2012. 2.18 雪下ろしは窒息が恐い

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除雪 また事故、男性ら死亡(朝日新聞山形、2012.2.7)

 6日午後0時10分ごろ、寒河江市田代で、自宅の小屋の雪下ろしをしていた農業N.O.さん(77)と妻Mさん(74)が高さ約5メートルの屋根から転落し、Nさんが雪に埋もれて窒息死した。自力で脱出したMさんが近所に助けを求め、4〜5人で約1メートルほど埋もれていたNさんを助け出したが、病院で死亡が確認された。
 山形市緑町2丁目では午後4時55分ごろ、無職H.K.さん(72)が自宅西側の側溝付近で倒れているのを妻が見つけた。Kさんは病院に運ばれたが間もなく死亡した。山形署によると、死因は心筋梗塞。午後3時半ごろから通路の除雪作業をしていたという。
 村山市楯岡楯では午後2時10分ごろ、民家の土蔵の雪下ろしを手伝っていた60代の男性2人が屋根から約4.7メートル下に落ち、けがをした。1人は肋骨が折れる重傷。金山町中田でも午後2時ごろ、車庫の雪下ろしをしていた女性(60)が約3メートル下に転落し、太ももの骨を脱臼するけがをした。
 南陽市宮内では午後2時40分ごろ、民家の除雪を請け負っていた近くの建築板金業の男性(53)が同僚ら5人と作業中に6メートル下の地面に転落し重傷を負った。
 また山形市山家町で5日午後6時50分ごろ、Y.O.さん(71)が自宅の屋根で倒れているのを隣人が見つけた。病院に運ばれたが、死亡が確認された。山形署によると、死因は心筋梗塞。午前9時ごろから雪下ろしをしていたという。

これらの記事から、屋根から転落することは、それほど死因ではないことが分かる。

雪で口や鼻がふさがれるか胸が圧迫されるかした窒息死が多い。最初の例は、検死の結果が窒息死だということは、落下した打撲では死ななかった証拠である。助け出しても救命が間に合わなかったのは、窒息死はほとんど即死だからである。

東日本大震災の死因は、津波による溺死がほとんどで、次が建物倒壊による圧迫死であり、いずれも窒息による即死である。呼吸器系の不調は簡単に死因になる。

窒息死の次に目立つのは労働による心臓麻痺や発見が遅れての凍死などである。

ニュースでは「転落」という言葉が視聴者に強い印象を与えやすい。転落の打撲死は、梯子の登りかけやビニールハウスの屋根からの突き抜けなどで、地面に雪が積もっていない場所における少数のケースである。

■雪の事故:死者100人超す…今冬(毎日新聞、2012.2.17)

 今冬の大雪に伴う死者が103人に達したことが16日、総務省消防庁のまとめで分かった。
 103人のうち雪下ろしなど除雪中の事故で78人が亡くなっており、65歳以上の高齢者が67人を占めた。落雪による死者が17人で2番目に多く、雪崩でも4人が死亡した。新潟県が23人で最も多く、北海道が21人、山形県が15人だった。重傷者は663人に上った。
 国の「大雪に対する防災力向上方策検討会」は昨年12月、除雪中の事故防止のため、複数人での作業▽携帯電話を持つ▽命綱・ヘルメットの着用▽はしごの固定▽気温上昇時に特に注意する…などを求めている。

東日本大震災の海に面していない市町村の死者は、約70人であった。阪神・淡路大震災の陸上の死者の数に比べて、桁違いに少ない。

雪下ろし事故の多くは「人が下ろそうと意図した雪が落ちて、その人が死ぬ」のである。

複数人で作業したとしても、窒息はたかだか数分で死に至るので、救命は間に合いにくい。

携帯電話を持っても、息ができなければ電話はかけられない。

命綱は屋根雪崩に対して役に立つかも知れないが、役に立たないかも知れない。

ヘルメットは雪のない地面に落下する時には役に立つが、そういう事故は少ない。

はしごの固定は、昇降中の転落による打撲に役立つが、落雪には役立たない。

人より下にある地面へ転落することの恐さに注意を向けることよりも、人より上にある屋根の積雪が、極めて恐ろしいということに注意を集中すべきだ。

 雪下ろしをする人は、屋根の積雪の下側にならないような作業方法をするべきである。

   @気温が低くて雪が硬い朝方に、人が登ることのできる幅だけ、屋根の頂点まで雪を下ろす。

   Aその後は、積雪の横から雪下ろし作業を進める。

 雪の事故の死者に高齢者が多い原因には、恐怖心の劣化していない息子が同居していないとか、収入がないので業者に頼めないなどの事情が少なくない。しかし、高齢者でも安全に雪下ろしする人はとても多い。老化によって恐怖心の個人差が大きくなるのが原因である。人よりも上にある積雪が恐いという心が衰えた人が危ない。

個人差の問題を一般的に警告するコツは、あれもこれもと欲張らずに、重点を明確にすることである。

当局やマスコミは雪の事故に対して、窒息問題とその予防策に重点を置いた警告をすべきだ。別の例としては、風邪対策もうがいキャンペーンは、うがいやマスクよりも、手洗いに重点を置くべきだ。手洗いの個人差はとても大きい。

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