エス・フレーム工房     ヒマで興味のある方向きのページです

額縁の材料について 1 

額縁の裏面のトンボ金具を90度回転させ中から全て取り出しますと、通常 裏板・ダストカバー・縁 厚み調整ボード・ライナー・面金・入子・そしてマット・調湿紙等など、様々な部材で出来てます。

まず縁の材料としては、木・アルミ・樹脂が使用され、その中で、圧倒的に多いのが木です。
木にも沢山の種類が存在し、世界3大名木のチーク・ウォールナットが最高級で、アルダー・アッシュ国産のナラ・ブナ・サクラも高級材。比較的安い、ポプラ・不明の南洋材も使用されてます。
硬くて粘りが有る,割り箸材料の白ポプラも中国で、伐採禁止になって不足気味、その為、最近接着集成ボードのMDFもみられます。ヒノキ・杉は軟らかい為、あまり使われません。

そして、木取り後に縁材への表面加工です。金・銀箔貼り ビニール印刷の貼り 塗装塗り 無垢材の磨き等に分けられます。
金箔も本金箔・洋金箔合成金箔が有り値段が違います。見ても判らない事有りますョ。
塗装を見ますと、漆塗り ウレタン塗装 ラッカー塗装があります。ウレタンは皮膜が硬く丈夫ですが、ラッカーは紫外線に脆弱で皮膜も弱い分安価で塗装できます。
裏に青紙テープ貼りも有りました。

ダストカバーのアクリル・ガラス・塩ビ・ペットは、アクリルが一番ベストと言えます。塩ビは勧めません。
そのアクリルですが、石油の塊で製造方法でキャスト判・ロール判に分けられます。キャスト判は表面がより平滑で、少し高い。
使用目的により普通アクリル・UVアクリル・低反射アクリルが額縁に使用されています。
厚みも、1.5ミリ・1.8ミリ・2ミリ。3ミリが額縁に使われますョ。
アクリルの歴史は、たかだか80年ですが、ガラスは中国で4000年程前に作られていたそうです。
尚、アクリルにはある程度、紫外線カットしてくれる能力があります。紫外線もA波・B波・C波が有り、現在の地球上には、B・C波を防いでくれる物質は存在しません。UVアクリルでも100%カットは不可能です。

UVアクリル&ガラスは経年劣化によりUVカット性能が無くなってしまいます。使用状況により劣化状況が違う為、使用可能年数が解りません。美術館等の使用環境で10年程度とも言われてます。

裏板は、ラワンベニヤ・シナベニヤ・MDF・板段ボール、そして注目は樹脂製ボード (プラ段)です。プラ段が軽くて丈夫、さらに有害な酸を出さないとの事です。これらの裏板に、青紙・黒紙を貼ったり木足 (ドロ足)付けたりします。
厚み調整ボードですが、板ダンボール・発泡スチロールが圧倒的に多く見られます。問題は、板ダンボールですが、保存額装の観点から見ますと、輸入品にヤバイ物がたくさん有りますね。

無垢ウォールナット額縁


無垢ウォールナット材額縁 も取り扱ってます
平成20年12月7日
無垢ウォールナット額縁
です。広島のF社さんが
製造しています。美しい
木目模様が特徴です。
チーク材より硬く、高価
な材料を職人さんが、
丁寧に仕上げた逸品で
す。取り寄せにて承って
います。
ウォールナットも世界3大銘木の1つ、チーク同様に高級家具・ド
ア・銃等に使われてきました。チョコレートカラーに美しい木目が特
徴。
デッサン縁。サイズは、インチ(203×255)からMO判(693×89
3)迄各規格サイズが製造してます。
職人さんが、1点1点を丁寧に磨き上げ仕上げています。さすが、こ
だわり額縁のF社さんの製品です。縁巾は3種類、特注サイズも対
応出来ます。問題は価格です。見る人が見れば判ります。先日、
納品したお客様は、木造建築の関係者様でサンプルのカット断面
を見てビックリ建築資材には無いからです。無塗装の無垢材はさす
がですね・・・・・
ちなみに、F社さんは取り扱い店舗を選んでいる様です。

