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'03.06.21 作成

第66回都市対抗 観戦レポート
河合楽器 VS 日本IBM野洲

at 東京ドーム '95.7.26(Wed)

 大本命、本命がおらんくせに泊りがけで行ってしまった都市対抗(^^;)。他の試合は皆さんがレポするだろう・・・という訳で、気は重いっスけど、河合戦のレポをさせていただきます。・・・と、その前に、ちょいと長たらしいお話を。

 それは、たくぎんVS日生の7回くらいの事。「さっき永吉くんと原くん見掛けた」とMさん。「行ってみる?」と言うことになり、席を立った。
 22番ゲート付近(??)までてくてくと歩いてきたら、目の前に、イチロー系のファッションがぴったりハマっている、村井好みのお兄ちゃんが立っているではないかいな。でもこのお兄ちゃん、どっかで見たことがあるような気がした。しかし、これだけカワイイお兄ちゃんだ、知ってたらすぐにわかるはずなんだけどなぁ・・・(苦笑)、とまぁ、思い出すのに四苦八苦だったんだが、そのお兄ちゃんがひょこっと前に屈んで、その向こうにいたお兄ちゃんが見えた瞬間にわかった。さらに後からやってきたお兄ちゃん3人組で確信を得た。「ヤオハンの選手だ・・・」
 ちなみに最初に見掛けたイチロー系が、2次予選以来強烈Pushしている北山くん。その奥にいたのが、ワインレッドのTシャツ&綿パン(だったかなぁ?)をさりげなく着こなしていた田中くん。3人組の方は輝生くん、矢沢くん、前田くんだった。
 すげぇ驚いた(その場に座り込んでしまったほど(^^;))。しかし、この時点では多分(あと2,3人プラスしたとしても)これだけしか来てないんだろうと思っていた。が・・・。
 席に戻ろうと、バックネット裏の上の方を歩いていたその時、私の前を歩いていたMさんが突然立ち止まってこう言った。「ねぇ、今そこにおったの、ヤオハンの選手やない?」。「へ?!」と思って振り返ると・・・、市野さん、松岡くん、大饗くん、稲垣くん、横山くん、三代川くん・・・とまぁ、いるわ、いるわ。ヤオハンの選手がズラーッと一列席を陣取っていた。
 前々から冗談・・・や、ホンキもちょっと(・・・ちょっと?(苦笑))・・・で、「あれだけ主力が補強されてんだから、みんなでドームに来ればいいのに・・・」とは言っていた。しかし、それがまさかホントになるとは思ってもみなかったので、驚きと喜びで気を失いそうになった(オオゲサな(-_-;))。
 が、その喜びもつかの間・・・。ヤオハン軍団の某選手に気付かれた(目の前を横切ったような状況だったので当たり前かも(^^;))村井は、その某選手に指を指されたんだそうだ。←私は全然気付かなかったんだが、のろのろと歩いていた村井を心配して(?!)振り返ったMさんがそれを目撃した。まぁ、そういうことされても仕方ないかもしれないけどさ・・・。向こうの方だってかなり驚いた・・・というよりは“呆れた”か(-_-:)・・・だろうと思うし。でもぉ・・・指差すなよ、頼むからぁ(それもドームで(-_-;))。

 このとっても研究熱心な(爆)選手たちは、河合の選手たちがグラウンドに出てきたのと同じくらいに、応援団席の近くの前の方まで大移動。数人の選手は、一番前に出てきて、外野の方へ向かいかけた永吉くんや原くんに声を掛けていた。
 しばらくすると、恒例の(?)去年のホームランダイジェスト・前編(1〜43号)がオーロラビジョンに映し出される。何か話をしながら懐かしそうに画面を見ている皆様。たった一年前の事なのに・・・。とか言う私たちも「お、大西だ〜!!」などと呑気にみていた。

 そのうちにスターティングオーダーの発表。のっけから驚いた。『1番セカンド・永吉』をやっ?! さらに・・・『4番レフト・中山』、『6番ファースト・羽山』、そして『9番キャッチャー・原』。あらら・・・全員使ってもらっちゃって・・・、いいんだろうか?
 私たちの後ろには、河合の正妻サマ・森田くんの応援団が陣取っていたのだが、最後の『キャッチャー・原』のコールには一斉ブーイング。それでなくても、キャプテンの田原さんや佐藤正さんといった主力級を欠いたオーダー。アタマに来るのも無理はないけど・・・。これが目当てで来た私としてはかなり嬉しい(^o^)/。

