アナログメディア関連 アナログ音源再生計画
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録音テープのメンテナンスグッズ

この記事はPart1「オープン」「カセット」についての補足内容です。




アナログ録音華やかなりし頃は録音テープのメンテナンスグッズも数多く発売されていましたが、現在ではアナログレコードのメンテグッズよりさらにその数は少なくなってしまい、家電店に行っても手に入れることが難しくなってしまいました。

 ここに紹介するグッズは一部を除き、店頭入手は不可能になってしまった用品が殆どですので、もし古いテープを発掘したら是非、メンテ用に探しておきたいものですが、実際必要の無いものも多い。

 ここでは、これらのメンテナンスグッズを紹介すると共に、現在メンテナンスする場合の必要の可否、購入情報等を掲載します。

代表的なメンテ用品
(1)スプライシング・テープ(画像1中央)
(2)テープ・カッター&トリマー(画像1右)
(3)リーダー・テープ
(4)ホワイト・テープ(オープンリール専用)               画像1
(5)テープ止め
(6)ヘッド・イレーサー(画像1左)
(7)テープ・イレーサー
(8)クリーニング・テープ

※(6)(8)は録音機器のヘッドのメンテ用品です
スプライシング・テープ (画像1参照)
現在でも入手可能。是非揃えておきたい用品の筆頭。

[用途]切れたテープの補修、テープの編集

スプライシングテープは、録音テープ専用の接合テープで本来はオープンリール・テープの編集(不要部分のトリミング)に用いました。1970年代以降は精度の悪いラジカセやカーステに巻き込んで切断される事故が多かったためカセットで多用される場面も多くなった。21世紀においての用途は主に切れてしまったテープ、リーダーテープの補修、接着です(T_T)

 スプライシングテープは接着力が強く約20〜30年くらいの耐用年数があります。その場しのぎであれば、どんな接着テープでも可能ですが、ひとつ揃えておけばオープン、カセットいずれでも補修できるので多くのテープを保有されている方は購入しておいて損は無いでしょう。
通販で入手可能。当サイトのリンクページを参照
 
※接合方法などは『カセットの修復』を参照

テープ・カッター&トリマー (画像1参照)
ハサミで十分代用可能。全く必要無し。

[用途]スプライシングテープをきれいに接着、カットするために、テープ全盛時に販売されていました。

テープ全盛時といっても1960年代のオープンリールの箱には必ずといってよいほど「ハサミ」による接合方法が図解されていたので、実際国内で普及したのは70年代だったと思います。(私が使用したのも70年代半ば頃)

画像はオープン用ですが、カセット用も発売されていました。先ずテープを溝に重ねてカットした後、スプライシングテープのはみ出た部分をカットする器具です。管理人の購入したものは国産(AKAI製)ですが、輸入品など何種類か発売されていました。今でも外国製のものがあるのか未確認ですが市販入手は殆ど不可能でしょう。

実際に使ったのは僅かな期間でした。すぐに刃の切れが悪くなり、結局フツーにハサミでカットする事に(-_-;)最初欧米で発売されたようですが、日本人はこうした手先の細かい作業が得意なのでハサミを使っても処理時間に大差無いため、私同様買ってもあまり使わなかったという方が多いのでは?
 
リーダー・テープ
あればあった方が良いが、無くても特別困らない

[用途]テープ保護・両面録音テープのサイドの目印のため、磁気テープの両端に巻いてあります。
 テープの一番最初から録音するためのタイムラグ(ヘッドと巻き取りリールとの間隔)を無くす用途も当初はあったようです。

カセットでは巻き取りハブのエッジの切れ込みにテープが接触する事を防止する用途、さらにリーダー自体がクリーニングをする役目にもなっています。




 初期は半透明の赤と緑のテープが用いられました。(左画像)色で両面録音した場合のサイドを識別する訳です。その後、メーカーが自社のロゴ入りのリーダーテープを付けるようになり、リーダーテープだけ別売もしていました。
(右画像:上SONY、下SCOTCH)

オープン、カセットとも最初から付いているのですが、磁気テープとの接合はスプライシングテープなので、数年で取れてしまう場合もある。1960年代のオープンリールの9割は、現在リールに巻き付けて走行させると取れてしまいます。
 磁気テープの最初からいきなり録音してある場合にはリーダーテープを付けないと再生ヘッドと巻き取りリールの間は再生できないので必要になります。

 現在リーダーテープはオープン・カセットとも別売品を手に入れることは困難ですが、いずれのテープも不要なテープのリーダーを流用するか、オープンでは一部をカットして別のテープに巻き付ける事も簡単にできます。

ホワイト・テープ
あるという存在自体を知らなくても困らない(^^;

[用途]曲の頭出しの目印・内容の記入(片面録音オープンリール専用)

表面(磁性面の逆側)が白く塗装されており、ペンで文字を記入できるようになっているテープです。磁性面は普通のテープなので、当然録音ができますが一般テープのようにそのまま利用するのでは無く、必要な長さにカットして一般テープとつなげて使います。

 別名キューテープともいわれ放送局などで、録音済み番組を放送する際、頭出しに利用されていた。表面が白いため、一般の茶色のテープと容易に見分けがつくので曲の先頭がどの部分か目視できます。LPレコードの曲間の溝みたいなものです。
 当然片面録音の用途であり両面録音には用を成しません。そのためオープンリールでもフルトラックか2トラックステレオのデッキにしか用いられなかったので4トラックステレオデッキしか持っていない場合は不要です。
カセットではそもそも磁性面しか見えないので「ホワイト」の意味が無い(^^;

ホワイトテープの箱の外観は「オープンリール復刻図鑑」に掲載してあります。

テープ止め
SONYのプラケースに必要なだけ?

