今月のメッセージ 128-061120
「人を生かすあわれみ」

                                                                  永山 進牧師
「あわれみ深い者は幸いです。その人はあわれみを受けるからです。」(新改訳マタイ 5:7)
  ここで言う「あわれみ深い」と言う言葉の元来の意味は、普通使う「同情」とか困っている人を「気の毒に思う」と言うこと以上の深い意味のある言葉です。これは「一緒に」と言う言葉と「経験する」とか、「苦しむ」と言う二つの言葉が合わさって出来た言葉で、「他の人と一緒に苦しむ」、つまり相手が経験していることを自分も同じように経験すると言う意味があります。他の人の心の中にまで入ってその人の立場でものを見、その人の身になって考え、その人が感じるように感じることなのです。

  多くの人にとって人生はしばしば苦しい戦いです。時には戦いに敗れ、疲れ、傷つき倒れる時もあります。そう言う時こそ本当に「あわれみ深さ」の必要を感じるものです。

  イギリスの政治家ウイリアム・グラッドストンが財務省の大臣をしていた時、統計担当者に予算に関する演説をする為、ある資料を依頼しました。ところがその担当者は、数字を間違えてしまいました。その数字を確認しないまま、グラッドストンは議会で演説をしました。新聞は直ちにグラッドストンの話した内容が明らかに不正確なものであると非難し、彼に恥をかかせました。グラッドストンは統計担当者を呼びました。彼はくびになるものと覚悟を決めていました。しかしその時グラッドストンは「今度の事件では君も大いに心配しただろう。しかし、心配しないでよろしい。国家財政に関する複雑な数字を長い間取り扱っているのに、今度の間違いが一回目と言うのは奇跡的だ。むしろお礼を言いたい。心から君に感謝しているよ」と言ったそうです。
  なかなか難しいことです。しかし、わたし達が、神のあわれみによって、自分の罪が赦されたことを信じ、その赦しを日々体験し、神の愛と恵の中で生かされて行くことによって、人を赦すことを学んでいくものでありたいと思わされます。
  今年もクリスマスが近づきました。イエス・キリストが救い主としてお生まれになったのはわたし達に愛と恵を与える為でした。


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