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果て無き夢へ
果て無き夢へ登場人物


第三十三話   ランナウェイズVSエンジェルス 第二曲〜清川兄妹〜







昔、日本球界を代表するエースは猪狩 守だった。


だが、彼は決め球、ライジングキャノンのさらに上のウィニングショットの開発に失敗し、選手生命を絶たれた。

















女性を代表するエースといえば、エンジェルスの現監督早川 あおいと、引退したが橘 みずきであろう。
あおいは、決め球マリンボールを駆使し、キャットハンズで力の限り先発、中継ぎ、抑えとフル回転。
引退した後は、パワフル大学で監督業を努めた後、エンジェルスの監督となった。
一方のみずきは、キャットハンズで8年間先発ローテーションの軸として通算100勝をあげた。
しかし、結婚を機に引退。現在は2児の母として、主婦業を営んでいる。

















変化球の神様といえば、阿畑 やすしだった。
彼の気さくなキャラクターは、極悪久やんき〜ズに多大な人気をもたらした。
彼の繰り出す魔球・あばたボール(後にアカネボール)の変化は、絶賛の評価を受けた。
今はたこ焼き屋をしながら、草野球チームの助監督を勤める身だ。妻の茜夫人のご機嫌を取りながら愛息子のたけしくんの教育にも熱を注いでいる。

















現在、日本球界で野球評論家のほとんどは12球団の中から3人のエースピッチャーの名前を挙げる。


















一人は、猪狩カイザース 水瀬 海星。



160キロのストレート、高速変化のカットボール:荒波とオープン戦でキラーズ打線を苦しめたナックル:大震災が魅力。
まだまだ30歳前ということで、第二の猪狩としての期待が寄せられている。

















一人は、木更津ランナウェイズ 時雨 渉。
成長株ながらも、徐々に人気、名実、そして実力とのし上がってきた投手。
もとが変化球投手だけに、その高速スライダーの切れ味は目を見張るものがある。
プロ入り5年目。しかしながら、3年目に20勝を上げ最多勝を獲得するなど、実力は伴っている。
彼の熱い精神力以上の闘志はいまだ見たことがないと、評論家たちをうならせる、「気迫の男」である。

















一人は、ガールエンジェルス 木ノ本 若奈。
プロ入り5年目。しかしながら、精密なコントロールが売り物。
ルックスも程よく、ファンが非常に多いことでも有名な、人気、実力を兼ね備えた女性エース投手だ。
スライダーの切れ味もよく、女性選手第二世代の一角を担っていると評論家たちは唱える。

















そのほかの球団のエース、フェニックス 波田、ドルフィンズ 浪野、キラーズ 江成などにもいい評価は集まるが、その中で高い評価を受けているのがこの3人だ。
(時雨は右のエースということで注目を集めいている。一応、ランナウェイズのエースは藤原である)

















その3人のうちの二人が、同じマウンドで投げ合っているのである。

















皮肉にも、お互い、相手が持つ“何か”に惹かれあいながら、認め合いながらも・・・だ。

















敵(ライバル)故に、それゆえに・・・

















2回表。
0−0のまま、時雨 渉は今日2度目のマウンドへと上がった。
マウンドの土の感触はやわらかい。踏みなれた、フライチャンズ球場のマウンド。
角度は誰よりもわかっているし、違和感など毛頭ない。
自分を信じて、自分のすべてを賭け投げ込むのみ。
先頭打者は4番の松井。彼女のバットコントロールのよさは、耳にしていた。
時雨:「(まず、最初の修羅場って所か・・・)」
時雨はそう考えると、古木のサインを受けてゆっくりと振りかぶった・・・

















時雨:「(勝つ・・・今日は、それだけだ・・・!!)」

















オーバースローから投げ出されたボールが、ホームベース付近で変化する。
松井:「(えっ!変化球!?)」
直球のタイミングでバットを振り出した松井は、手元で変化した時雨の高速シュートに体勢を崩した。
だが、流石はその自慢のバットコントロールで、的確に芯に合わせてくる。
古木:「(なっ!この体勢から無理矢理引っ張るつもりなのか!?)」
その松井の一連の動きを間近で見ていた古木。
本来なら、ファール、あるいは自分のキャッチャーミットにボールは吸い込まれるはず。
だが、この松井という選手は、女性ながらもしなやかにボールを捕らえようとしていた。
まずい・・・時雨も、古木も同じことを考えた。
松井:「(一塁線・・・いけるわね・・・)」
テニスのバックハンドを打つかのように、2段階目の肩を入れる松井。
さらにそこから、素早く腰を回転させる・・・軸足一本で、だ。
古木:「(テニスだ!軸足一本とか、ほとんど野球ものじゃねぇ!)」

















時雨:「無茶すぎる体勢だ・・・アレを本気で!?」

















松井:「(今回も・・・軽くヒットになりそうね・・・)」
松井の中では、完璧な勝算が確立された。
バットを振りぬくと、白球は想い描いた軌道に乗って、一塁線上をしっかり水平に飛んでいった・・・

















時雨:「(まずい!!長打コース!!)」
シュートのはずし仕方をミスっていたが、体勢が崩れたことで半ば安堵してしまった自分を悔やんだ。
案の定、油断大敵。ボールは長打コースへ飛んで行った・・・

















飛んでは行ったが、抜いていくことはなかった・・・

















飛びついたファーストミットに、軽快な音を立ててボールが収まる。
それをしっかりと塁審へ向けてアピールアウト。
記録をファーストライナーでとどめた。

















清川:「油断大敵だぞ、時雨。また手を抜くつもりか?」

















起き上がって駆け寄ってきた一塁の彼は、にやりと笑うと、時雨にボールを渡した。
清川 仙・・・



















理奈:「やってくれるわね、お兄ちゃん・・・」

















ネクストバッターズサークルからバッターボックスへと移動してくる。
打席に入ると、軽く足場を均した。
ふぅと少し深呼吸してから、いつもどおりのスタンスを取る。
彼女は、楽しそうにマウンドの向こうの空を見上げた。
清川 理奈・・・



















美夢:「むぅ!お兄ちゃんの意地悪!!」

















ベンチから乗り出して、先ほどのプレーを見ている。
自分の姉が打席に入るのを見届けると、「頑張れ、お姉ちゃん。」と、心の中でつぶやいた。
清川 美夢・・・



















清川3兄妹が、同じ戦いの場に集った。
兄弟対決が、本当に実現しているのである。

















緊迫したムード。
打席に入った理奈を、時雨は闘志あふれる目でにらむ。
時雨:「(もう、もう7,8割のボールなんて投げないぜ・・・10割・・・100%ボールで行く!!)」



ゆっくり振りかぶると、サイドスローから磨いた速球を内角低めの際どいゾーンへと想いっきり投げ込んだ!









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