※このお話は「Triangle」の続編です♪
Triangle:Chapter2



―Love is a kind of masic that makes me crazy―


イトーヨーカドー3階の書店。
宮島要は新刊文庫コーナーで立ち読み中。
ふいに制服のポケットの中でマナーモードの携帯が着信を知らせる。
要は折りたたみ式携帯を開いてメールの内容を確認し短い返事を送るとまた携帯をポケットにしまった。
「天、雪野ちゃんもうすぐ来るって。」
言いながら横を見たらさっきまで隣にいたはずの従弟の姿はなかった。
しばし沈黙。
「まぁ、いいか。」
要は立ち読みを再開した。

「お待たせ」
前田雪野は本に熱中している要の肩をたたいた。
「あれ?天くんは?」
いつも要とセットでいる天の不在に雪野はあたりを見回した。
「ん、大体見当はついてるけどね。...これどうしようかなぁ。」
要はまだ立ち読み途中の文庫を持って考え中。
その表紙に目をやった雪野は思わず「げ」という顔になったが(声は出さず)要は気づかなかった。
「...これ、買うの?」
「うん、途中まで読んでけっこうおもしろいし続きも気になるから...」
「ま、また今度でもいいんじゃない? そ、そ、それより今は天くん、探さなきゃ!! 早くしないとバイトに遅れちゃうでしょ!?」
「? そうだね。」
なぜかひとりあせりまくってる雪野を変に思いながらも、要は文庫本を元の位置に戻した。

「いたいた」
天は書店と同じフロアのおもちゃコーナーでPS2のデモ機に夢中になっていた。
始めは天も要といっしょに書店をぶらついていたのだが、要は書店に来たらすみからすみまでチェックしないと気がすまない人だった。
雑誌コーナーやマンガコーナーを見ていたときはまだよかったのだが、天にとっては難解な(!?)ハードカバーや文庫本のコーナーは退屈極まりない。
また、こういうコーナーは立ち読みし放題なので要もハマりやすい。
要が本に熱中して自分にかまってくれなくなったので、天はおもちゃコーナーへふらふらと流れていったのだろう。
「て...」
天を呼ぼうとした雪野に要は「しーっ」と人差し指を立てた。
そして、要は天に見つからないようにこそこそと雪野を下りのエスカレーターへ連れて行った。
「? いいの、要くん?」
「いいの、いいの。」
ふたりはエスカレーターで下のフロアへ。
当然、天はそんなふたりに気づいていなかった。

ピンポンパンポーン。
「迷子のお知らせをいたします。
 K町からお越しの宮島タカシくん。
 ご家族の方がお待ちですので至急1階サービスカウンターまでお越し下さい。
 くりかえします...」

「か、要〜!!!」
1階サービスカウンター前。
3階からエスカレーターをダッシュで駆け下りてきた天は息を切らせながら仁王立ちしていた。
「よ、早かったね。」
カウンターの横のベンチに座っていた要はにっこり笑い手を上げた。
要の隣の雪野はどうしたらいいのかわからず黙っていた。
「なんだよ、あれ!?」
「迷子のお呼び出し♪」
「そうじゃなくって〜!!!」
"怒り頂点に達する"という状態の天に対して余裕たっぷりの要。
「なんであんなことするんだよ!?」
「天が突然いなくなっちゃうからでしょ。」
「オレはゲームコーナーにいたんだぞ!!」
「あ、そうなんだ、気がつかなかった。」
けろっとした顔でうそをつく要にさすがに雪野も苦笑い。
(ちなみに、厳密に言えば"ゲームコーナー"はUFOキャッチャーなど有料のゲームがあるところ(笑))
「ちょっと探せばわかるだろう!! 同じフロアにいたんだから!!」
「あ、なに、おれの方が悪いの? 天がおれにひとこともなしにどっかいっちゃったから心配してたのにぃ。」
泣きマネつきで「心配してたのにぃ」をくりかえす要に思わず笑いそうになってしまった雪野はあわてて横を向いた。
天はくやしそうにくちびるをかみ締めた。
「......でも、なぁ、メールで連絡するとかほかにいくらでも...」
自分の負けなのはわかっていたがなんとか最後の反撃をしようとした天だったが、要の満面の笑みに白旗を揚げた。
「で、天くん?」
「オレが悪かったです、もうしません。」
ひじょ〜に不本意な顔で天は頭を下げた。
「悪魔...」
「ん、なんか言った、雪野ちゃん?」
「ううん、なにも...」
このふたりの力関係を改めて思い知らされた雪野であった。

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第2部スタートです(^^)
タイトルはQUEENの曲から。
ちなみに、最初の英文は歌詞ではなく綾部が勝手につけたものです♪
("愛は心狂わす魔法のようなもの"という感じ←今回のテーマです ̄m ̄ ふふ)
[綾部海 2004.3.7]

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Photo by おしゃれ探偵