぐって」「ロッドを立てて!」「下流側へ誘導して」「ロッドを持ち替えて」「リールを巻いて」「走ったら行かせて!」「止まったら巻いて」Bさんの声が飛ぶ。そしてとうとう念願のドライでライズを捕ることが出来た。しかも夢にまで見たニュージーランドの見事なブラウンである。何ポンドくらいあるのだろう?大きさで言えば55cmくらいであろうか。魚体は流れにもまれて育った証かずんぐりとしていてヒレは大きく尾は手のひらのようだ。しばし見とれてしまった。

ブラウンbigさあ次だ。次はどうやら上下に移動しながらのライズのようでフライを落とすポイントが難しそうだ。ここはとにかくライズの出ている流れに載せるしかない。上流に行きすぎないようにキャスト!今回も出た。ヒット!しかし走られた瞬間ほんの少しリールの解放が遅れたために切れてしまった。でもまだ2〜3匹はいる。見ているとライズの間隔が長くなってきたので少し待ってみた。再びライズが始まった。ライズの位置を確認してキャスト。しかし今回は出ない。数回流したがやはり出ない。しかしライズは続く。フライをCDCのフローティングニンフにかえてみた。そしてライズの50cm上流に落とす。「出た!」やはりフライを替えたのが正解。今回もブラウンだった。そして大きい。今回は少し慣れたので比較的落ち着いて対応できた。最初からこれができれば20尾はキャッチできていただろう。