1.概要

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■発表
 発表は聴衆を対象にする演説や視覚媒体を用いる伝達である.
 

発表の特徴は次のとおりである.

 ●口で話して聞かせる伝達である.文書を読ませるのとは違う.
 ●時間が軸である.文書はページ数という空間が軸である.
 ●大勢の視聴者へ一方的に伝える.途中に理解度確認のある授業とは違う.
 ●視聴者の前で行動する.録画と違って修正ができない.
1.1 発表
■音節
 発表の主な媒体は演説である.演説は「きょ」「う」「は」などの音節の並びで構成される.
 演説を聞くことは文章を読むことに比べて楽な面が多い.
■一方的説明と媒体混合
 発表は聴衆への一方的な説明である.
 伝達効果を高める方法が,媒体混合(メディアミックス)である.

■発表の場所と聴衆

 発表の場所はいろいろある.30人教室ぐらいの部屋が典型的である.
 発表の場所の大きさには2W/6W基準というものがある.

1W 2W 6W
幅70cmのビデオモニタ 最前列 1.4m以上 最後部 4.2m以下
幅2mの映写幕 最前列  4m以上 最後部  12m以下

■視力と文字の大きさ
 30人教室の黒板に書く漢字は大人の手のひらほどの15センチメートル四方ぐらいが標準だ.
 この文のように小さい文字は,かろうじて見えるが,読むのに苦労する.
■聴力と声量
 声量は部屋の最後部の人が苦労せずに聞くことができる量にする.
■発表の単位と区切り
 文章,発表,音楽,演劇,映画などには独特の単位や区切りがある.文章なら,章・文段・文・文字,音楽なら楽章・小節,演劇なら幕・場,映画ならシーケンス・シーン・ショットなどの単位がある.

1回の発表 一つの論文・報告書に相当する.
一つの画面(スライド)
一つの章に相当する.  
画面内の一つの文や図表 一つの文段(いわゆる段落)に相当する.
演説の一つの文 一つの文に相当する.
演説の音節や図表の詳細 一つの文字に相当する.

1.2 時間と音声
■発表の量

 発表の量は時間が軸である.
 発表前の見積,設計,練習などによって制限どおりの時間に収める必要がある.
■演説の効率
 人間が普通に話す速度は,1分間に400音節から450音節ぐらいである.漢字仮名まじり文に換算すると300文字から350文字ぐらいである.
 発表前の演説作文によって,音節を制限時間に合う量にする.
 演説を職業にする人でなくても,演説の冗長音は5パーセント以下にとどめる.
■発表の見本
 他人の発表を視聴すると,発表場所,時間配分,演説の聞こえやすさ,視覚媒体の見やすさ,質疑応答などの様子が分かる.
 ニュース番組は,専門家が原稿を書き,専門家が話すので,文面,音声,速度などの良い手本である.
 教育放送番組や電子教材は,専門のナレーターが話すものは良い手本になる.
■批判的な視聴
 残念ながら世の中には模範的な視聴覚情報がそろっているわけではない.
1.3 発表の工程
■発表の目的
 発表の目的は,効果的な視聴覚伝達を効率的に準備・実施することである.

■発表の工程
 発表者の作業を分解すると次のようになる.この後の章ではこの順に学ぶ.

君島浩のISD研究室.2001.2.10, 2002.1.12.[ ホーム ] [ 上へ ] [ 進む ]