 河合の先発は“エース様なのよぉ〜”の野末さん。何でも「去年(補強で)一勝を挙げた実績を買って」だったそうだ。立ち上がり、何とか無難に抑えたものの、予選のとき同様、タマがとっちらかってて、シロート目からも『調子が悪いんだな』と言うのがわかる。こりゃ、早いうちに何とかしないと・・・なぁんて思っていたその裏。
 1番・永吉くんが内野安打で出塁。さすがだねぇ〜。野洲の先発・若林くんの悪送球で2塁へ進むと、2番・中逵さんが一塁強襲ヒット。再び若林くんがけん制悪送球。永吉くんは一気にホームへ・・・と何だかあっけなく先制。動揺しまくりの若林くんは四球などで満塁に。すかさず清水さんが2点タイムリー、続く羽山さんも2点タイムリーを放って一挙に5点! 若林くんは一死も取れずに降板した。
 2回には、4番・中山恵一さんが『やっぱり4番はこうでなくちゃいけねぇね』のソロHRを放つ。これがグリーンのユニフォームなら・・・と涙ぐむ村井。
 そして圧巻は4回。二死満塁から、その日2打席連続三振だった7番のDH・吉村くんに代打・佐藤正さんを送る。やっぱり潔い采配をするなぁ・・・と感心をしたんだが、その村瀬監督の采配が見事的中! 佐藤さんは期待に応えて、ライトスタンドへ満塁アーチを叩き込んだ。村井は、目の前で満塁ホームランと言うのを見るのが初めてだったので、もの凄く感動をした。打ったのが佐藤さんだったと言うのが拍車をかけたのは間違いないんだけど・・・。そういえば、去年の日本選手権、初戦の北陸銀行戦で、延長14回のケリをつけたホームランを放ったのも佐藤さんだったっけ。

 4回までで10−2。周りでは「オイ、コールドは何点差からだ?」とか楽勝ムードが漂い始めていた。私たちも「このままで行けば、5時半くらいに試合が終わるね」などと言っていたほど、野洲の攻撃は淡白だった。・・・そこまではね。
 しかし、4回途中から登板した、昨年の日本新薬4強の立役者・渡部さんが好投している間に、歯車が少しづつ狂い始めた。
 まずは7回。ここまで調子が悪そうながらも何とか抑えていた野末さんが、とうとうつかまった。野洲の5番・井上さんにこの日2本目となるホームランを打たれた。それまで水を打ったように静かだった野洲ベンチ&応援団が一気に活気づく。
 周りの森田フリークの方々からは「やっぱりキャッチャーとの相性が悪いから、(野末さんが)投げづらいんだよ」とか「森田じゃねぇとダメだよ。早く代えりゃあいいのに」と原くんバッシング。何をぉ? 去年野末さんにここ(ドーム)で一勝を挙げさせたのは誰だと思ってるんだい、え?! さっき盗塁だって刺したやんか!・・・とぶちぶち文句をたれる心の狭い女、村井(-_-;)。
 でも、そんな森田フリークのキョーレツ『森田出せ!!』コールが村瀬監督の耳にも届いたのか、野末さんの交代と同時に、原くんも交代。その時の森田フリークの喜びようはなかなか凄かった。
 河合の2番手は、予選中大活躍だったルーキーの佐藤康幸くん。予選終了直後にはその安定したピッチングから、佐藤くんが先発なのでは・・・と言うハナシも出ていたらしいが、本選前に突然「原因不明の腰痛に襲われた」とかで、ヘタすれば本選に間に合わないのじゃないかいな?とも言われていた。が、何とか間に合っての登板となったんだが・・・。その体調不良を差っ引いたとしても、いったん火がついた野洲打線をルーキーさんの力ではとても止める事は出来なかった。
 野洲の応援が、大津波のように河合の選手たちを襲う。選手たちの表情から笑顔が消える。とてもリードしている、と言う余裕が見られない。その時点ではまだ4点差あった。

 さらに8回に3点を加えられて後がないぞの1点差で迎えたその裏、久々に河合にチャンスがやってきた。一死一、三塁、バッターは羽山さん。しかし、「羽山さんだったら最低でも外野フライで一点が取れるわ(^o^)。出来ればホームラン打って欲しいけど・・・」の期待も空しく、止めたバットにボールが当たったとっても不運なファーストライナーで、ゲッツーを喰らってしまった。
 この時、何となくなんだが『河合は負けるかもしれない』と感じた。少しでも“流れ”があれば、今みたいな当たりだってファーストのアタマを越えちゃったりする。“流れ”はすでに野洲の方を向いていた。

