■トンネル崩落:中日本高速、米事故後も対応取らず(毎日新聞、2012.12.11 14:30)
9人が死亡した山梨県大月市の中央自動車道・笹子トンネル事故で、米国の高速道路で06年に極めて似たトンネルの天井板崩落事故が起き、独立行政法人が08年に作成した調査文書で事故原因などを国や高速道路各社に伝えていたことが分かった。国や中日本高速道路も事故を把握していたことを認めているが、具体的な対応は取らなかったとみられる。専門家は「緊急点検などの対処をすべきだった」と批判している。 |
記者がこのような学術サーベイのような記事を書き、それを編成者が採用するというのは、記者の自主性を重んじる毎日新聞ならではのことである。 | |
しかし、前述の12月7日の記事のように、専門家や調査委員会の見解が明らかになってきたので、調査委員会や警察のプレスリリースの引用を中心にする方が記事としては効果的だ。「厳しく」問われそうだと記者の主観や予想を述べるのは根拠が乏しい。当局に取材して「厳しく問う」という発言を引き出すか、又は記者が当事者を取材して責任を「厳しく」問うべきである。 | |
米運輸安全委の2007年の報告書の経営者要約では、設計者の理解不足、吊り具の完成前試験、点検法規の不適切さ、仕上げ物の国家標準の不在を指摘している。「施工不良や点検不備を指摘した」とした記事は、部分的引用であり、正統的ではない。 | |
日本高速道路保有・債務返済機構の報告書は、設計の不備や完成前試験のことも紹介している。「接着剤に問題があった」と要約した表現はいかがなものか。 | |
この記事は、よい資料に眼を付けたのだが、資料の理解が不十分であった。 |