学生による授業評価、同僚による授業参観、及び第三者による教育査閲は似ているが区別して扱おう。
学生による授業評価は教育学術における教育評価の一種である。カークパトリックの四水準評価の最初に位置する反応評価(アンケート評価)である。教育評価の代表選手は反応評価ではなく、第二水準の学生成績評価だ。科目の目標が高度で、それに対する学生の成績が高いことが最も大切な評価であって、アンケート評価はそのほかの観点での定性的評価である。どの学生がどの節について成績が悪かったのか、その学生の何が問題か、その教員や教材の何が問題かを直視すれば改善策が見える。
試験問題手引書の事例
筆者が筑波大学国際総合学類のために作成した試験問題の出題と採点の手引書を、参考のために紹介する。学習管理ソフトウエアMoodleと対応させやすいように説明している。 目次 |
教育について素人である学者同士が授業参観しても、評価したり参考にしたりするのは難しい。例えば、話し方に無関心な教員は、ほかの教員の話し方が良いかひどいかは気づかないからである。ビデオショットに教育技術の解説を付けたような資料の方が役に立つ。
教育査閲は名前はいかめしいが宝塚歌劇団のレビューに相当する。十分に上手に授業できるように準備して、理事長、学長、学部長や教員育成センター長に授業やシラバスや教材をお披露目して、教員や学生に誇りを持たせるのである。全教員の教育を査閲できないなら、優秀賞を得た教員、奨励賞を得た若手教員、新着任の教員などを対象にする。お披露目のほかに教員が査閲者と懇談して根本的改革を直訴する手段でもある。
優秀賞や奨励賞は教員の教育ポートフォリオ(実績)に記載できる。各学部・各学科から年度始めに表彰申請候補者を選定して、授業の要点をビデオで録画しておいたものを20分程度に編集し、そのほかの添付資料も付けて、申請書の本文を整えて学科内選考をした後に学科の代表選手を送り出す。これらの資料は教員育成センターが提供する資料に入れてもよいし、教育手引書の内容として引用してもよい。