音源メディアの変遷 

音源メディアの変遷について「残念」な3題

アナログ音源再生計画

2001年から2002年にかけての音源メディアの話題で、ちょっと残念な話題を3題お届けします。いずれもマスコミやネットで御存知の方が多い話題ですが、管理人の感想を少し掲載しました。

「時代が変わったんだから当然だ」と片づけてしまえばそれまでですが、古いモノを置き去りにして新しいモノ、新しい技術を、いとも簡単に手に入れられるようになった我々は21世紀も、ず〜っと走りつづけて、一体どこへいくんでしょうかねぇ。。。

音楽CDのPCデジタル化防止について
2002年夏以降、レコード各社は新譜CDについてPC取り込み防止の技術を採用する模様です。おそらくデジタル録音ファン、音楽ファンにとって今年最大の話題になると思います。

 理由は説明するまでもなく、容易で安価にPCで音楽CDがコピーできるようになった事、ネットでの音楽配信が可能になったという、まさしくPCデジタル化時代の驚異的な環境変化により販売が落ち込んだ事に対してレコード会社がクサビを打ち込んでおこうという事です。

「Pop-Musicの過大音量録音の本当の理由?」に掲載した”レコード会社のイヤガラセ”からイヨイヨ”強硬手段”に出たようです。

レコード会社は「音楽が盗まれている」という言い方をしますが、古くからレコード販売が落ち込む度に必ずいわれてきた事です。

 ラジオが普及した当時、レコードを流すと売れなくなると言われました。その後FMが音楽番組の主流になった時もそうでした。テープが普及した時、FMエアチェックがブームになった時、レコードが売れなくなった時は必ず放送や録音メディアが悪者にされてきました。

こうした事実から「幅広い大衆に受けるようなヒット曲やアーチストが少なくなったのが売れない原因の根本である」というレコード会社に対する反論も、決まり切ったセリフですが、少なくとも20世紀には必ずしも放送・録音メディアの普及とレコード売上げは反比例したわけでは無く、むしろ、こうしたメディアを利用して稼いできたという面も多いのが現実でした。

 90年代に「TSUTAYA」を筆頭にレンタルCDショップの全国チェーンが拡大していった時代でも音楽CDの売上げは98年頃までは伸びていたのです。

ただ昨今のレコード販売不振というのはデジタルコピー文化の普及を含めて、経済不況、ティーンエイジャーの趣味や支出の多様化、そしてヒットの不作という複合的な要因が重なり合ったものだと思います。

当然、コピー防止技術の導入や著作権法の整備だけで解決する問題ではありませんが、昔私達がやってきた「FMエアチェック」などという悠長な「録音」ではなく、現代はまさしく「コピー」感覚で音楽CDができるのですから、売上げに影響が無い、といえばウソになるでしょうね。

※当サイトは「アナログ音源」のデジタル・CD化の話題、録音メディアの話題を多く扱っているので、当然こうした状況の変化は非常に大きな問題です。今後も折にふれ扱っていきたいと思っています。

FM雑誌の廃刊
2001年12月、FM雑誌として最後まで発行されていた「FMfan」が休刊になりました。このサイトをご覧になっている20代後半以上の方なら、殆どの方が「FMエアチェック」の経験をお持ちの事でしょう。

私は「週間FM」か「FMfan」のいずれかを10年くらいは購読していたと思うのですが、いつ頃まで見ていたかは定かではありません。音楽CDが一般に普及する頃にはもう、エアチェックはやめてしまっていたと思います。

 FM全盛の70年代から80、90年代と徐々にFM雑誌の発行部数が減少し一誌残った「FMfan」も21世紀初頭の年に消えていってしまいました。

「FMエアチェック」華やかな頃は、新聞にさえ週末などに1週間分のプログラムが2面にわたって大きく掲載されていた事を思うと、ひとつの時代が「確実に終わった」という感慨さえもってしまいました。

 「確実に終わった」というのはFMというメディアでは無く「録音」という行為の事です。前述の音楽CDの複製防止の話題に記載したように、音楽は「録音」されるものでは無く「コピー」されるものに変化してしまったという意味です。だからこそレコード会社は複製防止を計画するのでしょう。

 専用の音楽CDレコーダーというのは、まさしく「CDのコピー機」に他なりません。一方、録音とは同じFM放送でも10人が10人とも違う録音レベル、音質のものが完成するのです。その人の個性が表れるのが「録音」であり「FMエアチェック」という行為だったのです。

FM雑誌を買って1週間分のプログラムをチェックし、どうしても録りたい番組がある日は友人達との飲み会もキャンセル、あるいはエアチェックに合わせて自分の1週間の日程を立てる・・・そんな経験のある方なら毎週雑誌の発売日を楽しみに待っていた事でしょう。
 
そんな皆さんのお手許にFM誌は何冊残っているでしょうか?「FMfan」最終号に私が買った見覚えのある表紙が沢山掲載されていましたが、残念ながら手許には1冊たりとも昔のFM誌はありません。

 あれだけ夢中になってチェックした番組表でしたが、今残っているのは、その雑誌を見ながら録ったたくさんのテープと最終号の「FMfan」だけ。。。(涙)

※録音のソースメディアとしてFMの話題は是非取り上げようと計画している重要な話題なのですが、いかんせん資料が少なく構想だけ。できるだけ早い時期に掲載を考えていますが、恐らくAMの話題が先になると思いますのでご了承ください。

オープンリールの生産中止
オープンリールのページにも「我が国で唯一現在でも生産されている」と記載してあったマクセルがオープンリールの生産を中止するという話しも残念な事です。
(海外製品は現在でも新品を購入することは可能です)

 私が記憶しているだけで、1960〜70年代には国産だけでもSONY・TDK・富士フィルム・コロムビアそして日立(マクセル)が製造しており、OEM(だと思う)ではナショナル・東芝・クラウンという銘柄、さらに訳のわからない無印品も沢山ありました。

巻き取りテープに磁性体を塗布する技術で日本は最高のレベルを持っていました。その中から「カセットテープ」「VHSビデオテープ」という記録メディアの「横綱」ともいうべき商品が生産され世界を席巻してきました。

 その基本ともいうべきオープンリールテープが日本でどこも生産しなくなる、という事はカセットやビデオテープが店頭から姿を消す、すなわちアナログメディアが消滅する日も決して遠くは無い事だという意味でもあるのではないでしょうか。

管理人自体は、もうオープンでの「録音」は行っていませんが、テープを再生・復刻する事については自分以外の方のものを含め、結構「執念」を燃やしています。無骨で扱いづらいメディアであるに係わらず、どこかに愛着があるのでしょう。

 それだけに現役のマニアの方は余計淋しい思いをなさっているのではないでしょうか?管理人も「イザ何か」という時に使おうと2001年の夏に秋葉原の「エフ商会」さんで1本だけ新品のマクセル10号を購入しました。未だバージンのままで未使用ですが。。。

※自分のもの、今まで依頼されて復刻したテープを含めてメーカー別の箱の画像と現況を掲載するコーナーを準備中です(頭の中だけで(^^;)。オープンリールのメンテや現況・保存についての話題はこれからも、追加掲載しますので興味のある方は是非ご覧ください。


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