3.竜巻が発生しやすい時期

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 竜巻が発生する季節は、たいていの農作物の栽培季節である春・夏・秋である。温帯の穏やかな気候である。

 日照時間が短く、陸地が冷えて西高東低の気圧配置が続き、等圧線の間隔が短く、冷たい西風が続く。
 大気が混合する「安定な」状態といえる。
 寒気団や暖気団による「不安定」な状態は、風の力による大気の混合で随時解消される。
 雷や竜巻は滅多に発生しない。

 日照時間が伸びて陸地が温まり始め、晴雨が交代し大気が混合する。海高陸低の気圧配置も生じる。
 等圧線の間隔が伸び、風が弱まり、大気が混合せずに、陸地に暖気団が育つこともある。
 亜寒帯や高地から冬の名残の寒気団が襲来すると、雷や竜巻が発生しやすい。

 日照時間が長く、相対的に冷たい海の高気圧が発達する。陸海の寒暖差や気圧差は冬ほどではない。
 等圧線の間隔が長く、蒸し暑い日が増える。海では上空との寒暖差によって、台風が発生しやすい。
 陸では暖気団が育ちやすく、亜寒帯や高地の寒気団が襲来すると、雷や竜巻が発生しやすい。
 日照時間が縮まって陸地が冷え始め、西高東低の気圧配置になるが、等圧線の間隔が広い。西風によって大気が混合し、晴雨の交代はあまりなく、過ごしやすい気候が続く。
 陸地で好天が続き、冬の予兆の寒気団が襲来すると、雷や竜巻が発生しやすい。 

 これらの穏やかな季節に地表が温まり、そこへ寒気団が急襲すると、大気の対流が普通の低気圧と高気圧による風では間に合わず、急速に対流させようとして竜巻が起きる。
◇日照と気温の変化
 アイオワ州アイオワ市と茨城県下妻市の年間気温を次のグラフに示す。


 アイオワ市は、夏至の直後の7月が年間で最高気温である。冬至からの冬は零下になる。気温が変化しやすい理由は、米国の農業地帯は乾燥気味であり、海から遠いからである。
 下妻市は、夏至から遅れて8月が年間の最高気温である。気温が変化しにくい理由は、海に近いこと、湿度が高いこと、農地と森林や市街地が混じっていることなどである。
 次の表は、日本と米国の農作業と竜巻の時期を示す。(○竜巻:竜巻が多い。◎竜巻:竜巻が特に多い)

 

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月

9月

10月

11月

12月

米国

(麦)

収穫 収穫  

植付

植付

    ○竜巻 ◎竜巻 ◎竜巻 ◎竜巻 ○竜巻 ○竜巻

 

 

 

 

日本

(米)

      育苗 田植 田植

収穫

収穫

 

 

          ○竜巻 ○竜巻 ○竜巻

◎竜巻

◎竜巻

 

 

 気温の変化は、農業にも竜巻にも影響する。

米国の冬作の麦は、夏至の6月や最高気温の7月に収穫期を迎える。

米国の竜巻は、春から夏が多く、中でも4月から6月までに多い。陸地が暖まりやすいからである。

日本の稲作は、夏至の6月頃は水田の状態であり、次第に水を減らして、9月から10月に収穫期を迎える。

日本の竜巻は、夏から秋に多く、特に9月や10月に多い。陸地の湿度が高く、水田が暖まりにくいからである。

 

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