じむのサンフランシスコ紀行
FLIGHT2
捨て猫のように右往左往・・・左往の巻

Scene 13 MUNIバス
さて、いよいよお仕事初日だ。朝はNさんが家まで迎えに来てくれた。坂の上からやって来たが〜朝日をバックに
して、
まさに女神さまご光臨だ。だって、この人からはぐれたら、俺ら路頭に迷っちゃうんだもの!頼ンますよぉ。
・・・ってな気持ちで〜ダウンタウンに向かう事になる。交通機関は・・・バスだ!・・・この時点で、俺ら、毎朝バス
通勤になることは、
あんまり分かっていなかったんだよねぇ、多分、オリエンテーションで言ったと思うんだが。
まぁ、そんなこんなで〜市民の足
「ミュニバス」に乗ることになった。それは〜気がつかなかったが、トロリーバス
なんだよねェ。上海で乗ったそれは〜喋ると舌を噛みそうになる位、激しく揺れたんだけど、どうかな・・・?など
と乗車・・・
案の定〜揺れやがんのだ!しかも結構飛ばすので〜ヒヤヒヤしちゃう。お〜ぅぃ、だいじょぶかぁ?
フェリービル
Scene 14 MUNIバス その2
仕事になってないぞ!ただただ半分以上分からない英語を聴いているだけだ・・・。一応、斬り込んでみるが、手応えがないではないかぁ?
ガックシと疲れて家路を辿ることになる、しかも〜今夜は未対面の奥さんも居るという。更に緊張が待ち受けているぞ・・・しかぁし!・・・と、
内に秘めるものを感じつつ、
ユニオンスクエアの、ライトアップされた見事な電飾ツリーを見上げる。「あ・・・バスで帰るンだっけナ」と現実に
逆戻りだ。
38番〜Geary St.のバスに乗るというのは覚えた・・・しかし、何処で降りるのか?そんな事を考えつつ〜瞳の直径を3倍ほどに
大きくしながら、
外の景色を必死で覚える。日本のバスみたいに親切なわけではなかった・・・行き先表示の電光掲示板があるのだが〜
ぐに「STOP REQUESTED」と言う文字に変わって
しまい・・・次はどこなんじゃぁ!!!・・・と、バスの中心で叫びたくなる。音声も言ってくれ
るバスもあると後で分かったのだが、生憎、このバスは音声がなかったンだと思うよ。見覚えのある店は?ドーナツ屋は?日曜に行った店
は?目玉が飛び出しそうになるくらい、外の景色を見つめるんだよ!とかしている内に〜「あ、ここだ」とNさんが急いで席を立つ。へ!?
ここだったんだ?心の準備も、そして
ランドマークも結局見つけられないまま下車・・・ひょっとして信号待ちに救われたのでは〜?などと
突っ込もうとしたが、やめておく(笑)。明日のバスは小銭(1ドル紙幣+25セント玉)を用意して置かなくちゃナ・・・そんな事を考えつつ、帰
宅だよ。でも、どうすんだろなぁ、こんな状態で・・・。Nさんは、「じゃぁ、明日はターミナルの信号機で!」と言いながら帰ってしまったし。そ
もそも、ターミナルって言うのも〜
あんまり把握できちゃぁいないのだよ。明日の朝はどうしたもんか・・そんな事を考えながら・・・吸いたく
ても吸えなかったタバコ・・・今日2本目・・・なんと
1mgのタバコでフラフラになりつつ、玄関前の階段を上るのであった。
Scene 15 LONGEST TIME
2つ目の陸橋を過ぎた〜あの壁画はこの辺りか〜トイザラス・・・えと、ヴァンネス?どの辺りだここぁ・・・。
さっぱり
わかんねぇよ・・・!?
などと焦るうちにバスはMarket St.に滑り込む。単独出勤初日だが、何も得るところがない!
しかし〜帰りは奇跡的にバンクオブアメリカの建物を見つけることができ、無事に帰ることが出来た。しかしだ!
「じゃぁ、明日はパウエルのGAP前で!」そんなスケジュールなのだ。建物はみんな同じに見えるし〜パウエルっ
てのも〜GAPってのも、
あんまり把握できていないのだヨ、きみィ・・・。内心、ムヒョ〜?とか思ったが、良いじゃぁ
ない、やってみましょうとも〜とチャレンジするのだ。だが、
現実は甘くなかった・・・2つ目の陸橋を過ぎた・・・あの
壁画は・・・
昨朝と同じ繰り返しなのだ。ヤッベぇなぁ・・・眼を剥いて外を見ているので、車内に目玉を落としてしま
い、探し出すのに苦労した。そうこうしている内に、ヒルトンホテル・・・次の停留所で、人がドッと降りた!そう言え
ば「人がドッと降りるので、そこがパウエルです」と聞いたっけナ。
一か八か流れに乗って降りてみる!しかし、身
体は正直なもので・・・一段踏み外して、おっとっとだよ。悪態を突きながら歩くと・・・まごうことなき2本のレール!
