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果て無き夢へ
果て無き夢へ登場人物


第二十六話   出逢い







お参りが終わると、3人は丘の上に座った。
こうして3人でゆっくりと話すのは、プロにそれぞれ入団してからは初めてのことだった。


小田:「昨日は、3人ともまけたな」
はははと小田が少し笑いながら言う。
秋葉:「修吾、ホームランだったよな。おめでと。俺は代走で1盗塁だ」
秋葉は、暗い表情をしている修吾をねぎらうかのように、なるべく明るい口調で言った。
修吾:「あぁ・・・ありがとう・・・」
うつむいたまま、目が泳いでいる。
やはりここにくると辛い。まだ過去を吹っ切れない。
理緒の笑顔、涙、すべてが自分の中でよみがえる。
曇り空だった空は、次第に暗雲が立ち込めてきた。
そろそろ雨が降り出しそうな勢いだった・・・

















修吾:「・・・オレが・・・」



修吾が重い口を開いた。
小田も秋葉も、修吾に目線を移す。







修吾:「オレが・・・理緒を守るって・・・決めたのに・・・」







小田は、「もう喋るな!」と強い口調で言った。
しかし、修吾はそれを聴こうとしない・・・。いや、小田の声は修吾には届かなかった。








修吾:「あいつは・・・理緒は・・・苦しんで・・・誰にもいえないで、苦しんで・・・俺も、自分のことしか考えられなくて・・・それで・・・それで・・・」

























バァァァン!!!






















乾いた平手打ちが、修吾の頬を襲った。
見れば秋葉が、修吾を思いっきり殴っていた。
胸倉を掴んで、修吾を無理矢理に立たせる。



秋葉:「修吾!!」



強い眼差しで秋葉は修吾の名前を呼んだ。もう一度、彼の名前を呼ぶ。



秋葉:「修吾!!」



修吾の前髪を掴んで、無理矢理に顔を上げさせると、秋葉は言葉を失った。

















ぼろぼろと涙を零し、鼻水をたらし・・・
顔と呼ぶにはあまりにも哀しすぎる表情で、修吾は喋り続けた・・・










修吾:「“さよなら”もいえないで・・・逝っちゃって・・・オレは・・・オレは・・・守れなかった・・・」

















修吾:「理緒を・・・誰よりも・・・愛してたのにさ・・・」

















秋葉は、修吾の胸倉を離した。
力なく、修吾は丘の芝生の上にへたり込む。
小田は、切なそうな目をして、修吾を見た。
秋葉は、なんともやりきれない表情で、修吾から顔を背けた。
そして修吾は・・・力なくつぶやき続けるしかなかった。
いつしか空にかかっていた暗雲からは、哀しみのような雨が旋律を奏でて降り注いでいた。
哀しみにさらに哀しみを与えるように。
修吾の過去を、洗い流さず、固めるかのように・・・
雨は激しさを増して、修吾に降り注いだ。
いや、すべての人々に、同じように強く、哀しく、わびしく・・・




















理緒を喪った日も、今日のような淋しい雨の日だった・・・




















17時少し前に、修吾の携帯にメールが届いた。
仲嶋からであった。



「今日の試合は中止。この雨だ、風邪引かないように、ゆっくり休んでおけよ!」



届いたメールの内容を確認すると、修吾はまた淋しそうに携帯を閉じた。
降り続く雨で、涙は雨にまぎれていたのかもしれない。
一人、小田と秋葉と別れてから修吾は、ぶらりと街をふらついていた。
居酒屋に入るわけでもなく、キラーズのブレーカーをかけたまま、雨に打たれて・・・

















19時ごろ・・・
修吾は、路地裏を歩いていた。
力なく、雨に打たれて・・・
さみしいを通り越した、孤独。それを修吾の心が支配している。
理緒を喪ってから、修吾の時間は止まったままだ。
だから、動こうともしない。進もうとしない。
戻れないことを理解していても、戻ろうとしているのだ。

















傘を差した女性は、買い物を終えて自分の泊まっているホテルに戻るところだった。
??:「今日の試合は中止になっちゃったからな。とりあえず、明日の試合に備えなくちゃ・・・」
彼女は忙しい足で雨の中を歩いていく。
と、路地裏でふらふらと歩いてきた修吾にぶつかった。
買い物袋が、地面に落ち、女性はしりもちをつく。
??:「痛っ。ちょっと、危ないですよ。傘も差さないで・・・」
ぶつかった拍子で、差していた傘が中に舞う。
この女性は、ガールエンジェルスの清川 理奈。そして、ぶつかった男はキラーズの竹内 修吾。
二人とも、まだお互いにあったことはなかった。
これが二人の出逢いだった。
理奈:「大丈夫ですか、あなた・・・」
返事のない修吾に、理奈はそっと手を触れてみる。
見ると、今にも途切れそうな呼吸の音を立てている修吾。
あわてて額に手を置いてみると、熱が出ているようだった。
理奈:「(このままじゃ風邪引いちゃうわ・・・この人・・・)」
急いで自分のパーカーを修吾にかけると、自分の肩に修吾の腕を回して、宿泊するホテルまで何とか連れて帰った・・・









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