お吉は旅芸人になって、三島、江戸と流れたが故郷が恋しくなり下田に戻る。 別れた後しばらくして鶴松は亡くなってしまった。お吉は、下田に戻って人生を 一から始めようと思い、そして、亀吉という船主の援助を受けて下田の町に料亭 「安直楼」を開業し、時には髪結いもして稼いだ。ただ相変わらずお吉は酒好きで 金遣いも人遣いも荒かったので自然に人が遠ざかるようになった。安直楼もやがて 廃業せざるをえなくなった。