8.一泊目露営

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 午後に至り、風起き荒れ始めたり、続いてソリの行進甚だしく困難なるをもって、昼食後より進むことしばらくして、ソリを捨てて輸送隊は背により、荷物を運搬するの手段を取れり。

 夏期なら快適な歩行のできる高原部であるが、道の見えない豪雪地帯を極寒の猛吹雪にさらされつつ進む。

 重い荷物を運んできたソリを捨てて、兵士が荷物を持って進むことにした。このような状況でソリを捨てるということは、研究計画に折り込み済みであった。このソリが後で道に迷った時に、退却路の道標になった。

 

■中の森を通過する際は午後の二時ごろで格別の吹雪でもなかったから、田代はちょうど向こうにはっきりと見えておった。1里(注:4km)あまりである。
 鳴沢へ到着した時は既に日も暮れ、かつおいおい吹雪も激しくなってきて、田代にはなお1里余りあるし、行進は到底難しいというので、ここに露営することになった。

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