[用途]オープン→ヘアバンドのような形状でテープのほぐれを止める
カセット→ケースが無いカセットのテープのたるみ防止

オープンテープは新品を買えば必ず保存用のビニル袋が入っているのでこれに入れて保管すればほぐれる事は無い。
 SONYで発売していたプラスチックの箱形ケースは横からテープを出し入れして、さらに、このタイプのみ袋に入っていなかったと記憶しているので必要だったのか?

一方カセット用はハブリールが動かないよう固定するだけなので、ケースがあれば不要。ケース無しで郵送するとき等に用いられるだけのものです。
 
ヘッド・イレーサー (画像1参照)
マニアは結構購入したが効果は疑問

[用途]録音再生ヘッドの消磁

これはテープメンテナンス・グッズではなく録音デッキのヘッドを消磁する器具です。
テープを走行していると、次第に金属部分に磁気を帯びてきてノイズの原因になるためそれを消すために用いられました。
 主にオープンデッキに利用する形状ですがカセットデッキもこれを使いました。

 スイッチを押すと「ぶーん」とうなるような音がして、先端をゆっくり録音再生ヘッドに近づけ、再びゆっくりと遠ざけるようにして消磁するのですが記憶する限り、消磁の前後で効果があったのか全くわからなかった。ほとんどオマジナイのようなものです(^^;

 これって昔のオーディオやFM雑誌で評論家のセンセーがさかんに推奨していたので購入したんだけど。。。そのうちヘッドも改良されパーパロイから硬質のフェライトヘッドが主流になり帯磁しづらくなった事、主流がカセットに移行していった時期でもあり、市場からは姿を消していったようです。

・・・と思っていましたがカセット専用もありました。
 左画像はカセット用のヘッド・イレーサーです。カセット・ハーフの中に消磁器を入れた構造になっています。ちょうどヘッドの当たる部分が消磁用電流が流れるようなシカケです。
 電源はボタン電池(画像右上の部分)で取替ができるようになっています。カセットと全く同じ要領でデッキに入れてPLAYボタンを押すと消磁する仕組みになっています。
(提供:O氏)
テープ・イレーサー
当時は不要、今はカセット用を揃えておけば良かったかとも思う

[用途]テープ録音内容の消去

一度録音したテープは録音機の消去ヘッドで消しても、微妙なヘッドのズレで完全に消去できない場合があります。イレーサーは強い磁気で完全に内容を消し去るもので、消去時間も短時間で済みます。一時期オープン用・カセット用とも発売されていました。
 70年代当時、使用したカセットを友人知人からもらったり、あげたりする事が多かったので、あると便利だなぁとは思ってましたが、どうしても必要というものでも無かったので結局購入しませんでした。


 現在では、不要なテープが残っているので捨てたいが、何となくそのままでは聞かれたりするのがいや、という場合に利用しますが捨てるなら物理的に破壊すれば事は足りる。現在でもカセットの寄付を求めている団体等があり、無料で寄付をする場合などこういう道具があれば確かに便利です。

左画像はSONYのカセット用イレーサーですが、この機器は消去防止用ツメを感知しツメが折られていると消去できないようになっています。

 大事なテープを誤って一瞬にして消去しないよう考慮されているスグレモノだったようです。
出所:1971年音楽の友社刊「テープミュージック1971」



左画像はオープン用のバルクイレーサー。
上部のスピンドルにリールを乗せて消磁する。

(所蔵・画像提供 HS様)









クリーニング・テープ
車載のデッキには必要だがヘッド以外の部分の清掃効果は疑問

[用途]録音デッキのヘッド清掃。

カセットハーフにクリーニングテープを入れて再生することにより走行系を清掃する用具。薬品を浸す湿式と、ざらざらしたテープをそのまま回す乾式がありました。

オープンは走行系が剥き出しになっているためクリーニングテープは不要だった。販売されてはいたが、売れなかったであろう。当然管理人は買わなかった(^^;

ラジカセを含め大抵の据え置きデッキではクリーニング液を浸した綿棒でヘッドなどを清掃できる構造になっています。用途はスロットインタイプのカーステ清掃でしょう。一応ヘッドのクリーニングには効果がありますが、走行系まわりのキャプスタンやピンチローラーの清掃にはやや不向きです。管理人は乾式タイプを使ってみたが、清掃効果はイマイチでした(-_-;)

※現在でもカーステ用途にカセット需要はまだ根強い?ようで、店頭でも売られています。もちろん綿棒で清掃するクリーニング液も容易に手に入ります。

メンテ用品の必要性
ここに掲載したメンテ用品は、いずれも店頭から姿を消して久しいものばかりです。だからといって、現在でもオープンやカセットの録音をしている方が絶対必要という用品は無く、強いて挙げればスプライシングテープとクリーニング液でしょうか。

 テープ録音が華やかな時代には「無駄」「余計」とも思えるグッズが氾濫していました。多くはカーアクセサリー同様「あれば便利だが無くても特別困らない」ものがほとんどでした。このような用品が店頭から姿を消して、初めて必要なものがわかってくるのではないでしょうか。

CD-Rなどの記録メディアを含めて、今、ショップで目にするデジタル関連のアクセサリーのほとんどは、数年もしないうちに姿を消すと思いますが、そんなとき『持っていて良かった』と思うグッズはあまり無いと思います。それでも人間というのは(自分だけか(^^;)つい余計なモノを買ってしまうものなのですね。。。

Last Update 2005.6.1



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