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『白描』は第一部「白描」として、短歌502首、長歌7首を、第二部「翳(えい)」として、短歌154首の二部構成の作品です。各部に著書のモチーフを語る序文が掲げられ、第一部には必要に応じて短歌に詞書(ことばがき)を寄せていますが、第二部には詞書はありません。第一部「白描」はハンセン病を診断された日から終局までの闘病生活を自伝風に綴っているのが特徴です。第一部は全般に時代を追って構成されていますが、第四章<幾山河>は回想をとりいれています。第二部「翳」は、第一部「白描」とは章のたて方も歌の性質も異なっています。歌の発表順位なども無視され抽象的な歌が多く集録されました。現実離れした超越的な歌に対して批判をする歌人もおりましたが、「翳」には闇夜に生彩を放つ星のように秀歌が数多くきらめいております。 |