音源メディアの変遷 |
カセット・デンスケと野外録音
アナログ音源再生計画
■1970年代、HiFiカセットテープが登場、ラジカセも一般に普及しだした73年(だと思う)SONYが画期的なステレオカセットデッキを発売しました。TC-2850SD別名「カセットデンスケ」です。「デンスケ」というのは、バッテリー駆動のオープンリール録音機(私が見たのは5号オープン)の愛称でプロの屋外録音用に用いられていましたが、このカセットデンスケは民生用に発売された初の「本格的」屋外録音デッキと言って良いと思います。 ■「カセットデンスケ」は据え置きのステレオカセットデッキとして十分な機能を持ち、なおかつバッテリー駆動でスピーカーを内蔵していました。プロ用の「デンスケ」がAC電源のない屋外専用に特化していたのに対し、「カセットデンスケ」は自宅でも普通の録音デッキとしてそのまま利用できるというメリットがありました。 ■据え置き型に無い特徴としては、デッキを付属のベルトで肩からかけて、片手にマイクを持ちながら録音できるように操作キーが細長い押し下げ型になっている事です。据え置きで使うにはやや操作しづらいが屋外で使う場合はキーの間隔が離れていて、見なくても操作できるので夜間の録音にも便利でした。 マイク録音ではレコードやFMとちがい思わぬ大音量が入ってしまい音が歪んでしまう。そんな場合のリミッターもあって我々アマチュアにとっても使いやすい機能が随所に搭載されていました。 |
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■管理人は大学時代に同郷の友人であるN君と「録音研究会」なるクラブを勝手に発足して活動を開始しました。きっかけはN君がこの「カセットデンスケ」を店頭で見て、私が「こういう機能がある」と説明したところ非常に興味を持ち、このデンスケで色々な屋外録音をしてみようという事だったように記憶しています。 |
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■色々な古都の音の風景をデンスケで録音しましたが、今これらのテープを聞いていて最も面白かったのはメンバー3人の声が入った(入ってしまった)NG部分と、夜の新京極をテープを回しながらひやかして歩いた時の会話です。 今さら読経や鐘の音を聞いてもそれほど感慨はありませんが、新京極の雑踏と土産物屋のオッサンとのひやかし風景など若かった頃のバカバカしくも楽しい想い出がよみがえってきました。 ■屋外録音型のカセットデッキは折からのディスカバー・ジャパンブーム、録音ブームの中、大ヒットし自然音だけではなくコンサートなどでも「隠し録り」にこのデッキを見かける事も多くなりました。 ■これだけ「画期的」といえるデンスケで、他社が追随する程ヒットした商品でしたが普及が一巡して数年後には市場からほとんど姿を消してしまいました。「ウォークマン」のように数代にわたる後継機は元祖SONY以外はどのメーカーも市場に投入しなくなり一部のマニア以外には忘れ去られた存在になってしまいました。 理由は色々ありますが、所詮我々アマチュアが肩に担いであちこち録り回るには重かったのも一因です。カセット1本が学食2回分の値段でしたから、お腹が減って根性も続かなかった(爆) |
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こんなモノを発掘しよう | ||||
[デンスケの発掘可能性]★★★★ | ||||
●70年代には、このカセットデンスケに端を発し国内各社も似たような野外録音用ステレオカセットデッキを発売した。現役で使っている方はいないでしょうが持っていた記憶があれば久しぶりに引っぱり出して見れば? キャリングケースやデッキの傷に、当時の奮闘の想い出がよみがえってくるのではないでしょうか。 ●私も「元部員」N君に問い合わせた処、使ってないが2台とも保管してるという話でした。 |
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[野外録音テープの発掘可能性]★★★★☆ | ||||
●もちろん、この話題で最優先に発掘をオススメするのは野外で録った懐かしい自然音のテープです。身近なセミ、小鳥、蛙などの鳴き声、波の音や川のせせらぎなど野外録音をした経験がある方なら必ずテープが残ってるハズ。 ●テープは20数年前のものが、いずれも元気で発掘できました。オリジナルの大半はN君が保有していますが恐らく音質は当時のまま再現できると思います。 ●私にとっては音質や臨場感あふれる傑作テープ(と当時は思ってた)より、今では自分や仲間の声とその当時しか聞けない周囲の音、その時はただの「雑音」としか思えなかった音たちの方が鮮やかによみがえって貴重に思えてきます。 ●管理人は2000年に「録研」記念CD制作をしましたが、かなりNG部分も積極的に入れました。今後、野外録音テープはオールデジタル化する予定ですが是非「録音NG集」を1枚にまとめようと考えています(^^; |