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果て無き夢へ
果て無き夢へ登場人物


第二十八話   A boy and a girl talk. But a girl ...







淹れられた紅茶に手をつける修吾。
一口飲むと、「うまい!」と小さくいった。
それを聞いて、理奈の表情が明るくなる。
理奈:「よかった!お口に合うかどうか、少し心配していたんです」
そういって自分も淹れた紅茶を口に運ぶ。
「いつもよりいい感じで淹れられたな〜」と、のほほんとした笑顔で言いながら、理奈はカップを受け皿に置いた。
修吾:「普段はコーヒーをよく飲むんですけど・・・紅茶もいいですね」
理奈:「コーヒー党だったんですか。よかったら、茶葉を少しあげますよ?」
そういって理奈は、持っていた缶の中から簡単なインスタントの紅茶のパックを取り出した。
修吾は、戸惑いながらも、
修吾:「ありがたく、いただきます」
といって、パックを自分のジーンズのポケットにしまった。

















理奈:「そういえば、お互い名前を言ってませんでしたよね」
理奈が、ぬっと身を乗り出して言う。
修吾は、「そういえば、そうですね」と返し、
修吾:「僕は、竹内 修吾です。一応、18歳なんですけど・・・」
少し頭をかきながら、てれるようにして修吾は応えた。
理奈:「竹内さんですか・・・いいお名前ですね」
修吾:「いや、修吾でいいですよ。オレ、下の名前で呼ばれることが多いんで・・・」
敬語で話しかける理奈に対し、慌てて「気を使わなくても・・・」という修吾。
理奈:「いえいえ、私はこちらのほうが言いやすいので。私は、清川 理奈。20歳です。よろしくお願いしますね、竹内さん」
にっこりと笑って修吾に言う理奈。
少し修吾は、紅くなりながらも、
修吾:「オレのほうが年下じゃないっすか!?敬語じゃなくて、普通に言ってくれればいいのに・・・その・・・清川さ・・・」
理奈:「理奈。兄と妹がいるんで、苗字だと間違えられちゃうんですよ」
修吾:「あ・・・理奈・・・さん・・・」
理奈:「そんなにかしこまらなくても」
理奈はクスリと笑う。修吾は、なぜだか知らないが少しだけ恥ずかしくなった。
修吾:「(でも、温かい・・・なんだろう・・・この感じ・・・)」
理緒以来感じたことのない異性のぬくもり。
なぜだか知らぬが、今、この瞬間が長く続いてくれればいいな、と想った。
だが、急いで考え直す。
もう自分は、人を愛することに自信がもてない。愛してはいけない気がする。
だから、好きになっちゃいけない。
想いを振り払うように、紅茶を口に運んだ。
さっきまでは甘かった紅茶も、なぜか、今、口に運んだのは苦味を増したような気がした。

















ふと、腕時計に目を落とすと時計は22時を回っていた。
修吾:「あっ・・・そろそろ戻らないと・・・いろいろと心配してる人たちいますし・・・」
修吾は、少し申し訳ないように席を立つ。
理奈は、淋しそうな顔をして乾いた修吾のシャツを手渡した。
理奈:「そうですか。もう少しお話したかったのに、残念です」
修吾:「オレもですよ。なんつーか・・・その・・・」
とてもではないが、初めて逢ったばかりの女性に「もっと一緒にいたかった」などといえるはずがない。
だが、修吾の心を見抜いたかのように、理奈は自分のかばんの中から手帳を取り出すと、そのページを破りとって、なにやら書き始めた。
そして、それを修吾に手渡す。
理奈:「これ、私の携帯の番号とメールアドレスです。よかったら、メールしませんか?いいお友達になれそうな気がするんです、あたしたち・・・」
語尾を多少詰まらせながらも、頬を紅く染めて理奈はそれを修吾に渡した。
修吾は、
修吾:「あ、ありがとうございます。オレからも、送りますから。必ず。必ず、送りますから!」
強く言って、精一杯の笑顔で微笑んでみせる。
理奈はそれを聞いて安心したのか、少し緊張していた顔が、さっきの笑顔へと戻っていった。
理奈:「待ってますから。いつでもいいですよ。遅くなっても、必ず返しますからね」
修吾はそれを聞いて、また「ありがとうございます」といった。
熱もすっかり下がっていて、降り頻っていた雨も止んでいた。
理奈はホテルのロビーまで見送りに来てくれて、「雨、止んでよかったですね」といった。
修吾は、「そうですね」と相槌を打ちながら、ゆっくりと自動ドアを開いた。
修吾:「それじゃぁ、おやすみなさい。理奈さん」
理奈:「おやすみなさい、竹内さん」
理奈は笑顔で、手を振った。
修吾も同じく、去っていくホテルに向かって手を振り続けて歩いた。

















修吾がキラーズの宿泊するホテルに戻ってから、石原に完膚なきまでに説教を受けたのは、言うまでもない。

















理奈:「竹内さんか・・・いい人、だったな・・・」
うきうき気分で廊下を歩いていると、自販機で若奈とすれ違った。
若奈:「あ、理奈ちゃん」
理奈:「若奈ちゃん。どうしたの、こんなところで」
自販機の前にいた若奈に話しかける理奈。
若奈は少し切なそうな顔をして、理奈の質問に応じた。
若奈:「うん。やっぱ、あの人明日は本気で投げてくれるのかな・・・って」
理奈:「時雨さん?」
若奈:「うん・・・」
うつむいた顔をした若奈に、理奈は的確に答えを言った。
驚いたというような表情で、また若奈は顔を伏せる。
若奈:「本気になってくれないんだ・・・あたしと投げ合うとき・・・時雨さん・・・」
理奈:「若奈ちゃん・・・好きなんじゃない?時雨さんのこと」
突然の質問に、「えっ?」と素っ頓狂な声を上げる若奈。
慌ててその応えに対し、「ノー」という。
若奈:「時雨さんは、高校の同級生で、同じチームで野球やっていて、それで、ただの友達だよ・・・それ以上でも、それ以下でもないよ・・・」
理奈は、若奈のその答えを聞いて、「やはり好きだ」と直感で想った。
そして、若奈の肩をぽんと叩いた後に、考え込む若奈の頬に人差し指でつんとつついてやった。
理奈:「明日、勝ちに行こう。若奈ちゃん!」
若奈は、「そうだね」と明るい表情で答えると、手にしていた携帯をスカートのポケットへとしまった。









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