今月のメッセージ 98-030602
「分かち合う為の所有」  日本国際飢餓対策機構  総主事:神田英輔

   「あなたの価値は、あなたが何を所有するかによって決まる」。現代の日本において、私たちを取り囲んでいる一つの声です。この声を信じた人々は、多くのものを所有することで、自分の価値を確認しようと、際限の無い所有、富の蓄積を目指し奔走しているかのように見えます。

  資本主義の発展は、機械の導入をもたらし、オートメーション化を促進し、大量生産を可能にしました。その結果、当然のことのように大量に消費する事が呼びかけられ、「消費こそ美徳である」と言う世論が形成されるようになりました。消費する為に所有し、また所有する為に消費する・・・その結果、富を沢山持ったものが幸せであると言う考えが広まってしまったのです。

  しかし、ここで考えなければならない事は、そんな日本の現状が、果たして私たちを真の意味で幸せにしたか?と言う事です。物に目を奪われる余り、人に目を向ける事が少なくなり、人を大切にすると言うよりは他者を競争相手として見るようになり、競争に勝った者が豊かになると言う社会を築いていきました。たとい全世界を手に入れても、それが自分たちを幸せにしてくれるのではないことを忘れてしまったのです。

  今、私たちが学ぶべき事は、自分に与えられた富をどのように用いるかと言う事ではないでしょうか。その富を自分の為だけに用いるのではなく、他の人々のために用いるときに、私たちが「所有の縄目」から開放されて行くのではないでしょうか。

    「私たちの価値は、私たちが何を分かち合うかによって決まる」と言う新しい価値を生きるものになりたいと願ってやみません。地球家族一人ひとりのいのちを大切にしながら、自分の持っているものを分かち合う生き方をさせていただこうではありませんか。『受けるより与える方が幸いである。』(聖書)
                                      (飢餓対策ニュース )2003年5月号より

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