一合桝

昔は一合桝が完全に分れば「初段」の実力があると言われていました。
昔の初段は強かったのでしょう。私は完全には分っていないのでこれから勉強します。
一合桝の形は、実戦でしばしば現れるので、これに対する正しい知識を獲得しなければ、
コウになるのを死んでしまったり、コウになるのを生かしてしまうこともあります。
ヨミの練習になり、手筋や形にも強くなると思います。

一合桝とは1図、2図、及び3図のような黒の形をいいます。

白先で黒を攻撃するには、どんな手がよいでしょうか?

1図  ダメヅマリ

ダメヅマリの形です。
白は第一着を中央の点に打つ、これが良い手で急所です。「左右同型中央に手あり」です。
2図  ダメアキ

一合桝のダメアキの場合です。
が急所です。


3図  下バネ

黒の下バネがあります。
が急所です。


4図

白1以下9までコウになるのが正解です。(この場合は左右同型ですから、黒2で8から打っても同じです)手順中白3で4のところへハネ出すのは黒3白9の1目とり、黒白6黒7までとなって、白に不利な一手ヨセコウになります。黒6とマガル手で、7のところへオサエると、白6のキリ、黒の1目取り、白8と打って五目ナカデで黒死にます。また白がコウを嫌い白7の手で8とサガルと、黒7とサエギラれてセキの黒生きとなります。










5図

白3と打つ手もあります。以下11までコウとなります。しかし、この形は、黒がダメヅマリなのでコウになりますが、もしダメアキならば、白11のコウトリに続いて、黒でオシツブシとなります。ダメアキの場合には白は4図のように打つべきです。黒4で9のところへハネれば、白10黒4白8で黒は五目ナカデの死にです。すなわち黒4で9とハネるのは悪手です。また白5で6へ打つのは、黒5白11の1目トリ、黒9となって白不利な一手ヨセコウになりますから、白5で6へ打つのは悪手です。以上の黒と白の二つの悪手から考えて、生きるにはなるべくフトコロを広げること、反対に殺すにはなるべく敵のフトコロを狭くして、その後に急所へ打つことが大切です。
6図

白が中央の急所へ打ち込まないで、6図のように或いはと打ってきたら黒の正しい応手を考えてください。


















7図  白1悪い

白1ならば黒2から6までとなり、黒に有利なコウです。もつとも黒4では5とサガリ、白ハネ、黒白6ツギ、黒のトリ、白4黒と打って脱出する手段もあります。ただし、この形は下辺に白石があるか黒石があるかで大変違い、もし下辺に白石があって脱出できない場合は、黒は6までとコウにすればいいのです。
8図  白1悪い

黒12・・・2のところ1目トル


白3ハネ、黒4サガリ、以下黒12までで無条件生きです。








9図  白1悪い

白1には黒2のサガリを打ち、以下黒10までとなり黒が無条件の生きです。手順中白3で5なら黒3でよく、また白5で6とツグのは黒5とワタリ、「セキ」になります。この形は、白黒ともに錯覚しそうなところです。







10図  黒1悪手

白の中央の急所への打ち込みに対し、図のように打つのは白8までとなり、「眼あり眼なし」で黒の一手負けです。すなわち黒1は悪手です。




11図  コウ

ダメアキの場合には、白は4とハネ、以下8までとコウになります。
白2で3にハネるのは・・・




12図  白8コウトル

白2のハネから白8までと同じくコウとなりますが、これを比較した場合、白は11図を採るべきです。何故ならば、この場合は差し支えないのですが、もし黒1の手を4から打ち、白白1黒白7、黒のところツギ、白6黒と逸出する味があるからです。
13図

このようにダメアキの場合でも、ダメヅマリの場合と同じくコウですが、ただ両者を比較してみると、ダメアキの場合は黒となるコウダテの余裕がある点です。ただし、コウダテのないダメアキならば、その限りではありません。
14図

このような場合、黒のハネと白のトビの交換がすでにあるか、またはその交換がなくても、黒からのハネが利く場合には、黒は容易に死にません。


15図

ハネが既にあれば、黒1とこちらからツケ黒5となって黒が生きです。黒5に次いで白としても黒と二子をトラレてはそれまでです。



16図

白2と横にナラベば黒3のハネです。黒3がうまい手です。所謂「二の一に妙手あり」です。但しこれは黒のハネがあるからで、なければ白に5とワタラレてしまいます。黒3から9までと一種の両コウで黒生きです。
なぜ両コウで生きるかは、黒9に続いて白ならば黒3とトリ、白が6の点に取ると、黒でオシツブシの生きになりますから、白がコウダテを打って、8とコウをトレば、黒9と6の1目をトルので、結局白はこの黒を殺すわけにはいきません。黒9までの手順中白6で7へ打てば黒6白8と二目トリ、黒で六手ヨセコウになります。
「三手ヨセコウはコウにあらず」という位ですから、六手ヨセコウでは問題なく、黒生きといってもいいでしょう。
また白8で9にツグのは、黒でオシツブシの生きです。
「ダメアキ」で「下バネアリ」は、いくぶん味が悪いとはいえ、生きといってもよいでしょう。








17図

ダメが1つあり、しかも、下バネのある場合は、黒1から9までと二手ヨセコウになります。白2で5のところへウチカキますと、黒2と打って生きてしまいます。




18図

「ダメヅマリ」で「下バネアリ」の時には、黒1から白10までとなりコウです。黒3で9と打ち、白4黒5白6黒3でもやはりコウです。また白が6で7と打ち、黒9白10黒6白8でもコウですが、このコウは黒にとって二段コウです。