 最終回・・・となるハズだった9回。この回の冒頭、村井は「素直に3人で終わるような気がしないんだけどなぁ・・・」と思わず呟いた。そういう予感というのは当たるモンで、二死一、二塁から、田嶋さんに同点タイムリーを打たれ、とうとう追いつかれてしまった。野洲の応援団のボルテージは最高潮。選手たちも『負けるわけがない』と言う表情でその裏の守備についた。
 9回裏、河合は二死ながらランナー三塁とサヨナラのチャンス。バッターは顔を両手でパンパンッと叩いて気合を入れた永吉くんだったが・・・、ボテボテのファーストゴロでついに延長へ。あぁ・・・2日間で三度目の延長だなんて(T-T)。5時半で終わり、の予定は何処へやら(-_-;)。

 ちょっと前までサンデー毎日の増刊号を読んだり、飲んだり食ったり余裕ぶっこいていたヤオハンの皆様も、真剣なまなこで試合を見入っている。よく考えてみたら彼らだって、予選のときに5点差をひっくり返されて負けたんだった。ひっくり返した相手は当の河合だけど。その河合が今、同じような立場(・・・でもこっちの方がもっと悲惨(-_-;))に立たされるとは・・・なんとも皮肉な話だ。

 10回表。この回から河合のピッチャーは3番手、これまた予選大活躍のルーキー・尾崎くん。しかし、そんな尾崎くんにも大きな“流れ”に逆らうことは不可能だった。
 先頭バッター、MMC京都から補強の森上さんにレフトへ逆転のアーチを放り込まれた。
 呆然と立ち尽くす河合ナインとは対照的に、狂喜乱舞の野洲ベンチ&応援団。まぁ、8点差をひっくり返しちゃったんだからムリはないわな。
 その一発で我を失った尾崎くんは、あれよあれよという間にピンチを広げ、一死も取れずにマウンドを降りた。
 尾崎くんも降りたとなると、もうピッチャーおらんぞぉ・・・一体誰を出すんだ?と思っていたら、なぁんと出てきたのは牧田くんだった。あぁ・・・、何もこんな緊張感たっぷりな場面に登板させんくてもエエやんかぁ(ToT)。多分、自分とこ(関東自工)でもこんな場面で登板したことはなかろうと思う。こっちが逆に手に汗握ってしまうぞ(^^;)。
 そんな村井の大きなお世話な心配をよそに、ポンポンとアウトカウントを増やしていく牧田くん。本選前のスポ○チに『調子を上げてきた』とか書いてあったことはホントだったのねぇ・・・。結局後続を断った牧田くんは、次の回へ一縷の望みをつないだ。

 せっかく牧田くんが抑えてくれたはいいものの、8回途中から登板した、新薬ベスト4のもう一人の立役者、MMC京都から補強の田渕さんの前に、手も足も出やしません状態に陥っている河合打線に、逆転するだけの力は残ってはいなかった。
 最後のバッターとなった田原さんが打ち取られたその瞬間、野洲の応援団席の黄色いボンボンが宙に舞った。

 試合後、ある言葉が久々に浮かんだ。
 その昔、中日が0−8から大逆転勝利を収めた試合で、満塁HRや決勝HRを打った中村武志氏に、星野監督(当時)は、試合中ベンチでずーっとこう言い続けていたそうだ。「勝負は最後まで分からんから、絶対に気を抜いちゃあイカンぞ」と。
 そうだ・・・そうなんだ。勝負は一瞬でも気を抜いた方が負けなんだ。社会人はセーフティーリードがないんだから、それは痛感しているハズなのに・・・。野球ってぇのはコワイな。でも、その怖さが魅力でもある。
 いち野球ファンからすると、なかなか面白い試合を見せてくれて有り難い・・・というところなんだろうけど、しかしなぁ・・・。好きなチームがこういう目に遭うと、なかなかそういう気持ちにはなれんなぁ、やっぱり。
 でも、帰りに水道橋のホームで野洲の応援団と思しき親子と遭遇。その子供から「あんな試合が見れたなんて、塾を休んできた甲斐があったよ」と言うセリフを耳にしたときは、素直に「そうか・・・、そりゃよかったね」と思えた。

(1995.9.20 発行 Vol.20 掲載)
※ 掲載にあたり、一部、加筆及び削除した部分がありますことを、予めお断りしておきます。

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