今月のメッセージ 140-081208
「クリスマスって?!」

                                                               永山 進 牧師

 昔、ベルシアを治めていたシャーアビスという王の話です。シャーアビスは、国民をよりよく理解するために、時々、変装して、一般の人の間に紛れ込み、皆と交わりを持つことにしていました。ある時、一人の貧しい男の人を見付けて、彼のそばに座りました。色々な話をしたり、また、男の人の粗末な弁当を分けてもらって、一緒に食べたりもしました。その後、シャーアビスは定期的にその男の人を訪ねるようになり、とても親しくなったのですが、しばらくしてから、自分が何者であるかを、男に明かしました。
王だということが分かれば、きっと何かの願い事を申し立ててくるに違いないと思って、シャーアビスはじっと男の人の反応を見ていました。しかし、呆気にとられた男は、ものが言えなくて、しばらく黙ったままでした。やっと、口が聞けるようになると、彼はこう言ったのです。
「貴方様は、私のために宮殿を離れて、御位をお捨てになりました。私の粗末な食事を共にされ、私の苦しみや喜びを分ち合ってくださいました。貴方様は、他の人には富や地位などをお与えになるかも知れませんが、私にはもっともっと価値のある贈り物、つまり、あなた御自身を与えてくださったのです。願わくは、ずっと私の友達でいて下さいますように。」
 クリスマスの日に、私たちは、主の主・王の王なるイエス・キリストが、天の御位を捨ててご人間として生まれて下さったことを覚えます。天地万物の遣り主、神ご自身が人間の姿を取られ、私達の世を訪れて下さったことをお祝いするのですが、このクリスマスの驚くべき出来事によって、私達は本当の意味で、神の姿を見、また、神を知ることができるようになりました。しかし、そればかりではありません。神との親密な交わりに入ることが可能になったのです。ちょうど、貧しい男がシャーアビスと親しい友達になったように、私達も神との親密な関係がもてるのです。

 「初めに、ことば(注:キリストのこと)があった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。…この方はご自分の国に来られたのに、ご自分の民は受け入れなかった。しかし、この方を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の子どもとされる特権をお与えになった。…ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。父のみもとから来られたひとり子としての栄光である。この方は恵みとまことに満ちておられた」(ヨハネによる福音書1章1、11−12、14節)。

 これがクリスマスの素晴らしいメッセージです。神はもはや、私達から遠く離れ、知り得ないような存在ではありません。神は自ら私達の世を訪れ、ご自身を顕して下さいました。そして今も、信じる者と共に歩み、悔いのない、充実した人生へと導いて下さるのです。


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