復刻盤の有無のチェック&デジタル化する音源のセレクト
多くのアナログ音源を所有していて、整理や保存のため、デジタル化を検討している方は多いと思います。その場合、闇雲にPC録音しようとしても膨大な時間がかかってしまうので、あらかじめデジタル化する音源をセレクトする事がポイントになります。

私はメディアの整理のしやすさを考えると12cmCDサイズへの統一ができればベストだと思っているのですが、現実は完全CD化にはほど遠い状況です。

アナログメディアのうちレコードのCD化を考える場合、最も簡単なのは復刻盤CD(音楽CDが登場する以前にアナログレコードで発売されたLPを音楽CDにしたもの)を購入する事です。
 余程お気に入りのレコードでないと手持ちのアナログソースのCD再購入には抵抗がある方もいると思いますが、わざわざ自分でデジタル化する時間と手間を考えると、逆に安上がりになる場合の方が多いと思います。

そこで、この頁では、自らPCデジタル録音に手をつける前に行うべき作業として、復刻盤CDの情報チェックについて掲載します。



POINT
■音源が音楽の場合は復刻盤が発売されていないかチェックする
■レコードより先ずテープを古いものからセレクトする
■世間一般の価値観ではなく自分自身の価値観や思い入れを優先してセレクトする
■リスト一覧を活用して処分する(捨てる)事も検討する
■すべてをデジタル化しようなどという遠大な計画は立てない(^^;

お行儀の良い(^^;レコードのデジタル化コレクションの進め方
復刻盤CDは新譜に比べても割安で、中古や企画会社が発売している廉価版など非常に安価に購入する事も可能です。
 手間暇かけて自分でデジタル化するより結果的にはオトクという場合もあるので
レコードのCD化を考える方は復刻盤の有無のチェックは欠かせません。

なぜならアナログ音源のデジタル化を当サイトで扱っているPCを媒介としてCD-Rに焼く場合アナログソースの再生時間の2倍位の時間がかかる。例えばLPレコードを100枚持っている場合はすべてCDに焼こうとしたら、1枚平均40分の収録時間として8,000分(約133時間)は最低必要になります。
 時間に余裕がある学生諸氏(そんなヒマないか(^^;)や、定年になって何か始めたいという方以外は、以下の手順でデジタル化(CD購入を含める)を進めるのが正しい作法では?

1.レコード・テープのタイトルリストの作成(傷や劣化状況も把握しておくと良い)
      ↓
2.ネットでCD化されているレコードの有無を音楽サイトやレコード通販サイトでチェックする
      ↓
3.見つかったら、ふところ具合と相談しながら(^^;購入予定を考える
      ↓
4.ネットでCDが見つからない場合、次の点を見極める
たまたま検索したサイトで見つからない場合→別のサイトで検索してみる

以前CDに復刻されたが、現在再び廃盤になった場合→中古店、リサイクル店、ネットオークションなどで探してみる

元々廃盤でCD化された事実が無い→自分自身の「アナログ音源デジタル化計画」をしっかり立てて、お気に入りのものからデジタル化にチャレンジ!!

廃盤情報のチェックと復刻盤の入手
廃盤情報をネットでチェックする
チェックに役立つのが作成したタイトルリストです。これを利用してネットでCD情報を検索してみましょう。余程のマニアックなジャンルを除きJAZZ・ROCKやクラシックの名盤、昔ヒットしたPOPSは、かなり多くの作品がCD化されています。

ただしCDもすでに20年近い歴史があるので復刻盤の場合、限定数をプレス後廃盤になっているものも多数あります。

ネット上の音楽情報・レコードショップサイトで保有レコードのCDがあれば○、無ければ×、購入予定は◎とかチェックを付けておく。後日、中古店とかレンタルで見つけた場合は安く購入するか、借りるかなどもタイトルリストに記入する。

邦盤
Music Forest|音楽情報サービスネットワーク
日本レコード協会などが主体となっており邦人アーチスト楽曲の作詞・作曲者などチェックできるこの人の、この曲を聴きたいがCDになっているか?」を調べてCD化されていなければ自分でCDを作るのもいいでしょう。

洋盤
HMVなどのレコードショップサイトでは国内レーベルで発売されている洋盤だけでなく、欧米の輸入盤が数多く揃っています。日本では、もう手に入らなくなった70年代のロック・アーチストのCDも輸入盤なら見つかる事が多い。しかも安い!