19図  黒6コウトル

18図の説明の最後のところを図にしたものです。この方が白には有利なコウですから、黒3では9と打ってコウにするのが正しいのです。
ここで1つ、注意しなければならないことは、下バネのある場合は、15図から18図のように、黒1のツケを「下バネのある反対側」に打つこと、これが大切です。
20図  黒7ツグ

黒が1と下バネのある側から打てば、白8までとなって黒死です。勿論、黒7で8と打てばコウになりますが、六手ヨセコウと一手コウでは論外です。






21図

このような形の時には、黒1から白8まで、隅は一応五目ナカデの死にはなりますが、次いで黒と逸出してしまいます。上辺の星下に黒石がある場合には黒の逸出は楽です。このように逸出できるということは黒からは5のハネが利く意味があることで、これは両バネがあるのと同じになります。ダメアキで片バネアリですから黒が容易に死なないのですから、両バネアリでは問題なしです。
22図

に対しては黒でもはでも差し支えありません。これは15図、16図で説明しました。問題はダメアキが一つしかない場合と、ダメヅマリの場合はどうかということです。






23図

黒1から9までとコウになります。この図は両バネアリ、或いは片バネアリ(17図参照)にかかわらず、一手コウより黒が楽なコウです。白2で3のところへサガルのは、黒7白2黒5白9黒4でセキになります。
24図

ダメヅマリの場合でも、黒1から白8までとコウになります。白がコウに勝つ場合は、7の点にツイで五目ナカデになります。これを白が誤ってに取ったりすると、黒1にトリ返されて、再びコウになってしまいます。

25図

前図では黒3を最初に打ちましたが、両バネのあるこの場合は、黒1と打っても、白8までのコウとなり、24図と同じ結果になります。




26図

同じ一合桝でも黒が星に石のない場合は、白から急所に打たれると、黒はどう打っても死です。すなわち白8までと黒の死です。黒7で8のところならば、白7で五目ナカデの黒の死に変わりありません。

27図

片バネアリの時(両バネアリでも同じこと)には黒1から8までとなってコウです。白4で5のマガリは、黒4白7となり同じくコウです。





28図

黒1とツケルのは、6の点に黒石がない場合ですと白2から10までとなり、五目ナカデで黒死です。6の点に黒石のない一合桝の場合には、黒1のツケがかえって悪いことがあるので、黒1のツケも時によりけりといわなくてはなりません。黒5で6と打つのは、白5黒いの1目トリ、白10でやはり五目ナカデです。
29図

黒がいかにダメアキとなっていても、星に、すなわち9の点に黒石がないかぎりは、白1と急所に打たれると、黒がいかに苦心しても白9までとなって黒死になります。黒6で7とハネても、白6で黒の死に変わりありません。すなわち白9とが見合いになるからです。



30図

これは星の点に黒石があります。ダメヅマリではありますが、黒1のサガリが利く場合は(黒2を手抜きすると黒と打ってドンドンがある)黒7までとなってセキの生きです。黒7は手抜きしても、と7を見合いにしていて、やはりセキの生きですが、念のため黒7までとしました。
31図

ここからは星に石がないので一合桝ではありませんが、一合桝と不可欠の関係にあるので掲載します。
黒1の打ち込みに対し、白にはの四手が考えられます。






32図  先手セキ

白1とツキアタレば、白11までとなって白の先手セキです。白3で11のところへハネますと、黒7白3のところへツギ、黒5白4黒8となり、白がツブレてしまいます。手順のうち黒4のサガリで5のハネは白4となって、やはりセキです。この図の白5の手は、いわゆるフトコロを広げるという手にあたります。
33図  落第

白1とこちらからツキアタリますと、黒6までとコウになります。白1が悪いのです。






34図  後手セキ

白1とツケると白9までとなり、白の後手セキです。白3で9のところへ打つと、黒4白5黒6白7黒3となって白死です。また白3で9、黒4の時、白3或いは白8と打つのは、黒5で白が一手負けになります。この白1のツケも感心しない手です。


35図  落第

白1とこちらからツケルのは白7までとなり、次に黒がダメをツメて、黒には後にとコウに仕掛けるネライが残ります。
白7でと打てば、黒で一手ヨセコウになります。また、白7でならば、黒で五目ナカデで白が死です。
やはり、この白1のツケも悪手です。
35図参考図

白3とフトコロを広げるのは、黒4から10までとコウです。白9で10のところへ打っても、黒9でやはりコウです。また、白3で10と打っても、黒9のオサエでこれもまたコウになります。




36図

このような形も隅にはしばしば現れます。黒1が急所です。白2から14までと、白は辛くも虎口を脱しました。この後は辺の、或いは中央の白黒の石立てによって是非が決まります。黒7で9から打てば、白11黒7となって二手ヨセコウになります。また、白が10とトル手で11のオサエならば、黒10のツギとなり一手ヨセコウになります。

37図

白2に対し黒5とツキアタラずに3とハネルのは、白4から10までとセキになります。白4のコスミがうまい手です。黒5で9のハネは白5で生きです。









38図

「相手の妙手は我にも妙手?」すなわち黒1のコスミは、白から打てば妙手ですが、白2から8までとなって無条件で白生きです。そこで上の俗諺も時によりけり、ということになります。黒3で7と打つのは、白4黒3白8でやはり白が生きです。また、黒3で6のハネには、白いのオサエ、黒5白7となって両コウで白が生きになります。
39図

黒1のハネは、以下白8までとなって無条件の生きです。両コウでは黒からトリカケにいくわけにはいきません。黒5でとオサエれば、白5のキリ、黒で同じく両コウの白生きです。






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