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果て無き夢へ
果て無き夢へ登場人物


第三話  サブマリン・条辺







徳島バトルゲームスタジアム・・・。
収容人数4万8千人。巨大なバックスクリーンと、7回表攻撃終了時にあがる花火が大目玉だ。
球場内にはレストラン、グッズ売り場、プールなども控えており、メジャー球場を意識しているのがうかがえる。
また、シート席はもちろん、たまに観戦に来る芸能人らのためのVIP席も用意されている。
本日は開幕カードとあり、地元の応援団らは新たな選手の応援歌をこしらえて球場入り。
ドルフィンズファンはビジターのため、3塁側へと陣取った。






修吾:「(いよいよだ、理緒。俺の戦いが始まる・・・)」
修吾は左腕のリストバンドに目を落とす。
白色のリストバンド、その下に隠された大きな傷。
しかし、今はそんなことに躊躇する暇は無い。
今、意識することは勝つこと!それのみ。
修吾は、ファーストミットをつけると、勇みよくフィールドへと駆けていった。






場内アナウンスが入る。バッテリーの発表は、すでに1時間前に終わっている。
午後6時を時計が指す。プレイボールだ!!







千葉県木更津市。
ランナウェイズもまた、本拠地で開幕戦を迎えた。
開幕投手を務めるのは、自ら志願したという時雨 渉。
進化した自分の姿をファンに見せるため、パフォーマンス、投球術ともにキレ、チェリーズ打線を4回まで無安打に抑えている。
四死球は0と、かなりのハイペースで仕上げている。
時雨は振りかぶって投げる。オーバースロー。
こいつが内角高めに決まってワンストライク。
続いて途中まで同じフォームで、サイドスローからノビの強い直球を投げる。オーバーと同じ速度をたたき出す。
そう、チェリーズ打線を、上手投げ、横手投げで翻弄していたのだった。
時雨:「(若奈、どうやら勝利が見えそうだぜ・・・)」






東京都渋谷区。
エンジェルスは、開幕戦をフェニックスと組んでいた。
早川あおいがプロ野球の監督として公式戦での初采配を振るう。
当時のあおいの勇姿を知るキャットハンズのファンも、彼女見たさに駆けつけた。
試合は3回を終えて2−1。若奈が初回に相手の4番にタイムリーを打たれるが、立て直している。
理奈:「よーし、みんな!しまっていこう!!」
若奈:「(負けられない!今年こそ時雨さんには勝つ!)」




そして・・・





徳島!!






ドルフィンズ1番バッターの倉畑がバッターボックスに入る。
工藤:「(今年もやってきたか・・・3拍子トリオ・・・)」
ドルフィンズの名物は厚みのある打線・・・その中でも、倉畑、竹田、上里の3人は、総称で「3拍子トリオ」といわれている。
実力は侮れない。
条辺:「(だけど・・・僕みたいなピッチャーにはなれてないだろう・・・)」
キラーズの元エース条辺。
その実力を修吾は知らない。
修吾:「(条辺さんはいったいどんな投手なんだ・・・。一回も投げた姿を見ていない・・・)」






工藤:「(条辺さん、ど肝を抜かしてやりましょう!初球はこいつでお願いします!!)」
条辺:「(よし!!)」
そういって条辺は、深呼吸。軽く息を吐いてから、モーションに入る。
修吾:「なっ!アンダースロー!?」
修吾が始めてみた条辺の投球フォーム。
マウンドすれすれの部分からリリースされるボール。低い姿勢から投げ込まれたストレートは、回転・・・ノビを増していく。
倉畑:「うぉっ!!」
倉畑の懐・・・内角高目へとストレートが決まる。
判定はストライクだが、問題はその速度だ。





「132キロ」






修吾:「なっ!高校生くらいのスピードで相手バッターが見逃し?!」
そこがサブマリンのすごいところである。
下から上へとボールは軌道を描く。つまり、ホップしていくに等しい。
ジャイロでも、強烈なノビがあるわけでもないが、条辺のストレートは、その速度数値がうそかと疑いたくなるほど、錯覚を起こしやすい。
倉畑:「(いけねぇいけねぇ。来る前のミーティングで、このピッチャーの癖は見たはずだぜ?)」
1番バッターの倉畑はミーティングで見たビデオの内容を思い出し、にやりと笑みを浮かべる。
倉畑:「(変化球をリリースするとき、そのときが勝負・・・)」
狙い球を絞っていく。2球目もストレートだったが、倉畑は見逃す。
倉畑:「(変化球が来るとわかっていれば、あの厄介なストレートも怖くはない。変化球を狙い撃ちし、序盤で得点を挙げれば・・・)」
だが、そんな甘い考えは進化していくサブマリンには通用しない。
投じた3球目。ボールはゆっくりと弧を描き外角へと落ちていった。
倉畑:「な、なにぃっ!!(おいおい、リリースポイントが見えるのが弱点のはず・・・)」
審判:「ストライク!バッターアウト!!」
条辺の癖を完全に見抜いていたはずの倉畑は、同じリリースで投げられたカーブに驚きを隠せなかった。
倉畑:「(ミーティングの意味・・・なさそうだな・・・)」









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