ぺたっ。 おでこの上に冷たい感触。 なんか気持ちいいかも。 「あ、起きちゃった?」 目を開けるとまゆ先生のどアップ!! なんで!? 「びっくりしたよ〜突然倒れちゃうんだもん。」 どうやら先生があれだけ注意してくれたにもかかわらず、俺はしっかりと風邪をひいてしまったらしい(爆) 俺はさっきまで座っていたソファに寝かされていて毛布がしっかりとかかっていた。 おでこには冷えピタが貼られていた。 「ごめんね、こんなところで。ほんとはお布団の方がいいと思うんだけど運べなかったもんで...」 「あ、いいですよ。ここで十分。」 「風邪薬飲む前になんか食べてからいいんだけど...。大丈夫?」 「あ、はい、食べます。」 俺は起き上がって先生が作ってくれた雑炊を口にした。 「おいしい...」 「ほんと!? よかったぁ」 先生はほっとしたように笑った。 俺、ここ最近なんか食べておいしいって感じたことなかったのに。 おまけに、風邪ひいたときって味がよくわからないって言わないか? でも、なんでこれは...? まゆ先生が作ってくれたから? 結局俺は雑炊を全部たいらげてしまった。 そして、リビングの隣の和室に先生が布団を敷いてくれたのでそっちで寝ることにした。 薬が効いたのか俺はすぐにねむってしまった。 カタン。 なにかの物音で目が覚めた。 正確な時間はわからないがおそらくもう夜中だろう。 薄暗い中、見慣れぬ天井やいつもと違う寝床の感触に一瞬、自分がどこにいるのかわからなくなったが、すぐにまゆ先生や風邪をひいたことを思い出した。 物音はふすまの向こうのリビングからしたようだった。 おそらくまゆ先生だろう(そうでなかったら大変だが...)。 リビングとつながっている台所になにか飲みに来たのかもしれない。 そう思ったらなんだか俺ものどがかわいたような気がしてきた。 俺は布団から出てふすまをそっと開けた。 「先生...?」 台所のあたりにいたまゆ先生は一瞬びくっとしてリビングの明かりをつけた。 突然の光に思わず目を閉じた。 「ごめんね、起こしちゃった?」 「いえ...」 俺も和室から台所へと行った。 「具合どう?」 「だいぶ楽です。」 先生は俺の額に手をあてた。 「うん、熱もだいぶ下がったみたいね。」 たしかに寝る前にくらべるとだいぶ頭がすっきりしていた。 でも、まだ熱はあるらしく、先生の冷たい手が心地よかった。 「先生こそ大丈夫ですか?」 気がつけばまゆ先生の顔は真っ青だった。 「あ...大丈夫。なんでもないよ。」 でも、その笑顔はなんだか弱々しかった。 「ほんとに?」 「うん。人の心配はいいから、まずは自分の風邪治さなきゃね。」 先生はにこっと笑って俺の頭をポンとなでた。 ほんとはまだ心配だったが先生もこう言ってるし今の笑顔はさっきよりもしっかりしてきたので大丈夫なのだろうと思った。 先生が台所から持ってきたスポーツドリンクを少しもらってまたねむりについた。 ガタン。 また物音で目が覚めた。 まゆ先生がまたリビングに来たのかと思いふすまを薄く開けてのぞいてみたがそうではないらしい。 リビングの時計を見たら8時過ぎだった。 一瞬、「学校に遅れる」と思ったが、今日は土曜日で学校は休みだった。 だからこそ先生も泊めてくれたのだ。 「腹へった...」 考えてみたら昨夜はカロリーメイトと雑炊しか食べていない。 しっかり寝たせいか風邪もほとんど治ったらしい。 ムリに寝ている必要もないだろうから起きることにしよう。 この時間なら先生もそろそろ起きるだろう。 玄関近くのトイレに行こうとした俺はリビングの扉を開けた。 すると、リビングから玄関へと続く廊下の途中のドアが開けっ放しになっていた。 ちらっとのぞいてみるとどうやらまゆ先生の寝室らしい。 ベッドのまわりにぬいぐるみや本がいっぱいあった。 しかし、先生の姿はなかった。 まさか...? やっぱりさっきの音はまゆ先生なのか? ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ 一応"連載を意識した引き"(!?) まゆ先生にいったい何が!?(←自分で言うな?) [綾部海 2003.10.15] |