働く女性として、主婦として、母としてその経験を生かすという社会貢献のあり方は、実は誰にでもできることで、私はこれを住宅の設計で実現させようと思いました。現在、女性は単身であっても、十分家を建てる経済力を持ち、社会で活躍しています。
それなのにまだまだ建築業界は男性社会で設計者、施工者の大半は男性です。主婦でなければわからない家事動線、育児経験者でなければ理解できない間取りのあり方、介護経験者でなければ知りえない悩みなど、多くの解決しなければいけない問題が家つくりには存在します。
「単身赴任中で打ち合わせは主に妻がするので女性の設計士さんを探していました」とか「子育て中心の家をつくりたいので、育児経験のある女性建築士の方を探していました」といったご意見を聴くたびに、私たち女性建築士の使命は大きいと感じています。
高額でなくとも、住み心地が最高の自分仕様の家が完成すれば、建築士冥利につきます。
まだまだ苦労続きですけど・・・
松浦旦美
(まつうら あさみ)
松浦旦美建築事務所代表
一級建築士
一級建築施工監理技士
インテリアコーディネーター
プロフィール | 1960年 静岡県生まれ 藤枝東高校卒業 武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業 設計事務所勤務などを経て平成12年独立 静岡県知事登録(4)5716号 |
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住所 | 〒426-0041 静岡県藤枝市高柳4-16-32 TEL 054-635-3710 FAX 054-635-3997 |
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設計に関する考え方
「街並みにとけこむこと」
家の中から見た景色と同じようにその家も他の家の景色となっています。他の家から見たくない景色にならないためにも、町並みに溶け込んで、美しい佇まいを見せたいものです。
「シンプル is ベスト」
忍者屋敷のような驚きは必要ありません。すっきりしていることが施工的にも安定して、雨漏りや不具合から回避できるのです。動線の単純化や、流れるような屋根の美しさは、日本古来から伝わる最もすぐれた価値観のひとつです。
「まずはプランニング」
長く住み続けるには、プランニングの重要性がかかせないと思います。それぞれの家族にそれぞれの価値観(住まい観)があります。子供部屋の考え方、浴室・キッチンの使い勝手は様々です。十人十色のプランニングを目指します。
「感動する」
美しさは言葉では表現するのは難しいですが、美しいものは必ず見た瞬間、感動します。必ず感動を与える瞬間を演出します。
「階段のディティールにこだわる」
階段は唯一、平面と平面をつなぐ立体的なオブジェと考えています。機能とデザインの共存したオブジェです。階段廻りは必ず吹抜けになりますから、壁と階段を同時にデザインします。
「収納について」
広くてたくさんあればいいというものではないと思っています。この感覚は主婦の方であれば納得できると思いますが、収納は適材適所という言葉がぴったりなんです。1箇所に広い空間があってそこに全てを収納するのでは、まるで不便です。リビング近くには、読み終えた新聞入、掃除機置き場が必要ですし、洗濯洗面所には、多種の洗剤置き場、玄関には家族分の傘入れが必要です。
無用の広さの収納は捨てることを怠慢にする原因になりまねません。実は、うちの大きな納戸には、壊れたファンヒーターや扇風機が何台もそして何年も居座っています。