そうだ、
ケーブルカーのレールだよ!?そうだ、ここがパウエルだよ、おっかさん。靴屋やグロッシャリーの前を通り抜け〜GAPの前に到着
だ。メチャメチャ緊張したが、
何とかなったヨォ!ケーブルカーのターンテーブルを横目に、安堵の溜息をついた。しかしだ・・・何か心細い
のには変わらない。ゾロゾロと4人の警官が拳銃をぶら下げてやってくる・・・ホームレスのおっさんは、物欲しげにこちらを伺う・・
・観光客
でない風を一生懸命装って
、横目で観光名物のケーブルカー手押しをチラチラと見たりしてね。そう、一番長い日が始まったんだよ。
Scene 16 冗談じゃないYO
いつ終わるんだ〜?と言うくらい路線バスの恐怖は続くのだ!しかし単独通勤3回目慣れてきたぞ〜
「パウエルGAP前」っつう響きに。要
は、二股に分かれて(朝はO'Farrell St.-夕はGeary)ってことだろ?んでもって、Jones St. に来たら外を注視して〜ヒルトン過ぎたらケー
ブルカーの軌道がある交差点で降りる! 夕は、Park Presidio の次〜20th St.で下車すれば良いって事(ただしLTD便)だよな!こうなれ
ばもうこっちのものさっ。
余裕綽々で今朝は乗車だ。しかも、トークンと言う前払い回数硬貨も手に入れたしねッ。意気揚々とバスに乗り込
んだ・・・が、しかし席がない。仕方なく〜エクスキューズミィとか言いながら後部座席へ・・・
しかし、それが間違いだった!俺ら別に肌の色
とかの差別意識はもちろん無い、自分だって有色人種だしな。しかしだ!
ラップだヒップホップだ系統の体格の良い、しかもガラの悪い、鼻
やら唇にピアス、そして腕に入れ墨、足を投げ出したりしているアフロアメリカンに囲まれてみろ!!!
本能的に「こ、これはヤバイ・・・」と
感じるはずだっ!?何かあった時、周りのアメリカンは助けてくれるのだろうか・・・日本だと電車男でもいないかぎりダメだよな?そんな事
を考えながら〜そして
イタイ汗をかきながら〜Lagunaからの、人生で最も長い10分間を過ごしたんだよ。
Scene 17 子ども銀行券
200ドルを持っていった・・・クレジットカードを使い慣れていないからね。地元の信金で替えてもらったんだよ。
インクの匂いも新しい〜新札だ。その日は健康食品やらをたくさん置いてある店に行ったんだけど〜そうそう、
途中に大阪みたいなノリでメリーゴーランドがあってビックリだ〜商品を買って、レジに行ったんだけどねぇ〜。
お金を透かして見てるんだよ・・・しかもかなり念入りにね。新札ってことで、偽札かと思ってやがるのだ。まぁ
偽札の横行が激しいんだろうけど〜
俺らは、カリオストロ男爵じゃねぇっつうの!やむなく「先週日本から来た
だよぉぅ」
と言って相手を納得させる。ちゃんとスーツ着てるんだけどね・・・もち、残りの札は後で揉んでおいた
Scene18 働けよ、おっさん!?
と・・・まぁ、ホームレス多いよなぁ〜マーケットストリートって。俺らがタバコを吸っていると
「1本くれよ」と強請りに来る。これはまぁ良いだ
ろうと思う、だって吸いたいものナ。同じ煙草吸いだということで2本あげたりするんだけど。この間はだな・・・何だかペラペラ言っているの
で無視していただけど〜どうやら話の筋は
「バスに乗りたいから25セントくれよ」とか言っているのだ。バカを言うでない!!!しかも、話
によると
「昼飯喰いたいから25セントくれよ」ってのもあるらしい。気持ちは分かるが〜働けよ、おっさん!?しかし、情けに訴えず〜堂々
と直接〜何かくれよ〜と言ってくるSFのホームレス諸君には敬意を表したいと思うよ、ウン。