復刻盤CDの特徴
一口に「復刻盤CD」とくくっても、昔のLPと同一タイトルのものがリミックスバージョンとかボーナス・トラック付き、あるいはCDだけのベスト盤etc。。。様々なスタイルで発売されており購入する場合も迷ってしまう。

復刻盤の特徴は、おおよそ以下に分類できると思います。音質については発売時期との関係もあり、アナログ盤と比較して一概にどちらが良いとは言い切れない。

−ソース別の特徴−

復刻版CDのソース(元音源)は以下のように様々ですが、最も多いのは磁気テープです。近年はレコードと全く同じタイトルのCDでも復刻される場合は、マルチトラックテープからリミックスしてマザーを直接デジタル化したものが多くなっているようです。

1.SPを復刻してデジタル化したもの→名演をSP盤から復刻したもので1940年代以前のクラシックの演奏が多い。モノラルで当然音質は悪いが、中にはノイズカットなどデジタル処理を施して「これがSPの音か」と思うような好音質のものもあった。

2.ミックスダウンした後のマザーテープをそのまま復刻したもの→このタイプが最も多い。LPに収録された内容とサウンドも全く同じだが、テープの保存状態が悪く新品でもノイズや歪みが聞かれるCDもある。
 元のLPに比べSN比が向上しワウフラッタも無いせいか、かえって迫力に欠けるもの、非常に音質が良いもの等千差万別です。周波数特性面では発売時期によりアナログレコードの方が良いものもあります。

3.マルチチャネル・オリジナルテープをリミックスしてデジタル化したもの→4トラック〜32トラック位のマルチトラックで録音されたものを、リミックスして復刻した盤。同じ演奏だがデジタル再生に合わせたバランスでミキシングしているという事で全体的に音質が優れている。一部のCDではLPと異なった楽器のバランスで別の楽しみ方ができるのは魅力ですが「昔のレコードバージョンの方が良かった」という場合もあり好みが分かれます。

4.デジタル録音でLP化された盤のCD化→すでに1970年代にデジタル(PCM)録音は行われてきたが再生メディアはアナログだったものをCDとして復刻。クラシック、特に指揮者のカラヤンが積極的にデジタル録音を行ってきた。録音機器の性能は当時と違うでしょうが現在発売されている新譜CDと同様のクリアな音質で経年劣化は無い。

5.原音不明のもの→スーパーの雑貨コーナーなどで欧米の著名アーチストのベスト盤が千円前後で売られている。「マガイモノではなかろうか?」と若干不安になるが安さにつられて試しに買ってみた方もいるはず。(管理人も同様(^^;)
 これはレコード会社の独占版権が切れたものを企画会社が発売している廉価版でちゃんと「JASRAC」のシールが貼ってあります。
 オリジナルCDと聞き比べると音が悪いもの、逆に良いように聞こえるもの等様々ですが、いずれも手持ちのオリジナル盤と音量レベルなど微妙に異なっています。原音テープを買い取って商売してるとも思えないので、どの段階のソースを利用しているのか管理人は知りません。まぁ手軽にベスト盤を楽しみたいという場合は十分だとも思います。もちろん歌詞カードや解説などは付いてません。

その他CDが74分とか80分まで収録できるメリットを活かして+αのオマケ曲(ボーナス・トラック)が入ったCDもでてまオマケの内容はともかく、ファンにとっては聞くことができなかった曲が聞けるのが魅力と感じる方も多いでしょう。

−発売時期による特徴−
CDが登場してから約10年位までの間に発売されたものは、周波数特性が20KHzを境に急激にダウンしています。音源が色々なものからデジタル化したCDをチェックしてみたがデジタル録音されたCDでも全く同じ傾向でした。

図1: 1980年代の復刻盤CD
図1
波形の見方
上記は1960年代にテープ録音された曲を1987年に復刻した音楽CDの周波数特性。(BEATLES/Come Together/1969)20KHz以上の部分が積極的にカットされている事がわかる。これは70年代のPCM(デジタル)録音されたものもまったく同じ傾向だった。

1990年代後半頃からの復刻盤はあえてデジタルリミックスしたものでなくても音楽CDの限界周波数(22.05KHz)まで帯域はフラットに伸びていて聴感上も倍音がよく高域まで抜けているのがわかります。(図2)

図2: 1990年代後半の復刻盤CD
図2
上記は1960年代にテープ録音された曲を1997年に復刻した音楽CDの周波数特性。(BOB DYLAN/Like A Rolling Stone)。22.05KHzまで高域がカットされず伸びている

復刻盤は上記のような特徴があるため、通常は発売が新しいものを買った方がより高音質・ノイズレスになっている可能性が高い。反面オリジナルテープ自体が劣化していくという現象も今後益々顕著になってきます。

これはレコード会社の姿勢の問題で、早期からマスターのデジタル化を進めた、あるいはテープ保管に気を使っているレーベルは良いが、テープのまま管理の悪い状態で放置されたレーベルのものは当然傷みも多いので注意が必要です
(どことは書かないが米の有名レーベルの復刻盤はひどかった。レコードから自分でデジタル化したほうがマシかと思ったものもあります)

もっとも名演・名盤は音質がすべてでは無い、という事はSP盤の復刻でもわかります。これは自分でデジタル化する場合にも当てはまる事で「自分の歴史上」重要な音源は音質とは関係なく復刻する意義は大いにあると思いますよ。


