6.竜巻地帯のミクロ地学

戻る ホーム 上へ 進む

 

 世界というマクロな観点では、日本全体は竜巻発生の条件を備えている。

国全体が温帯に属する。

国全体へ寒気団がシベリアから到来する。

適度な傾斜の川に恵まれ、湿気があり、どの都道府県でも低地でも農業が営まれている。

黒潮や対馬海流などの暖流に囲まれている。

 日本の中を眺めると、温帯やシベリア寒気団の条件は、全国的に共通だが、低地の条件と暖流の条件を満たす地域は限られる。

  竜巻分布図(1961年〜2011年) (c)2012 copyright 気象庁)

◆竜巻発生地帯@ 日本海沿岸

 緯度的には寒い地帯もあるが、沿岸を暖流の対馬海流が流れている。

◆竜巻発生地帯A 東シナ海沿岸・琉球諸島

◆竜巻発生地帯B 東南海沿岸

◆竜巻発生地帯C 北海道西部、関東平野、濃尾平野、筑紫平野

 北海道の日高地方に竜巻が多いのは、暖流が津軽海峡を経て到達していることと符合する。

 

◆竜巻の少ない地帯@ 内陸

 日本全体は傾斜が多く、川が土砂を流して、内陸は凹凸のある土地になりやすい。内陸は標高が高いことが多くて気温が低い。例外は竜巻発生地帯Cぐらいである。

◆竜巻の少ない地帯A 東日本

 仙台平野のある東日本に竜巻が少ないのは、寒流の千島海流の影響と思われる。寒流が近いと陸地が暖まりにくい。暖まっても陸海の寒暖の差で風が吹いて、暖気がたまりにくい。

 

◇農地のスケールの大小に敏感になろう

 竜巻の多い地帯を四つに絞り込んだが、更にミクロにズームインするには、平地のスケールに敏感になる必要がある。結論からいえば、「1マイル(1.6km)」という農地の幅が、竜巻が発生しやすいかしにくいかの境目である。1マイルという長さは、大きな道路の信号のある交差点の間隔であり、小さな道路の信号のない交差点の三つ分ぐらいである。

アイオワ州と郡境界  (c)copyright wikimedia commons

アイオワ州:

東の州境のミシシッピ川の右岸

通称「世界の食糧の首都」「米国の中軸地」

人口 300万人(茨城県並み)

面積 14万平方キロメートル

 (日本の約3分の1、関東平野の約9倍)

最低標高 146メートル(栃木県宇都宮市並み)

東西 500km(新幹線の東京駅〜新大阪駅並み)

南北 320km(新幹線の東京駅〜白石蔵王駅並み)

 

郡(county): 左図の線で区切られた単位

 

アイオワ州クロウフォード郡 (c)2012 copyright GoogleEarth)

人口 17000人(茨城県利根町並み)

面積 1852平方キロメートル(東京都の85%)

東西 48km(30マイル) (東京駅〜大船駅並み)

南北 38km(24マイル)(東京駅〜久喜駅並み)

 

郡区(township): 

クロウフォード郡の場合は、

東西5列×南北4行の郡区に正確に区分される。

 

ソルジャー郡区  (c)2012 copyright GoogleEarth 

人口 145人(東京都青ヶ島村並み)

面積 92平方キロメートル(東京都大島町並み)

東西 9.6km(6マイル)

南北 9.6km(6マイル)

 この人工衛星写真で、縦横の線は道路であり、道路で区切られる四角の中の緑色の小さな四角は農家の敷地である。

 

道路区画:

ソルジャー郡区の場合は、

東西6列×南北6行の道路区画に正確に区分されている。

 

ソルジャー郡区の1道路区画 

 (c)2012 copyright GoogleEarth 

東西 1.6km(1マイル)

南北 1.6km(1マイル)

 (東京都の京橋付近の信号機のある大通りで囲まれる区画並み。)

 この写真のように、一つの道路区画の半分だけ所有する農家もあるし、複数の道路区画を所有する大農家もある。

 この例では一つの農家の住居・農地面積は1.3平方キロメートル(130ヘクタール)である。

 

 後で述べるがこの程度の広さが、防風などのための林を設ける適度な単位である。

 


[ 戻る ] [ ホーム ] [ 上へ ] [ 進む ]