7月のとある夜。 お風呂上りのパジャマ姿で自分の部屋にやってきたわたしはベッドの上に座り込むと机の上に置いてあった携帯を手にした。 ...着信メール2件...どっちも友達からだからとりあえず保留。 そして、わたしはぽちぽちと文章を入力。 『7/20は何の日でしょう? さや』 そのメールを送信してさっきの友達からのメールのレスを入力していたらメールがきた。 『? 元海の日』 わたしはその内容に笑いながらそのレスを入力。 『ブー!! ちがいま〜す!!(>_<) さや』 今度はメールを送信するとわたしは何もせずに手にしていた携帯をじっと見つめていた。 そして、しばらくすると携帯からサザンの着メロが流れ出した。 わたしはにっこり笑うと通話ボタンを押した。 「もしも〜し♪」 『あのな〜、1回で済まないんだったら電話しろ!!』 「だって、先生が時間あいてるかどうかわからなかったし♪」 『...』 電話の向こうの困った様子にわたしはふふっと笑った。 電話の相手は杉本哲史先生。 うちの高校の社会の先生で女子バレー部の顧問。そして...わたしの大好きな人(照) ずっとわたしの片想いだったのだけど、いろいろ(!!)あって先月、わたしたちは恋人同士になった(嬉) でも、"先生と生徒"ということでわたしたちの仲はみんなに秘密で、まだデートもしたことないんだけどね...。 それでも、つきあい始めてから毎日こうやってメールしたり電話で話したりしてるし、これだけでも十分しあわせだったりする。 「で、問題!! "7/20は何の日でしょう"!?」 『だから、"元・海の日"。』 「ちがいます〜!!」 さっきのメールと同じ答えにわたしも同じ返答をすると、先生はまた考え込んでしまったらしい。 『...ローマ教皇・インノケンティウス9世の誕生日。』 「え!?うそ!?」 『いや、ほんと。』 ...ってそれってだれ!? いつの時代の人!? さすが"歴史おたく"...(汗) 「も〜"ローマ教皇"じゃなくてわたしの誕生日〜!!!」 あ!! 自分で答え言っちゃった...。 『...ふ〜ん。』 あれ? 電話の向こうの先生、なんか反応うすくない? 「"ふ〜ん"じゃなくて、こういう時は"じゃあなにかプレゼントしなくちゃ!! なにがいい?"とならないかなぁ?」 『"プレゼントなにがいい?"』 ...たしかに自分でもちょっと強引かなぁと思ったけれど...ほとんど"オウム返し"じゃない、それじゃあ...? わたしはちょっとがっくり気分になったがなんとか気を取り直した。 「あのね...キス♪」 『却下。』 「わ、はやっ!!」 『絶対だめ。』 ...そりゃあ、半分冗談で言ったんだけれど、そんな言い方しなくてもいいじゃない...(涙) わたしはぶーっとふくれて黙りこくった。 すると、電話の向こうで先生がくすっと笑う声が聞こえた。 『どっか行くか?』 え!? 今の、聞き間違いじゃないよね!? 「ほ、ほんとに!?」 『あぁ。20日はまだ学校もあるし成績処理とかで忙しいけど、その後の土曜日なら夏休み入るし大丈夫だと思うけど。どうだ?』 「行く!! 行く行く行く行く!!」 わたしは思わず携帯を握りしめて叫んでしまった。 はたっと我に帰ると、また先生がくすっと笑うのが聞こえた。 『どこか行きたいところあるか?』 「えーっとね...水族館!!」 『よし、わかった。あ、でも、その前に期末があるんだからしっかり勉強しろよ。』 「うっ...」 そういえば、あったね、そんなものも...(おいおい)。 『赤点取ったら連れてってやらないぞ。』 「だ、大丈夫!!」 そして、おやすみのあいさつをして電話を切ったわたしは思わずばんざいしてしまった。 先生と初デートだ〜!! そして、期末テストもなんとかクリアし、あっというまにデート当日。わたしはM駅の北口にいた。 先生が来るのを待っている間、わたしは"誰か知っている人に会ったらどうしよう"とか"この格好変じゃないかなぁ"とひとりでドキドキしていた。 今日のスタイルはこの日のために準備したおニューの黄色いワンピースに白のミュール。 両方ともお店でひとめぼれした品なんだけど、ワンピースはすそがひらひらしているのがなんだか気になるし、ミュールはヒールがちょっと高めで実は歩きづらい。 それにいつもはポニーテールにしている髪を下ろして、軽くお化粧もしてみた。 いつもとあまりにも違う(!?)この姿でよけいに"誰かに会ったらどうしよう"という気分にさせ、だんだんと顔がうつむいてきてしまった。 「沙也。」 その声に顔をあげると、目の前に黒いポロシャツと黒のジーンズ姿の杉本先生が立っていた。 ...か、かっこいい!!! 先生は授業の時はいつもワイシャツ姿でそれもかっこいいだけど、カジュアルな姿は見慣れないせいかよけいに...。 わたしは思わず言葉もなく先生に見とれてしまった(照) 「一瞬わからなかったぞ。」 くすっと笑いながらそう言う先生にわたしは自分の姿の恥ずかしさ(!?)を思い出してしまった。 「えっと、あの...」 ひとりでドキマギしているわたしに先生は「?」な様子だったけれどまたくすっと笑った。 「じゃあ、行こうか。」 先生が駅前の駐車場の方へ歩き始めたのでわたしはあわててついていった。 やっぱりミュールが歩きづらかった。 ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ すみません、予想より長くなっちゃったもんで2回に分けちゃいました!!(また^^;) 後編は明日にでもUPしたいと思っておりますm(_ _)m (そして、背景は"カクレクマノミ"だけどまだ水族館までたどり着かず...) [綾部海 2004.7.24] |