音源メディアの変遷 


真空管アンプとハムノイズ

アナログ音源再生計画


アンプのノイズ・ラジオのノイズ
ここでの話題は真空管アンプを製作した時ハムノイズに悩まされた事ですが、現在パソコン・オーディオを楽しんでいて音源のノイズが気になる方に対比して読んでいただけたらと思って掲載しました・・・真空管の年代的な説明を取り上げている訳ではありません。

最近新聞の通販広告で結構安い真空管アンプが掲載されているのを目にします。倉庫を片づけていたら、とっくに無くなってしまったと思っていた真空管が見つかりました。1960年代の球で、品番からするとラジオ製作に使っていたモノだと思います。もちろん当時はすでにトランジスタが主流でしたが、まだまだ真空管も製造されていました。

トランジスタ回路はプリント基板配線で大量生産が可能で性能も安定していましたが真空管はリード配線(結線)が主流でしたから配線の出来不出来が性能を左右します。とりわけオーディオ・アンプは増幅回路という至ってシンプルなつくりですので、かえってその分結線が音質に影響をあたえます。

管理人は中学までラジオばかり作っていたので、オーディオに興味を持ってアンプを作ってみようと思った時期、増幅回路だけだから簡単だと思っていました。

当時からハイファイに必要なアンプの基本は電源回路であると言われていました。つまり交流から良質な整流を作り出すのが基本中の基本であるという事です。

 当時先輩か同級生の家で見た高級真空管アンプにLUX(メーカー名)の洗練された電源トランスが並んでいるのを見てヨダレが出そうでしたが(^^;、当然私はお金が無くもっと安いトランス(TANGO)で組み立てましたが、その分電源は増幅部を分離して別シャーシにするという気配りだけは怠りませんでした。

ところが完成して鳴らしてみると、どうしてもハムノイズが聞こえてくる。真空管の位置や部品が悪いわけでは無く回路図どおりに組み立て、ちゃんと音は出るのだが・・・・困り果てて、当時のラジオやアンプ製作の「師匠」であった従兄に相談すると一言『配線がキタナイ』。。。どうやら原因は配線のガサツさにあるようでした(大汗)

それだけではなくボリューム(可変抵抗)、ピンジャックなど部品ひとつひとつの質、果てはシールド線の太さまで音質に影響をあたえる云々という事は当時から理屈としてはわかっていましたが、いかにせん経済力がついていきませんでした(^^;

短波受信機の製作では感度や分離度が最優先されたため音質など、どうでも良かった。同じ真空管を使った機器の製作でも短波ラジオとオーディオアンプでは目的は全く異なるという事です。ラジオを作ったとき気にならなかったノイズが単体のアンプではどうしても耳についてしまうのでした。

その後、配線をできるだけ短く、そして見た目もスッキリきれいにやり直したところ、大分ハムは軽減されましたが僅かに残り、フルボリュームにしたときのノイズは消し去ることはできませんでした。経済力だけではなく技術力もついていかなかった(涙)

パソコンはオーディオ機器ではない
そんな時代から何十年か経って、パソコンでオーディオが扱えるなんて、当時を考えると夢のようです。しかしやはりオーディオの世界はくせ者です。自分自身もそうだし、サイトをご覧の方からもAD変換のときノイズが発生するなどのトラブルが寄せられます。

そんな時思うのは短波ラジオとオーディオアンプの用途の違いです。パソコンは当初情報処理機器としてワープロなど実用の世界で使われてきました。それがオーディオという感性の世界の情報を扱うまでに進化したわけです。これは高感度・高分離の受信機にハイファイアンプを付けたようなモノ。実際AV機能をウリにしている製品は多い。それなら電源の安定化というオーディオ機器の良否を決める基本はどうだろうか?

 現在のPCで機能を下げずにコンパクト化、低価格をすすめる最も手軽な手段として電源部分が犠牲にされていないか?実際、ほとんど余裕のない電源でUSBに電流を供給するだけで不安定になる機種さえ見受けられます。

また配線とは若干異なるのですがPCは発信器の塊のような物体で、常に内部でオーディオに有害なノイズを発生させています。AD変換をサウンドカード経由で行う場合、どうしてもノイズが混入することは避けられないのが事実でしょう。さらに部品という事で考えれば既製のPCのサウンドカードの入出力端子はRCAピンでは無くミニプラグです。据え置き型のオーディオ機器で入出力にミニプラグで接続する機器があるでしょうか?

オーディオの世界でノイズを低減させる基本的な仕様はPCの世界では何一つ実施されていないのが現状ではないでしょうか?・・・やはりパソコンはオーディオ機器にはなり得ないんでしょうね。。。


(C)Fukutaro 2004.6



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