9.防災予算は損害救援予算からシフトを

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 農地林の整備には費用と労力がかかるが、竜巻被害は頻度は少ないとはいえ、全国的にはかなりの費用が私費や税金から支払われている。どうせ費用をかけるなら、前向きな防災対策に投入する方がよい。

◇「茨城県 竜巻、突風、降ひょう 農業被害額は5億1千万円」(農業共済新聞、2012.5-2)

 茨城県は8日、6日に関東地方を襲った竜巻や突風、降ひょうによる農業関係被害額は5億1千万円(速報値)と発表した。農作物はナシや柿、ニラなどの被害が2億1千万円(909ヘクタール)、農業用施設の被害は鉄骨ハウスなどの全壊、ビニールの破れなど3億円。また、栃木県が7日までにまとめた被害は、農作物が1800万円、農業用施設が1億5500万円となっている。
 NOSAI茨城(茨城県農業共済組合連合会、大山佳功会長)によると、NOSAI事業に関する被害状況(8日現在)は、園芸施設共済は90戸420棟に上る。笠間市では直径5センチの降ひょうにより被覆材に破損があり、内作のキクにも被害を受けた。筑西市では竜巻によるビニールハウスの全壊5戸20ヘクタールを含む23戸125棟で被害が発生した。
 農林水産省は8日、NOSAI団体に迅速、適正な損害評価の実施と共済金の早期支払いを求める通知を発出。被害発生地域のNOSAIの組合等では、迅速・適切な損害評価の実施と共済金の早期支払いに向け、被害状況の把握などに全力を挙げている。農林中央金庫などに対し、5月3日から4日にかけて東北や北海道などを襲った大雨や6日に発生した突風、降ひょう、大雨などの被害農林漁業者等に対する資金の円滑な融通などを依頼通知している。

◇「相次ぐ天候異変 基本技術と情報収集で備えを」(全国農業新聞、2012.5.18)

 今年の大型連休は後半があいにくの天気。東日本の太平洋側を中心に広い地域で大荒れとなった。連休最終日の6日には茨城、栃木で竜巻が発生。多くの家が損壊し、住宅の倒壊、集合住宅の損壊、トラックの横転、ビニールハウスの倒壊も見られた。家1軒が丸ごと吹き飛ばされるなど誰が想像できるだろう。
 今回の竜巻は、被害の長さが約31キロ、被害幅が約650メートルで、国内の竜巻としては非常に大きいもの。シカゴ大学の藤田哲也氏が考案した竜巻の風速を推定する指標「藤田スケール」では、F1〜2と推定されている。F1では、屋根瓦が飛び、ビニールハウスの被害は甚大となる。さらに強いF2では、家の屋根がはぎ取られ、倒壊する家も出てくるという。
 茨城県では、竜巻による農業被害額が5億円に上り、JA茨城中央は竜巻、降ひょう、大雨で被害を受けた農家に対する支援を発表。災害対策資金を創設し、500万円を限度に0.5%の低利融資をする。農林中央金庫や日本政策金融公庫は相談窓口を設置。鹿野道彦農相も連携した支援を行っていきたいとしている。

◇「県東部竜巻1カ月 住宅、ビニールハウスの再建進む」(下野新聞、栃木県、2012.6.6)

 県東部を襲った竜巻発生から6日で1カ月。住宅被害は5日現在で真岡、益子、茂木の3市町で計467棟、農業被害は総額約2億1400万円に上り、被災者の住宅再建やイチゴ農家のハウス再建に向けた復旧作業が着実に進む。一方、竜巻を想定した避難訓練など学校現場も防災対策に取り組んでいる。 
 県消防防災課によると、住宅被害は全壊が真岡6、益子7の計13棟、半壊は真岡6、益子22、茂木6の計34棟。県は全壊100万円、大規模半壊50万円の見舞金支給を検討。真岡市も全壊、大規模半壊に100万円と半壊に50万円、益子町も全壊、大規模半壊に各100万円を支援する方針だ。一部損壊は計420棟に上り、3市町は見舞金を支給する。 
 農業被害のうち1億2500万円はビニールハウスなど農業施設被害。益子町塙、JAはが野益子観光いちご団地はハウス111棟のうち36棟が全壊したが、ボランティアの支援などで5月中に撤去を終えた。

 

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