アンバランス NO.2 二人が見た夢
「―――というわけなの」
3人は、一度、エドワードの部屋へ入ることにした。
扉の前で、立ち往生している二人は、明らかに不自然で、目立って・・・目に付いてしまうのも無理はなく。
他の宿泊している客の目を気にして、アルフォンスは、今にも泣きそうな顔つきの、姿・身体はエドワードだが、中身はと、イライラしているのか、しかめっ面の・・・いや、中身がエドワードを優しく部屋へ促す。
簡単に、簡潔には自分の見た夢を、アルフォンスとエドワードに説明した。
「それなら、オレも、お前と同じような夢を見た」
「えっ!?エドもっ!?」
は、驚いて目を丸くする。
まだ、自分達の姿に、お互い違和感があるようで、あまり目を合わせない。
正確には、合わせられない、合わせづらいと云った方が正しいだろう。
いつもなら、笑顔で話し合う二人が今は、目も合わせない状態だ。
いくら、心が入れ変わったとしても。
「あぁ。けど、オレが見た夢は反対・・・逆に近かったな」
静かに1回だけ頷くエドワード。視線は、変わらずテーブルにいっていた。
「それって・・・どういうことなのかな?」
アルフォンスが身を乗り出し、向かいに座っているの姿のエドワードに問い掛けた。
「・・・お前は、オレがまるで気を失っていたか、寝ているように見えたと言ったよな?」
「うん・・・そう」
アルフォンスの隣りに、腰を下ろしているは、軽く頷いた。
「それが、オレの見た夢では、違っていたんだよ」
「「えっ!?」」
思わず、アルフォンスも声を上げ、エドワードの身体であり、中身は・・・と顔を見合わせる。
「オレの方では、お前が横たわって錬成陣の上にいたんだ」
「わっ、私がっ!?」
エドワードの言葉に、はよりいっそう、驚いた表情をみせる。
「あぁ・・・。オレは、お前を助けようとしたんだ・・・けどさ、身体が思うように動かなくて」
悔しそうに、エドワードの・・・の顔が歪む。
「・・・エド」
自分だって、身体さえ動いていたら、エドワードを助けれたかもしれない・・・。
それは、お互い同じ思いのようだった。
は、エドワードを。エドワードは、を助けたかったのだ。
「まるで・・・そうだな、金縛りにあっている。もしくは、術でもかけられたような、そんな感じだった」
淡々と、話ていくエドワード。
「あとは、だいたいと同じだな」
ふう、と小さく息をつく。静かに時間が流れていく。
少し間をおいて、アルフォンスが口を開いた。
「じゃあ、その兄さんと、に近付いてきた・・・術をかけた人は・・・同じということになる?」
「可能性から言って、充分あるな。恐らく、高度な術を使う錬金術師か何かだろう」
落ち着いた口調で、エドワードは自分の中の可能性を答える。
「そっか。・・・じゃあ、その術師の人を見つけて元に戻してもらわないと」
どちらかと云うと、喧嘩はあまり好まない、平和主義のアルフォンスは、暫し考えてから、そう言葉を口にした。
「甘いな、アル・・・」
アルフォンスの発言を遮るように、エドワードは一言、そう言った。
「へっ!?」
何か、嫌な予感がする・・・と思ってしまう、アルフォンス。
しかも、今はの顔であるため、余計に違和感があるのだ。
「その張本人が、易々とオレ達を元に戻すとは思えない・・・何か、嗾けてくるはずだ」
はっきり、エドワードは言い切った。
「あっ。そっ、そうだね」
「まぁ、尻尾を出したら、オレが錬金術と素手でボコるのみだけどな!」
うわははは・・・!
落ちかけていたテンションを元に戻し、エドワードのいつもの笑い声が(の声だが)部屋に響き渡った。
「・・・兄さん?身体は、のなんだよ?そこら辺、分かってるよね?」
それを、横目で見てアルフォンスは、を気にしながらエドワードに投げかける。
「・・・あっ」
ハッとして、きまづいような表情をするエドワード。
「まったく!の身体で、喧嘩なんて出来る訳がないだろ」
腰に手を当てて、アルフォンスは何時ものように兄を注意する。
「・・・ ・・・」
何も言い返せないエドワード。
もし、元に戻った時に、痛い思いをするのはだ。
それに、顔に傷でも付けたら・・・男と違って、女は一生もんになってしまう。
そうなったりしたら、その時は責任持って・・・とも考えてしまう、エドワードだった。
自分の身体で闘い、には少しの間だけ我慢して貰うしかないのだ。
「じゃっ、じゃあ、に戦って貰うしかないよな?一応、オレの身体だし」
「・・・ボクだって、本当はあまり、気が進まないけどね」
エドワードの意見に、アルフォンスは軽く息をつくと、同意する。
「・・・えっ!?」
エドワードの唐突な発言に、言葉が出てこずにその場で、口を半開きにして驚いてしまう。
「―――ってことで、。テスト錬成と、組み手やるぞっ」
そう言うと、エドワードはスタスタと、部屋の出入り口である扉に向かって歩いて行く。
「えっ!?あっ、あのっ!?」
困惑気味のに、アルフォンスは優しく言葉を付け足した。
「大丈夫だよ、。ちゃんと、手加減するからね。それに、兄さんの身体じゃ大丈夫だと思うよ」
「おいっ!早く行くぞ!」
ドア・ノブを掴んで、今にも飛び出していきそうなエドワードが、二人に声をかける。
「うん、わかったよ」
「あっ・・・う、うん!」
そして、3人は扉の向こうへ消えて行った。
一言後書き・・・紛らわしくて、すいません;;
エドがヒロインの身体で、ヒロインがエドの身体なので、エドが言っている台詞は
ヒロインが言っている感じで読んでいって下さい(苦笑)感想下さると嬉しいです。
何処まで続くか分かりませんが、最後までお付き合い下さいませ。
2004.6.14.ゆうき