■渦に巻かれ船反転 天竜川下り事故、運航会社を捜索(中日新聞、8月18日) |
記者会見では左のような地図が描かれていた。地図では上が北であり、左岸とは下流方向へ向いた場合の左の岸である。丸印が事故のあった岩壁である。
私が撮影した現地近くの案内図(右)は右が北であり、やはり流れが二つある。船はなぜ広い方を下らなかったのだろうかと不思議に思った。
次のGoogleEarth画像では流れは一本である。私が現地で確かめたところ、実際の流れは一本であった。
一番目の船に乗船した女性船頭(58)は「私の時は何も問題なかった。この時期は川の水が少なくなる。きょうも少なかった。水があった方が(安全上は)いいんだけど」と話した。(中日新聞、8月18日) |
雨天で流量が多い時には流れの幅が広くなるので、波や渦などの乱れは減る。また、流れの幅が広い方が、舟が渦を避けるのには余裕がある。 今回は好天であり、流量は標準より少し多い程度であった。雨天の時よりも、流れの幅が狭くなるので、波や渦は強くなる。また、舟が航路を選ぶのに余裕がなくなる。水量が多い場合と少ない場合とが乱れは少なく、標準的な場合が最も乱れが多い。だからといって難所ということではない。
以上の結果を見ると、ダム再編事業によって下流部に砂が到達するようになった場合に最も問題となるのは植生帯の存在である。(中略) |
土木学では樹木が土砂の流れを妨げることは定説である。次の図の矢印の部分の本流がなくなったのは、中央部左から出っ張っている樹木がじゃまをして、土砂が流れなくなったせいだと思われる。残された流れは河床の浸食が進み、深くて急流になり渦を巻くようになったのだろう。
出っ張っている樹木を伐採し、河原を掘削して昔の本流を復元すれば、より安全に川下りをすることができる。河川管理の報告書を読むと、川俣地区からは樹木伐採の陳情があったのだが採用されなかった。採用された地区もあるので、陳情活動の強弱のせいではないだろうか。
■運航会社が撤退決定 天竜川下り、浜松市長「別の形に」 |
消えた本流に続いて、川下り船も歴史上だけの存在になってしまうのだろうか。本流とともに川下り船を後世まで残すことはできないだろうか。