NZreport

2日目
 前日の雨模様が嘘のように雲一つない青空,快晴である。今日結果を出さないと少し苦しくなると思いながらロッジでBさんを待つ。日差しが強いこともあり,日焼け止めクリームを十分に塗って紫外線対策をしておく。

今日の最初のポイントは昨日悔しい思いをしたキャナルへ再度向かう。どうやらBさんがフライを用意してきてくれたようだ。昨日のプールへ向かう前に下流で魚を探してみることにした。すぐに岸際に定位して流下物を捕食している60cmクラスのブラウンを発見。岸から1mも離れていないだろうか。意識が流下物に行っているのでどうやらこちらの存在には気付いていないようだ。後方から静かに近付く。リールからラインを引き出し後ろで距離を測る。チャンスは1度だけ,フライはBさんが用意してくれたCDCのフローティングニンフ。今日は期待できそうだ。4Xのティペットに結ぶ。今回初のサイトフィッシングに少しドキドキしながらもキャスト!魚の上流1m弱位へフライが落ちる。うまくいった。流れはゆっくりだ。「こい!」と心で念じる。
するとブラウンはゆっくりとフライの方へ頭を向け流れてきたフライを吸い込んだ。それはまるでスローモーションでもみているようであった。一呼吸おいて合わせる。「よし!」Bさんの声が重なる。
直後,「フッ」と抵抗なくフライが飛んできた。一瞬どうなったかわからなかったが,見事にすっぽ抜けというやつだ。なんて事だ。
Bさんもあわせのタイミングは全く問題なかったと言ってくれたが、とにかくフッキングしなかったことは事実。当然ブラウンは川の中央へと消えていった。悔しいの一言。

その後,昨日ライズが多かったプールの対岸へ廻ってみることにした。途中岸際に定位する多くのブラウンがいたが先ほどのようにライズしていないので、少しでも気配がすると藻の中に逃げ込んでしまう。かなり警戒心が強い。昨日は光の関係でよく見えなかったが,全体的に岸よりはかなり浅く50cm程度しかない。そして魚は水草と岸との間1mほどのエリアにいる場合が多いので背後から近付いても気配を悟られるのが早く,ラインを出す間もない。今日はライズもなく結局キャナルは完敗。最初のすっぽ抜けが返す返すも残念であった。

少しでも可能性を求めて,釣趣的にはやや劣るかもしれないとのことだったが,人造湖とその流れ込みにまわってみた。(ここもFF誌の次月号で紹介されていたところかもしれない)時折ライズがあるものの、見える範囲に魚は確認できない。ここもかなり頑張ってみたが反応はなかった。

ランギタイキ上流ランギタイキの上流にまわってみることにした。
水の色は少しは良いようだが,やはりサイトフィッシングとはいかない。いくつかのポイントを案内してもらう。
ここでは狙えるポイントを丹念に攻めて行く。ダブルニンフにも少し慣れてきた。こちらの川では思っているよりはるかに自分に近いところでもヒットすることが多い。水量が多いこともあるかもしれない。従って、ポイントでは下流から丹念に刻みながら,まんべんなくフライを流して行く。ロングキャストはしない。
落差のある写真のようなポイントで何回かヒットしたが,すべてバレてしまいキャッチできない。魚のパワーはかなりある。しかし,昨日の後半と違い魚の感触があるので結構楽しい。


更に上流に向かうと小さな支流が流れ込んでいるポイントにでた。スプリングクリークであろうか,水は見事に澄み切っている。合流点にライズがあった。単発だったのでドライ+ニンフのパターンで狙ってみたが反応はなかった。
この支流は両岸を背の高い棘のある雑木で覆われているため釣りは不可能。ということで魚は見えるからトラウトウォッチングしようということになり,しばらく川を遡ってみた。一ヶ所だけ川に降りれそうなところがあった。前が小さなプールになっていて上流は木に塞がれていて見えない。水が川底から吹き出している。吹き出しあたりにニンフを数回キャストしてみたが反応はない。大きな期待もしないでキャストし続けているとマーカーがスッと消えた。すかさず合わせるとあきらかに大物とわかるトルクのある締め込みが...,小さなポイントなのでラインは出せない。しかも流れの中央には水草のかたまりがある。ここに入られたら終わりだ。ここは巻き上げるしかない。ティペット頼みというヤツだがやはり相手が悪い。あっさりと切られてしまった。このとき,ペアであろうかもう1匹が仲間を追うように陰から出てきていた。
しかし、こんな小さなポイントにも意外な大物が潜んでいるのもニュージーランドならではと思える。

時間は8時になろうとしている。今日はキャッチこそ出来なかったがNZのビッグトラウトのパワーを感じることができて楽しかった。ロッジに帰るのがすっかり遅くなってしまったが,トニーが「ここではフィッシングが優先,気にしないで」といってくれた上,冷えたラガービールをフィルがごちそうしてくれた。さすがに今日は暑かったので格別うまかった。残る1日に賭けよう。