アナログメディア関連 アナログ音源再生計画
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野外録音NG実例集

この記事はPart1「メディア年表(カセットデンスケと野外録音)」・「カセットテープ」についての補足内容です。




野外録音の魅力と難しさ
カセットデンスケはそれまで室内での趣味であった録音をアウトドアに解放してくれた画期的な商品だったと思います。しかし野外録音というのは、誰にもできる反面、後で再生してみると「なんだ?こりゃ」とがっかりするような録音、その時は気づかない雑音を拾ってしまったり、行く先々での失敗などNGは限りなくあります。

 それがまた、野外録音の楽しさ、魅力でもあったのですが。ここではカセットデンスケと野外録音の頁で紹介した我々「録音研究会」のデンスケを使った野外ロケでの失敗談をいくつか掲載しました。

SL(蒸気機関車)〜会津若松・日中線
生録の醍醐味といって最初に思い浮かべるのはSLでしょう。当時でもSLは運行場所が限られており鉄道マニアだけではなく我々のようなニワカファンもカメラや録音機を担いで録音・撮影ポイントに殺到するという姿が全国のSL路線で見られました。

 我々は会津若松の日中線を走るC-11の録音にでかけました。当日は上野から夜行で出掛けたのですが車中には同じようにデンスケを携えて録音の話題に熱中しているグループを他にも見かけました。

風の音を拾わないように気を付けた車窓よりの録音

※画像は録音イメージであり管理人の撮影ではありません。
出所:音楽之友社刊「録音のすべて」より

 といっても、そこは鉄道マニアのレベルにはほど遠く、地形や日中線の路線を詳しく調べて行った訳では無いのでSLの通過音を録るポイントを探すことができなかった。結局汽車に乗り込みドラフト音を録ることになったのだが、車内は一般の客も多数乗車しているから人の声が入ってしまう。特に子供の声はカン高くてマイクに拾ってしまう。

 ようやくドラフト音だけを拾えるようになったと思っていた矢先、車掌が「乗車券を拝見します〜」と回ってきた。折悪しく我々は乗り越し。私とN君と「あと120円」とか小銭をやり合う音がしっかり入ってしまった(^^;

 しかし終点で停車してからも録音マイクを持ってる連中が結構いたせいか「はい、終了〜」と駅員さんが大声を出して、サービスで汽笛を鳴らしてくれました。

教訓−SL録音は鉄道の知識の有無がテクニック以上にモノをいう

ジェット機の爆音〜羽田空港
まだ羽田空港が「東京国際空港」と呼ばれていた頃、国際線の離着陸は送迎デッキで大方録音できました。送迎デッキでは「只今○番滑走路にホノルル発JAL○便が到着です」というアナウンスも入って、空港の雰囲気はうまく録れた。

 ところが肝心のジェット機は着陸だけで飛び立っていく気配がない。録音場所の送迎デッキから遙か離れた場所からの離陸があったが迫力が無い。そのうちアナウンスが「只今の時間各国からの到着便が相次いでおります。。。」我々の行った時間帯は殆ど到着便ばかりだったのだ(T_T)

 最後にはN君が「飛べ〜飛べ〜、飛んでくれ〜」と大声で叫んだものの、目の前で離陸したジェットは1便もなくデッキへの入場時間が終わってしまった(-_-;)

 海外旅行未経験だった我々は飛行場に行きさえすれば四六時中離陸が立て続けにあるものだと思っていたんですねぇ(^^;

教訓−国際航空便は電車のように○○分間隔で飛び立つとは限らない

モリアオガエルの鳴き声〜伊豆天城山麓
モリアオガエルというのは木に登って産卵するという習性をもっています。その鳴き声も独特のものがあり珍しいので録音しようという事に。
 当然夜の録音になります。天城山麓のナントカ池というのが有名なモリアオガエルの生息地と聞き出掛けました。

  ところが地図を持っていってもそんな池は見あたらない。近くで聞いてもよくわからなかった。ようやく目的地らしき場所までたどり着いたが車も通れないような狭い道へ紛れ込んでしまった。車を停めて懐中電灯をたよりに歩き回ったが、あたりは本当に外灯ひとつない真っ暗闇である。懐中電灯に照らし出される木々は不気味な形で、いつ化け物が出てもおかしくない?事実本当に怖かった。

