今月のメッセージ 120-051031
「心にブレーキを」

   もう何年も前のことですが、ある新聞に、「自転車の危険な遊び流行‥ブレーキはずしで即死」と言う見出しの記事が載っておりました。それによると、スリルを味わう為に、ブレーキをはずした自転車に乗った少年が、踏み切りで電車にはねられ、頭蓋骨骨折で即死という痛ましいものでした。警察の調査では、事故当時、警報機が鳴っていたのですが、この少年の自転車のブレーキははずされており、かなりのスピードで走っていた為、踏み切り前で停止できず、はねられてしまったということです。
 どのような乗り物でも動くだけではその用を足しません。止まるべき時に止まることが出来るという機能が付いていなければ、大きな事故を起こすことは眼に見えることです。
 同様に、私達の心の中にもブレーキが必要なのではないでしょうか。「こんな事をしていては身の破滅だ」と言う、人生の破局に歯止めをかける心のブレーキ。私が会社勤めをしていた頃の職場の先輩は、マージャンの為に家屋を失い、妻子にも見限られ、その人生を台無しにしてしまったそうです。心のブレーキが全然作動しなかったのでしょう。悲劇です。
 聖書の中に「自分の心を治める者は城を攻め取る者にまさる」(蔵言16章32節)とあります。耳を傾けていただきたいものです。
 又、慌しい毎日の生活の中で、ふと立ち止まり、人生の意義と目的を考える為にも心のブレーキは大切です。私の神学校時代の後輩に、元不動産会社で働いていた者がいました。その当時はいわゆるバブル経済。どんな土地でも高い値で売れたと言います。彼自身も金儲けの為に血眼になっては働いたそうです。しかしある時、ふと「自分の人生これで良いのかな」と思ったそうです。その時、自分が金の奴隷のようになっている事に気づかされ、もう一度、真剣に「生きる意義」を考えさせられたと述懐していました。彼は現在、東京の赤羽で、生き生きと牧師生活を送っています。「世と世の欲は滅び去ります。しかし、神のみこころを行なう者は、いつまでもながらえます」(Tヨハネ2章17節)。これも傾聴に値する聖書の言葉です。


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