−価格は?−

復刻盤の価格は限定ベスト盤のようなもので千円台半ばから2千円前後。新規にデジタルリミックスしたものは2千円半ばくらい。

レコード会社の独占版権が切れたものを企画会社が発売している廉価版は千円から千円台前半位の価格で手に入ります。

中古CDは傷や汚れの程度だけではなく、ショップでの在庫状況、アーチストの知名度、現在の人気などに左右されるため100円位(ほとんど傷だらけ(^^;)から価格帯は様々。中にはCDで廃盤になったものが定価以上の高値で取り引きされる事もある。

さらに100円ショップやホームセンターでは新品が100円、200円という価格で販売されている。クラシックのSP音源のCDの場合が多いが在庫処分でポピュラー系でも驚くほどの安値で売られているCDもある。

●左画像の「ウエストサイドストーリー」は本物のサウンドトラック(新品)で¥200で購入。最初¥980円のラベルが貼ってあった。ここまで安ければ、自分の持っているレコードをわざわざデジタル化してCD−Rに焼こうなどとは誰もしないだろう(^^;


復刻盤CDの入手−
CDショップで注文したり、WEBサイトで直接注文する
中古ショップ・リサイクルショップで探す
新聞雑誌の通販広告で探す
ネットの売買コーナーで探す

など選択肢は広いが、中年以降になるとレコードショップに入る事すら気が引けるようになってくるので、あちこち探し回るよりネットで注文するのが手っ取り早いかも。
 若い方は、これはもう、オールディーズのCDは足で探す。中古で掘り出し物を探すのも楽しいのでは?
 ここで決断力と見極めが難しいのが中古CD。その時購入しないと、もう手に入らなかったり、逆に別の店でもっと安く売られていたり。。。

お手軽派なら
新聞や雑誌で1960年代〜70年代の和洋のヒット曲や映画音楽を集めた10枚セットくらいの企画CDが通販で発売されている。懐かしいヒットソングだけまとめて聴きたいという向きにはもっとも手軽でしょうね。(写真右)
 JAZZやクラシックもシリーズものが発売されており、一括購入すれば数万になるが1枚単価は非常に安く購入できる。

管理人の自作録音カセット全集(左)  VS  通販CD全集の新聞広告(右)
懐かしの70年代ヒット。こんなのアリか!
 私は70年代に、当時のフォークなどのヒット曲をFMエアチェックでこつこつ録ってカセットにしたものが30本くらいあるが(写真左)世がCD時代になり、こんな企画のものが次々と販売され「何年かかけて録音して集めたのに・・・」とガクゼンとした覚えがあります(涙)。最近ではコンピレーションアルバムと称して80年代のヒットもレコード会社を縦断して発売されるベスト盤がブームになっている。

・さらに手軽にレンタルを利用する手もある
レコードは持ってるので再度同じCD購入するのは。。。という向きには、レンタル店は強い味方(^^;アナログ音源から録音するのに比べ、数倍の速さで丸ごとコピーもできる。
 ただしレンタル店に置いてある復刻盤はROCKの名盤などジャンルが限られるため自分の欲しいものがあるとは限らない。扱いが悪く傷も多いのが難点。

音源のセレクト方法
−メディア別セレクト方法−
デジタル化するメディア別の順番ならオープンリール→カセット→レコード(EP→LP)の順がよいでしょう。

レコードは保存状態が良ければ今のところ最も経年劣化に強い媒体です。再生環境を整えておけば、いつでもできるでしょう。テープは年々傷みがひどくなるしデッキの寿命も心配です。



−音源別のセレクト方法−
レコード音源
それがFMからエアチェックしようとテープにダビングしたものであろうと
元がレコードからの音源であれば、まず廃盤になっていて手に入らないものからデジタル化するのが基本。CDで手に入れば、わざわざデジタル化する必要はないでしょう。

ライブ放送
FM番組等で放送されてレコードとして発売されていない音源も自分だけの貴重なもの。すべてをデジタル化したい場合はオープンリール→カセット(
要は年代が古いもの)の順に。

マイク録音
最も貴重なものであり是非真っ先にデジタル化して保存したいものですが、
ほとんどはアマチュアの演奏だったり子供のピアノ発表会の記録だったりで用途は記念保存用という事になるのでは
 いつも聞くようなモノではないが友達や家族と、ふざけて録った声の記録などは、その時は何の価値が無いようでも今聞くと懐かしく貴重に思えてきます。


アナログ音源のデジタル化をすすめる場合、すべてを自前でやるのではなくて復刻盤CDの購入と併用して考える方が整理も楽だし、コレクションも増やすことができます。まずは、廃盤になってCDが手に入らないもののうち、お気に入りのアルバムをPCに取り込んでみましょう。


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(C)Fukutaro 2000.10 2001.2003