 そのうち、どこからか蛙の鳴き声が。。。「おっ蛙だ」マイクを向けて離れた場所で鳴いている音を録る。真っ暗闇でその方角へは行けそうもなかった。結局ジャングルのような森の中にいるのが怖くてしばらくして退散。

あとで再生してみる。「おい、これモリアオガエルかよ?」「わからん。。。」

教訓−セミはミンミン、牛はモー、ニワトリはコケコッコー、キリンはラガーと鳴くと思っている輩に生物の録音はできない


デンスケを頭にかけて(^^;移動中の録研メンバー


祭囃子・御輿の競り合い〜浅草三社祭
日本の夏の風物詩といえばなんといっても祭りじゃ〜。しかも威勢のいい「ソイヤ、ソイヤ」の掛け声といえば東京は浅草の三社祭。

 我々はいろんな野外録音を経験し、失敗を積み重ねてきたので、この時はある程度下見をしたりどこから録ったら迫力ある御輿の競り合いを録音できるか前もって対策を練っていました。

 境内から録る場合は「集音マイク」が必要だという事になって、SONYからは専用のアクセサリーも出ていましたが、我々は傘を改良?して自作した。どんなモノだったか良くは思い出せないが傘の内側に反射用にアルミか何か貼ったのではなかったかと思う。

 祭りのハイライト、境内の手締めを例の自作集音マイクで欄干から録っていた時は、御輿より我々の周囲の方に人だかりができて非常に恥ずかしい思いをした(^^;その時のカセットに「お前マイク交代しろ」「やだ〜みっともない」「バカヤロー俺だって恥忍んでやってるんだ!」という二人の会話がしっかり入っていて今聞くと大爆笑です。

 最初の路上での御輿の競り合いは結構迫力ある音が録れた。祭りの録音は雑踏や観客の声が入っても、かえってそれがお祭りらしいので雑音への気遣いはあまり要らない分楽かも知れない。あとは人目を気にせず図々しくマイクを向けられるかです(^^;

教訓TVのワイドショーで人の迷惑顧みない「突撃レポート」に「クダラン、低俗!、恥を知れ!」と思う輩は野外録音には向かない

レーシングカーの爆音〜富士スピードウエイ
レーシングカーの爆音こそ迫力とスピード感溢れるサウンドだ!ジェット機で失敗した我々は、性懲りもなく富士スピードウエイへと向かった。

 ところが当日は道路が渋滞。そして到着前になんと、死亡事故が発生しレースは中止。カーラジオでそれを知った我々は、泣く泣く引き返したのでした。1日分レンタカー代払ったのに(涙)

教訓−運も実力のうち

古都の音の風景〜京都・奈良
古都の音の風景を録ろうという企画の話は別掲しましたが、各所でたくさんの音を拾いましたからNGは山のようにあります。

▼清水寺のお水取りの音。「今、清水寺に来ています」というナレーションを入れなければ何の水の音か分からない

▼奈良の某重文指定のお寺(ユースホステル兼用で我々が宿泊した寺)の大鐘の録音。人はいなかったが犬が寄ってきた。吠えるとマズイので「シーシーッあっち行け」という自分たちの声だけがしっかり入ってる(^^;

▼奈良公園の鹿の鳴き声を録ろうと待ちかまえていても一向に鳴かなかった。

▼同じく奈良は大仏殿。「ここで何録るんだよ〜」「修学旅行以来で懐かしいからちょっと参拝」。案の定大仏殿は修学旅行生と「修学旅行以来だな〜」という年輩客の声であふれかえっていた(^^;

▼「花いらんかえぇ〜」という京独特の花売りの声が録りたかったが写真で見るような美形の花売り娘どころか婆さんの姿さえ見えなかった(爆)

▼私は元々お腹の具合が悪い。旅行に行くと下痢気味になる。食事の前にトイレに行っていると他のメンバーの「あいつ行った先々で便所駆け込むなぁ」とか散々悪口がテープに入ってた(^^;

教訓−郷にいれば郷に従え。旅のお供にセイロガン←なんのこっちゃ?



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