今月のメッセージ 94-030203
「前のものに向かって」     牧  師:永 山  進

新しい年も、早や2月を迎えました。
皆さまも色々な抱負を胸に、新年をスタートされたことと思います。

さて、この一年を意義あるものにする為の秘訣を考えてみたいと思います。
まず、苦々しい過去にとらわれない生き方です。私達は、過去を振り返ってみると、必ず、一つや二つ心が痛み、暗くなるような想い出があるものです。歳を重ねれば重ねるほど、それが増えていくのかも知れません。

「だから、あなたも生きぬいて」の著者、大平光代氏は、中学の時にひどいいじめを受けました。思い余った彼女は、自分をいじめた級友達への復讐の思いを胸に、割腹自殺を試みます。幸いにも、未遂で終わりました。しかし、やがて彼女は非行グループに走り、ついには16歳で暴力団の組長の妻にまでなってしまいます。仲間に認められようと、背中一面に刺青まで入れてしまいました。その様な暗い生活が22歳、大平浩三郎氏(後の養父)に出会うまで続きました。ある日、彼は、いつまでもふてくされて立ち直ろうとしない彼女に言いました。「確かに、あんたが道をはずしたのは、あんただけのせいではないと思う。親も周囲も悪かったろう。でもな、いつまでも立ち直ろうとしないのは、あんたのせいやで、甘えるな!」。その彼の真剣なまなざしと迫力に圧倒されながらも、彼女は嬉しくて体が震え泣き崩れたと言います。このことがきっかけとなり、彼女は苦々しい過去の全てを断ち切り、歩み出しました。私達も、同様に、否定的な過去を断ち切ることが大切と思います。

もう一つの秘訣は、建設的な目標に向かって生きることです。
苦々しい過去を断ち切った大平光代氏は、次々と資格を収得していきます。宅建の資格、司法書士、遂に、司法試験にさえ合格しました。中学もまともに出ていない人が、しかも、一発で!! 勿論、その努力は並々ならぬものがありました。
彼女は、今弁護士として、彼女と同じ様に非行に走り、問題を起こしてしまった子供達の為に、労を惜しまず働いています。

聖書にも「後ろのものを忘れ、ひたむきに前のものに向かって進み、・・神の栄冠を得るために目標を目指して一心に走っているのです」と、あります。この一年も充実した日々を過ごされますように。


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