to myself

幼少期の頃

 このころから、女の子に対する憧れ、変身願望は、幼いながらもあったような気がします。 meruの由来でも、お話しましたが、当時のアニメ「ふしぎなメルモ」を見ながら、 女の子に変身できるキャンディーがあったらいいな と、思いをめぐらせていた記憶があります。この頃が、わたしのMtFの起源のような気がします。


小学生の頃

 何かの本で、ホルモンというものがあって男の子でも女の子のホルモンが体の中に入ると、女の子の体になるという事を 読んだ記憶が、鮮烈に残っています。当時のわたしが、ホルモンについてどれほど理解していたかは、定かではありませんが、 想像の世界でしかなかった女の子になれるキャンディーが現実にあるという事を、この時、子供ながらに知りました。でも、小学生の 当時のわたしは、女の子に対する憧れはあったものの、実際に女の子の格好をしたりとか、そんな事をしたいとは思っていませんでした。


中学生の頃

 この頃になると、親に隠れて、コッソリお化粧をしてみたりしてました。でも、家庭が厳しい方でしたから、男は 男らしくというのが、当たり前だと思っていたし、ひどくお化粧をしたりするのは後ろめたく感じていました。
 また、男らしくなろうと運動部に入ったりもしましたが、運動音痴で体力も無いわたしは、半年も続きませんでした。
 女の子に対しては、髪が綺麗で長い子を見ると、自分もあんなふうに伸ばしてみたいなと憧れましたが、当時のわたしには叶わぬ夢でした。 髪に対するこだわりは、この頃から強くなったと思います。でも、自分が男の子である嫌悪感は、まだ感じていませんでした。


高校生の頃

 高校生では、クラブ活動(もちろん文化系ですが)を活発にやっていました。その中で、人並みに女の子に対して恋愛感情を抱き(今にして思うとあれが恋愛感情だったのか疑問です) お付き合いもしました。でも髪に対するこだわりは相変わらずで、自分も校則の範囲内で伸ばしていたし、付き会う女の子も、髪の 綺麗な子でした。


大学生の頃

 大学は、親元を離れ下宿生活でした。高校の頃から付き合っていた女の子がいましたが、彼女に対して、普通の男の子が 抱くような体に対する欲求は、わきませんでした。彼女がわたしの下宿先に泊まりに来た時、わたしはキスどころか手も握れませんでした。 今にして思えば、彼女には、わるいコトをしてしまいました。
 一人、アパートでの下宿生活だったので、これまでのように親の目を盗んでお化粧をする必要も無く、一通りのお化粧道具を 揃えたりして、束縛の無い生活を満喫していました。でも、お化粧をして、外に出るとかいう勇気は無く、もっぱらお部屋の中で 楽しんでいました。
 この頃、友人と呼べる人は、一人だけでした。その頃のわたしは、ただその人だけがいればイイと思っていました。 彼は、わたしのコトをただのオトコ友達としか考えていなかったのかも知れません。 でもわたしは、それ以上の意識をしていました。彼だけが、すべてでした。あの頃、分らなかった想いも、今となってはその想いが何であったのか分る気がします。 社会人になって、自分のカラダに、はっきりとした嫌悪感を感じるようになったのも、全ては彼との関係が引き金になった気がします。

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社会人になって

 会社に入ってからも、親元から離れていたので、女の人の下着もそろえ、洋服も揃え始めました。 女性の服装で車で出かけたり、今考えて見ればとんでもないような格好、お化粧で外に出ていました。でも、車からは、勇気も無く降りれませんでした。
 この頃、あるキッカケで、自分が男である事に対しての嫌悪感を抑え切れなくなりました。服装、お化粧だけではなく、本格的に体から女性になりたいと思い始めました。 そしてついに、子供の頃から抱いていた女の子になれるクスリに、手を出そうと思い、病院を調べたり、会社を辞めて、そちらの 世界に入ろうと、NHのお店を訪れたりしましたが、、、どうしても、最後の一歩を踏み出す勇気が、当時のわたしにはありませんでした。 数日間、寝ずに悩みましたが、すべてを捨てて女性の体を手に入れる事は、結局、諦めました。
 今はこの時、どうしてあの一歩が 踏み出せなかったのか、後悔して悩む事が多いです。この時が、わたしの人生の最大の分かれ道であったと思います。あの時、 勇気を振り絞って自分が本当に望んでいた方向に歩んでいれば、今とは、まったく違った人生であったことでしょう。それが、たとえ、 思い描いていた理想とは、かけ離れていても、今のわたしは、あちらの人生を歩んでいたほうが良かったと思えてなりません。


