スタンフォード大学のウエブページは、教育に関する言葉(programやteaching)を研究に関する言葉(research)より前に配置していることが多い。教育を重視する態度がウエブ作文にも表れているようだ。また、教育を意味する言葉としてteaching(指導)という素朴な表現をよく用いる。「educationとは学生自身が能力を向上させるのを教員が助けることだ」などの能書きよりも行動ということであろう。
スタンフォード大学の教員育成センターの名前は「指導学習センター(Center for Teaching and Learning)」である。教員だけではなく学ぶ側の学生の姿勢や行動も教育の重要な要素と見ている。
スタンフォード大学の指導学習センターの所長は副学長である。副学長は学部長と同格な経営者側の立場にある。教職員を労働市場の縁組の相手、従業員と見ている。労働市場の魅力として提示する条件は、処遇、教育、福利、作業環境などであり、指導学習センターはその一つの教育を提供する。その責任を果たすために、教職員側の中間管理職である学科長レベルではなくて、経営者側がセンターの長を勤めるのである。教員のための手引書には学長が巻頭言を寄せている。中身のある誠実な文章である。