今月のメッセージ 130-070409
「本当の思いやり」

                                                                  永山 進牧師
  借金で身動きできなくなった夫がマイカーもろとも蒸発してしまいました。残された妻は途方に暮れ、毎日夕方になると幼い子を連れて自宅近くの陸橋に出かけ、下を走る第三京浜の車の流れの中に夫の車を捜し求めました。しかし、1ヶ月過ぎても夫の車は現れず、家にも会社にも連絡はありませんでした。その間にも借金取りには責められ、自殺を考えるほどでした。しかし、橋の上で車の流れに手を振っている幼い娘の無邪気な姿を見ているとその決心も鈍りました。
  そうしたある雨の日、1台の車が陸橋の下に止まり、中から女性が降りて来て、陸橋の上の二人に声をかけました「間違っていたらごめんなさい。いつもそこにいるけど、身投げなんかしないでね」。女性はそう言うと、車から何か小さい物を持って来て、たまたま通りがかったトラックの運転手のカを借りて橋の上に投げました。それは小さな財布でした。中には小さくたたんだ1万円札が2枚とメモ用紙が入っていました。メモには「いつも気になってあなたのことを見ていました。人生って死んでしまいたいと思うほど苦しいこともあるけど、いつも手を振ってくれるお子さんを道連れにするようなことはしないでね。」と書かれていました。あふれる涙の中で、彼女は娘を抱きしめたのです。「勇気が湧いてきて、立ち上がれそうな気持ちになりました。橋の下から励ましの言葉をくれたあの人に、是非会って感謝を伝えたい」と言っているとの事です。

  この話を読んだ時、私の心はほのぼのした思いに満たされました。と同時に「自分も、陸橋の下から声をかけたあの女の人の行動を見習いたいものだ」、とつくづく思わされました。
「いつまでも残るものは信仰と希望と愛です。その中で一番すぐれているのは愛です。」(Tコリント13章13節)


message070129へ 目次へ message070604へ