結婚

 女性化への道を断念した頃、ある女性とめぐり合いました。髪がとても綺麗で、これまでに無く妙にわたしと気が合いました。 普通の人生を歩もうと思っていたわたしは、すぐに彼女と恋に落ちました。恥ずかしながら、この時初めてのSEXも経験しました。 程なく、子供ができて、この彼女、今の妻と結婚しました。
 結婚した当初は、男性として妻を幸せにしようと努力し、女性化に対する願望も、心の奥に追いやっていました。結婚生活も 数年たつと、いろいろ妻とも摩擦が多くなり、男性としての努力も続かなくなりました。結婚後、二人目の子供ができたからは、妻 とのSEXは、無くなりました。
 妻との生活が、冷え切った頃、突然、元気だった父が癌であることを宣告されました。その時の医者は、発見が遅かったので 手の施しようが無く、あと3ヶ月の命と宣告しました。その時の父は、とても元気で、あと3ヶ月の命だとは思えませんでした。 しかし、医者の宣告どおり、見るみるうちに父はやせ衰え、不治の癌である事も知らずに、呆気なく亡くなってしまいました。 父は、まじめ一本やりの公務員で、趣味という趣味もありませでした。父は、人生を、満喫できたのだろうか? あまりに、呆気なく 亡くなった父に対してこんな事を考えているうちに、果たして、自分は、このまま人生を歩んで、満足できる人生となるのだろうか、 と思い始めました。
 わたしとしては、子供も設け、それなりの家庭を築き、厳しかった父に対しては、十分、孝行できたのではないだろうか、 死ぬ時に後悔の無い人生を歩めたと思える人生にしたい、と考え始めました。 これからは、本当に歩みたかった道を、進んでもいいのではないだろうか、、、。 しかし、本当に歩みたかった道を、今、進もうとする事は、妻や子供を裏切る事になります。しばらく悩みました。でも、あの時の 後悔を、また繰り返したくない、、、これまで押さえ込んでいたMTFへの思いが、父の死をキッカケに抑え切れなくなって、わたしの人生を 優先させようと決意したのです。


カムアウト

 ホルモンに手を出し始めて、1年と少したった頃、カムアウトしました。妻に、、、。
 おクスリを始めた事自体は、後悔していませんでした。 しかし、日増しに妻とのすれ違いも多くなり、もう限界と思った頃、お仕事の都合で、単身赴任する事になりました。 これが二人にとって、ちょうど良い冷却期間だったようです。人生のパートナーとして、最も身近にいる人への思いを忘れかけていたわたしは、 その大切さを身に染みて感じるようになりました。そう思えば、思うほど、今、自分が行っている行為が、ひどく辛く感じて、、、彼女に話せたのなら どんなに楽になるだろう、、、でも、彼女に話したら、今度は、彼女が重荷を背負う事になる、、、。ずっと、カムは躊躇していたんです。
 でも、、、おクスリを初めて1年と少したった頃、彼女から切り出されました。ヒゲ薄くなったね、肌白くなったんじゃない、やっぱり胸おかしいよ 、、、。彼女は、ずっと前から感じていたようです。わたしの体の変化、様子が変ったこと、そしておクスリ、、、おクスリは、彼女に一度見られてしまって その時は、上手く誤魔化したつもりだったんですけど、、、彼女、ネットで調べたみたいで、それがホルモン剤って知ってから、彼女、わたしとどう接したらいいか ずっと悩んでいたようです。わたしが、男性であろうと無かろうと、ずっと一緒にいようって、そのためなら、何でもしてあげようって、、、 それが、彼女の結論のようでした。わたしには、彼女の背中に天使の羽が見えました。彼女が条件として出してきた事、、、男の人に走らないで、何時までも 娘たちのお父さんでいて、、、これ以上、天使さんを悲しませたくないし、娘たちは、わたしがこれまで男性として生きようとした証、それを裏切るような事は、 ありえません。
 その後、母にもカムして、今では、娘たちにも、わたしの事をメルちゃんって呼ばれています。娘たちが何処まで理解してくれてるか、 抱え込んでしまっている事も多いと 思います。あの子達には、焦らず、少しづつでも、キチンとお話していきたいと思っています。それが、わたしの責任ですから


最後に

 結局、わたしは何で、MtFを追い求めているのでしょうか。少なくとも、完全な「性同一性障害」ではない気がします。 女性的な体になりたいとは思いますが、社会的にも女性として生きて行きたいとまでは、今は思いません、今はですケド、、、
 基本的に、わたしは男性の行動や考え方の精神的なところも、外見的な点でも嫌いなのだと思います。女性のほうが身体的にも美しい と思うし、女性的な考え方も、やさしくてそちらの方が良いと思います。 自分が、その外見的にも醜く、精神的にも好まない男性でいることが許せないのだと思います。だから、身体的な女性化を望むのだと思うのです。
 自分の精神的な性はどちらなのでしょう、、、正直分かりません、多分に女性的な部分が多いとは思いますが、女性であると自認できるか、、、その答えを探しています。
 ただ、、、今のわたしの目指すところは、プライベートでは、女性で、社会的には男性でかまわないと思っています。
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