  ウォールナットのコーナーカットサンプル    無塗装です

縁巾が違う額縁
平成20年12月8日
こちらは、長い辺(長手)と、短い辺(短手)の2辺の巾が違う、額縁です。写真は色紙用サイズで輸入販売メーカーはラーソン・ジュール・ニッポン社です。
2辺の巾は、広い辺が55o、狭い辺が29oと倍くらいの違いが有ります。商品名は Wフレームと称しています。
2辺の位置が逆の、短手幅広・長手巾狭も生産されています。こちらは、長細い額縁になります。
色はリッチブラウンのウレタン塗装仕上げ,,色紙額のみ漆仕上げタイプが有り好評です。
デッサン縁です。他の額縁と違う 組木造り しています為、大きなサイズは作れません。製造工場はタイにある関係上、オーダーは受け付けていません。
材料の木材名は、南洋材と記されています。 すいません。つまり木種不明と理解して下さい。
規格サイズとして、ハガキ(102×152)から三々(455×606)、OA用紙サイズのA3・A4及び色紙ぴったりサイズが有ります。
この額縁、ところがどっこい、和の雰囲気にベストマッチするのです。一度、ご覧になってください。
価格は、色紙漆額縁を除き、中程度に設定されてます。


額縁の材料について 2 

ライナー・入子・面金ですが、これはダストカバーに直接、作品等が触れない様にする為のパーツです。 材質としては木製・樹脂製が殆んどです。
麻布貼りの油縁ライナーは木枠に張り込んだ油絵用に溝が深く作られています。入子は油縁ライナーの細いタイプで?布無しです。 面金は平面金・立面金が有りますが、いずれもダストカバーとの接触防止の為、使用しています。
ガラス押さえとも言われています。

マットは紙製・ベニヤ布貼りが有り化粧額装用と保存額装用に分ける事になると思います。
紙マットの材料ですが、パルプ・コットン・両方のミックスで製造され厚みは1ミリ〜3ミリ迄、化粧紙を貼ったカラーマットも各社より発売されてます。当店では、保存額装には特種製紙のピュアマットお奨めしています。
マットは窓抜きしますが、金・銀・木製の面金を付け、グレードアップします。見栄え違いますョ。
又、2枚・3枚のマットを重ねてカットしたり、浮かして使ったりと、様々な額装テクニックを使いこなすのが額縁屋さんです。

以外に重要な事は、金具・ヒモ・額取り付け金具ですね。
額の裏面に色々な部品が付いています。樹脂製は寿命に問題が有ります。 (当店も目的に応じて使用してます) メッキ鉄製・ステンレス製がベストです。
ヒモを通す吊り金具も安全加重があります。適切な吊り金具であれば問題ないのですが・・・・ 時々、問題が有り交換する事あります。よくこの金具で持っていたなと、感心してしまいます。・・・

さて、ヒモですが、額の壊れる原因で一番多いのが、ヒモ切れです。使っていれば、何時かはヒモが切れます。
ヒモもたくさんの種類が有ります。安全加重もメーカーより公表されてますので、お近くの額縁屋さんで相談して下さい。
ちなみに、当店取り扱いヒモで最も丈夫なヒモは、F金属さんより発売のケプラー製ヒモです。 安全加重は50キロ対応です。1mで200円で切り売りしてま〜す。

直接の金具ではないのですが壁への金具類も書きますネ。
これが大変重要で厄介なんです。全て書きますと、教科書1冊分位になってしまいます。建築関係の方を額縁屋さんに同行されて、相談するのが本当は、ベストだと思います。 もしくは、日曜大工の出来るお父さんに額縁屋さんに走ってもらう。 額用の壁金具の使用経験者に聞く・壁構造の解る額縁屋さんに相談する。出張してもらう。・・・・・ですかね
額縁用金具メーカーのF金属さんのカタログは、なんとA4サイズで 128ページも有ります。
多数の壁金具から、適切な安全加重の金具を選び、取り付けましょう。