音源メディアの変遷 


21世紀の録音事情〜音楽ソフトコピーとCD−R利用実態

アナログ音源再生計画

日本レコード協会の2002年3月とりまとめた「音楽パッケージソフトユーザー実態調査」に「音楽ソフトコピーとCD−R利用実態」が掲載されていました。音源メディアについての実態調査ですので大変興味深く、その一部をレポートしました。

レコ協の調査自体は、”CD−R利用実態”とタイトルにあるように違法コピーにより著作権が侵害されている、レコードの売上が落ち込んでいるという事を訴えたいのだと思いますが、当サイトに関連する話題で管理人が興味を持ってレポートするのは「録音元の音源」と「録音先メディア」としてのアナログ音源の推移です。

※すでに新聞報道などで読まれた方もいると思います。詳細は日本レコード協会のサイトにPDFファイルとして置いてありますので興味ある方は是非ご覧になると良いでしょう。調査方法その他の詳細はレコ協サイトに掲載されていますので、ここでは省略します。

録音元の音源メディア〜FMの凋落
原音ソースは誰しも思っているように音楽CDでした。そのウエイトはレンタル・購入・友人から借りた・家族の購入の順でした。

管理人の最も注目したのはFMエアチェックがわずか11%であったこと。しかもそのウエイトは40〜55才という年代区分が最も高かった(男性)ことでした。
これは、1970年代から継続して続けてきたFMファンがそのまま高齢化した?印象です。
 逆に女性は全体に男性より40〜55才以外の全ての世代で録音経験者が多いという逆転現象がおきています。番組編成が女性向きになっているからでしょうか?

録音先メディア〜カセットの凋落
カセットテープの凋落 1999年〜2001年の録音先メディアの推移。PC録音はMP3などパソコンに取り込んで聴く形式。

[出所]
日本レコード協会「音楽ソフトコピーとCD−R利用実態」(2002.3)調査データに基づき管理人が数値をグラフ化したものです。

録音先メディアのデータで最も意外だったのはカセットへの録音経験割合が99年では、未だ82%あったという事実です。

それが2000年60%台、2001年には50%と年々1割近く落ち込み、急伸してきたMDとほぼ同じ割合に接近してきました。管理人の印象では99年頃が01年のデータ程度の割合だと思っていました。

このサイト開設当時から、電気店などの記録メディアの棚にはカセットのスペースも少なく、種類もひと頃に比べ随分減ってしまっていましたから。。。

管理人も99年には、デジタル録音に切り替え(古い録音の復刻ですが)カセット録音は、その2〜3年前からほとんど止めていました。

カセットというのはまさしく20世紀の録音メディアの「横綱」であった、という事実を再確認させられるとともに長期低落傾向と言うより、ここ2〜3年での凋落が著しいメディアであるということが、このデータから推測できます。

 事実レコ協調査でもカセット録音の年代別割合では中学生と40代以上の中高年の割合が男女とも際だって多く、音楽を聴く「中核世代」では2001年ではデジタルメディア録音経験者の比率が逆転しています。特にMDは管理人のような中年オヤヂ世代を除くと、どの世代でも非常に録音経験率が高くなっていました。

「音楽ソフトコピーとCD−R利用実態」調査では、こうした傾向からデジタル録音の急進に警戒感を持って、何らかの対応策が必要であるとしています。その対策のひとつとしてデジタルコピーできないCDの発売という事になるのでしょう。

この調査に関する管理人の読み方はレコ協の結論付けとは反対に、アナログメディアの凋落についての視点から興味をもって掲載したわけです。
 記録(録音)メディアのデジタル化は、アナログメディアの保存のためにも避けて通れない現実であると思う反面、一抹の寂しさも感じる調査結果です。
 FMエアチェック〜カセット録音による音楽コレクションづくりといった楽しみも昔話として語られる時代になっていくのでしょう。。。

(C)Fukutaro 2002.3



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